MITの研究チームの調査によれば、二酸化窒素が太陽光に反応することにより発生する、温室効果ガスとなるオゾンがもっとも活発に作り出されている(感応度の高い場所)のは太平洋ソロモン諸島の東1000㎞あたりと推測される。これはいまだオゾンが比較的少なく、一方で太陽光線は強いためである。即ち、きれいな大気のところほどオゾンの発生率が高いことになっている。この地域はオーストラリア・ニュージーランドを発着する航空便の空路となっている。
一方英国上空は世界でも屈指の航空路が密集しているところにもかかわらず、既にオゾンが多く堆積しており、結果として温室効果ガスの発生が率は低いという調査結果になっている。これは、英国上空はすでに汚染が進み過ぎていてこれ以上のオゾンが発生しにくいため、という事らしい。因みに、今回の調査によれば1キログラムの飛行機からの二酸化窒素他の排出により太平洋上空では15キログラムのオゾンが発生するのに対して、英国上空では3キログラムに過ぎない。今回の調査は、航空機の路線ごとの大気汚染の調査という点で画期的なものである。今回の調査結果を受けて、対応としては、感応度の高い空域の飛行を避けるなどが考えられることになる。しかし、ルート変更となると飛行時間が長くなり、結局飛行機からの二酸化窒素排出量自体はさらに大きくなることから、物事はそう単純ではなさそうだ。