回顧と展望

思いついたことや趣味の写真などを備忘録風に

パン屋

2020年04月15日 06時51分50秒 | 日記

不二家でケーキやパンを眺めていたら、2014年のフランス映画「ボヴァリー夫人とパン屋」を思い出した。ボヴァリー夫人がイギリス人という意外な設定や最後にパンをのどに詰まらせて彼女が窒息死するという予想もしない展開。文学好きが嵩じて妄想にふける田舎のさえないパン屋。高校生の子供がいるというにしては老け込んだ容貌の主人公を軸にイギリス風の皮肉とフランス流のエスプリのきいた大人が楽しめる映画。フランス近代史を象徴するような、3つの革命と2つの世界大戦を生き延びたという家宝の陶磁器が情事の最中に破損するという象徴的な挿話もある。最後には高校生の息子のいたずらに乗せられて、フランス人の隣人をロシア人と思い込んで、ボヴァリー夫人と同じように自殺したアンナ・カレーニナへの妄想を膨らませつつアプローチしてゆくパン屋。昨年経営破綻したローラ・アシュレイ風のゆったりした、しかし妖艶なボヴァリー夫人の奔放な異性関係と彼女がパンをこねる官能的な場面描写、パン屋と夫と元カレがそれぞれに彼女の死に絡んでゆくという捻った展開など、また、映像は奥が深く、上品で、登場人物の性格はなべて穏やかである。

フローベールの作品に共通しているのだが、最後には主人公が死ぬ「サラムボー」の名も登場してくるあたりはフローベールに関する主人公の尋常ではないのめり込みぶりもうかがえる。そういえば、恋に溺れて夫と子供を捨て、ついには裏切られ破滅してゆくアンナ・カレーニナを演じたキーラ・ナイトレイも悪くなかった・・・

この豊かで平和なノルマンデイーの村はコロナウイルス蔓延とBREXITで今はどうなっているのだろうか。

 

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