件のロンドンの友人から、アンドリュー・ロイド・ウェバーが米ユニバーサルの協力の下、新型コロナウイルス感染拡大を受けて外出自粛中のミュージカルファンに向けて開設したYouTubeチャンネル「The Shows Must Go On!」に2011年にロイヤル・アルバート・ホールで行われた「オペラ座の怪人25周年記念公演」の全編が無料で視聴できる(すでに終了)というので日曜の午後はこれに費やした。総勢200名を超えるキャストとオーケストラによるかつてない壮大かつ豪華絢爛なステージ。終了後のアンドリュー・ロイド・ウェバーの舞台挨拶に加え、特別ゲストとして25年前にクリスチィーヌ役のオリジナルキャストにして彼の元妻のサラ・ブライトマンと、歴代の怪人役たち4人が勢ぞろいしての歌唱は圧巻だった。もちろん、サラ・ブライトマンに往年の美声を期待することは無理というものだったが、それでも現旧の怪人(エリック)役達に決して引けを取らない貫禄はさすがだった。
都市封鎖で今は閉館している劇場に、再び観客は戻ってくるのか。カーテンコールでのスタンディングオベーションを見ているとSocial Distancing(社会距離拡大戦略?)がこれだけ叫ばれた後で あのような熱気は戻ってくるのか、この病気が収まったらまた、劇場に足を運びたいと思うようになるのか、今はまだわからない。今回の48時間限定無料公開は第一には医療関係者への寄付を募るものだが、当然、すこしでも観客を引き留めておこうとする切迫した意図もあるだろう。
このミュージカルの、白い仮面のみのポスターはあまりにも有名だ。当然、Gaston Leroux原作の小説(1910年刊)の翻訳や簡約版も数限りなく発刊されている。そのうち、1993年に99ペンスでロンドンで購入した、(オリヴァー・ツイストの作者である)チャールズ・ディケンズの曾孫娘にあたるドリス・ディケンズによる簡約版ペーパーバックスの素朴な表紙を。