回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

早稲田大学の落日/小保方博士号剥奪

2014年10月07日 17時23分52秒 | 日記

中国人留学生の博士論文における盗用により、学位取り消しが発表されたのは去年の10月21日、それからほぼ一年、今日は小保方晴子氏への博士号実質取り消し発表という一連の事件を見ていると、まず、去年の教訓が全く生かされていないことがよくわかる。その時は再発防止として、

研究倫理について改めて周知徹底をはかるとともに、大学院公共経営研究科および政治経済学術院において、このような事態を引き起こした原因を制度的・構造的側面から解明し、在学生への一層の啓発措置、集団での研究指導の更なる充実、論文の類似度判定調査、論文審査委員会での論文中の引用の抜き取り確認などの取り組みを行うなどの再発防止策を講じる。

と言っているが、全くの言葉だけだった。通常、このような事案が発生したら、全学を挙げて同様の事例がないか再確認するのが常識だが、どうやら該当学部や研究科にのみ責任を押し付けていたようだ。どの大学でも学部間の主導権争いや中傷誹謗、足の引っ張り合いはあるものだがこの大学の場合には度を越している。ましてや小保方氏のスキャンダルはつとに報じられていたのに、7月17日の調査委員会報告では、博士号取り消し要件には該当しないといっているのだ。もとよりこの調査委員会のメンバーは弁護士を除いて匿名(国立大学名誉教授2名、早稲田教授2名)であり、全く客観的あるいは科学的な調査にはなっていない。調査内容に責任を追及できない匿名の報告書など何の意味があるのだろう。大手弁護士事務所が主導したこの調査は単に小保方氏からの名誉棄損などの法的対抗措置に対する早稲田の組織防衛のみを目的としたものだ。このことは、調査報告書の結語に、

 本来であれば、 これらの問題 箇所 を含む本件博士論文が審査に おいて合格に値しないこと、本件博士論文の作成者である小保方氏が学位を授与されるべき人 物に値しない

と言いながら、博士学位の取り消し要件に該当しない、とするところに如実に表れている(要するにこの報告書は弁護士事務所が得意とするいわばジャンク報告書ともいうべきものだが、いまだ早稲田のHPに掲載されている)。

もとより、博士号取得をやみくもに難しくすることは意味のないこと。一方で今回のようなあまりにずさんな審査にはただあきれる。早稲田大学の今回の取り消しは、朝日新聞の従軍慰安婦記事撤回と同様、あまりに遅すぎ、かつ、説明責任を果たしていない。かつては在野の雄としてジャーナリズムの世界に早稲田出身者が跳梁跋扈していたが今回の共通点もそのせいなのだろうか?

早稲田の自浄能力に注目したい。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする