軍事コンサルタント IHS Jane'sの調査によれば、10万人といわれるシリア反政府軍のうち、ほぼ半数はジハード(聖戦)戦士とイスラム過激派に属する兵士であり、これらは1000ともいわれる多数の小集団から成り立っているという。シリア国外からのアルカイーダ関係も含むジハードを唱える集団は10,000人と推定され、シリアの和平などにはもとより関心はなく、世界中どこでもイスラム国家樹立のために立ち上がる集団であり、30,000人から35,000人がイスラム教義に基づく過激派集団だが、この集団はシリアでのイスラム国家樹立を目標としていて国際的な聖戦活動は行っていない。一方、西側諸国の想定する民主化あるいは民主的国家樹立を目指している勢力は、英国の推定では反政府軍のうち3分の1、米国情報機関の推定ではさらに少数だろうという事だ。
この調査結果は、反政府軍が内戦2年間の間にアサド独裁政権を倒す民主的な反体制勢力から、国際的なイスラム過激派にすでに乗っ取られていること、そして、反政府勢力への武器供与がこれらの過激派の手に渡ればいずれは西側諸国に向けられるものであるという厳しい現実を裏付けるものとなっている。既に内戦の犠牲者が10万人を超えているといわれるシリア、国際的なテロ組織と大国に翻弄されていままさに国家存亡の崖っぷちに立たされていると言ってもいいだろう。