アサドの保有する化学兵器を国際管理下に置くという事で米露が合意。ロシアが提案し、アサドも受け入れたこの案に合意することは、これまで武力によるシリア懲罰をひとり叫んでいた米国外交(軍事)の明らかな敗北だ。これでオバマの国際的な影響力は一気に低下するだろう。2期目、2年目にしてすでにレームダック状態に入ったようだ。頼みの米国の空爆が無くなったところで、シリア反政府勢力の自由シリア軍による一層の過激な軍事活動が予想される中、化学兵器の引き渡しはあまりに多くの障害がある。オバマは議会否決という国内での屈辱を回避できた一方で、これからは国際指導力は大きく喪われた。
米国の軍事圧力なきあとの世界政治はどのように動いてゆくのか。アサド崩壊を待ち望んでいた中東諸国とイスラエルにはどのような手段があるのか、そして、イランの核開発にももはや歯止めはかからないだろう。そうなるとイランとイスラエルの直接対決も遠い日ではなさそうだ。