回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

ピアニスト

2020年04月29日 08時50分41秒 | 日記

コロナウイルス感染拡大防止のため無人となった都市風景から連想したのは、ポーランドのピアニストで作曲家のウワディスワフ・シュピルマン(1911-2000)の『ある都市の死』(原題はŚmierć miasta、英語ではThe Pianist)を原作とする2002年の映画「The Pianist(日本語題名は、戦場のピアニスト)」。ロマン・ポランスキー監督のこの映画を観たのはニューヨーク在住だった2003年、その年この映画はアカデミー賞の監督賞、主演男優賞に脚色賞を受賞した。ナチスドイツによる徹底的・計画的な爆破により全市ががれきの山となり廃墟と化した誰一人いないワルシャワ(その描写が極めて印象的)の街を食料と暖を求めてさまようシュピルマン。彼の命を救うことになるドイツ将校の前で弾くショパンのノクターン嬰ハ短調曲。ユダヤ人強制収容所の残酷さ。ピアノ演奏を放送中にナチスドイツ軍に乱入され占拠された放送局とそれを戦後に再び弾き継ぐシュピルマンの執念と敗者が入れ替わるような歴史の展開。

この映画に触発されて作成されたCDは数多いが、この映画を観た後に買ったのが1948年から1980年の間にシュピルマンにより演奏されたピアノ曲集をおさめたCD。このCDは演奏している彼の写真がジャケットになっている。それに簡潔な説明文も。時代を感じさせる音質は必ずしも良いとは言えないが、この映画の主旋律ともいうべきショパンの悲しげな感じが、そして、想像を絶する苦難を乗り越え、最後まで希望と尊厳を持ち続けた彼の演奏には、人の心を打つものがある。

終戦直後の1946年にシュピルマンによって出版された『ある都市の死』(Śmierć miasta)を、特に共産党時代のポーランド政府の妨害を受けながらも復刻を成し遂げたのは息子のアンジェイで、もう一人の息子クリストファーは日本人と結婚し日本に移住して大学教授を務めていた。日本との深い縁も感じる。

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