先ほどの夕焼け空がいつになく印象的な色をしていたので。ナナカマドの赤い実越しにも柔らかな茜色があざやか。ただ、自分の腕前ではその両方をうまく写し撮ることができず、かすかに空の色が見える程度になってしまった。
この夕焼雲がたなびく空を見ていると、ニューヨークのメトロポリタンオペラ劇場で見たオペラ「椿姫」の一場面での舞台の天井に映し出された夕空を思い出す。2001年9月の同時多発テロの直後、劇場など人の多く集まるところはテロの標的なるかもしれない、と言われてどの劇場も閑古鳥が鳴いていた。その時は普段手に入れることの難しい切符も比較的容易に買うことができ、テロに対する反発心もあって足しげくオペラやコンサートに行ったものだ。今思うと若気の至りとでもいうものだろう。
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