日本の税負担は世界一!? 各国と比較した結果とは
自動車の購入・保有・使用には、それぞれ複数の税金が課せられており、負担に感じている自動車ユーザーも少なくありません。
では、具体的にはどのような税金が課されるのでしょうか。
また税制度に対してはどのような意見が寄せられているのでしょうか。
「なんでこんなにお金取られるんですか…」国民ブチギレ!
最近は年収について、所得税が発生する「103万円の壁」や一定の条件で社会保険料の支払いが発生する「106万円の壁」など、税金関連の話題に注目が集まっています。
特に自動車の関連税制をめぐっては、SNS上において「あまりにも自動車関係の税金が高すぎる」「クルマを大切に長く乗っていたら税金が増えるのはなぜ?」といった不満の声や、「自動車の税負担を見直して欲しい」との要望が多く寄せられています。
JAFが2024年に全国の18歳以上の自家用乗用車保有者13万2152人を対象におこなった『自動車税制に関するアンケート調査』によると、毎年課せられる税金について「非常に負担に感じる」「負担に感じる」「やや負担に感じる」と回答した人の割合が合計で98.9%にも上りました。
実は自動車に関連する税金には複数の種類があり、自動車の「購入時」と「保有時」、「使用時」のいずれの場面でも税金がかかる仕組みとなっています。
たとえば、これまで自動車を購入したときには「自動車取得税(※2019年9月30日まで)」と自動車に対する「消費税」10%がかかっていました。
2019年10月1日からは上記の自動車取得税が廃止され、代わりに「自動車税環境性能割」という制度が導入されています。
これは自動車の燃費基準の達成度合いによって自家用登録自動車の税率が0~3%(軽自動車は0~2%)の範囲で変化するもので、一般的に新しく、燃費の良いクルマであれば税率が低くなります。
なお、この自動車取得税および自動車税環境性能割に対しては「自動車の消費税との二重課税ではないか」との指摘も。
次に、自動車を保有している間は車検ごとに「自動車重量税」が、また毎年「自動車税・軽自動車税」がかかります。
自動車重量税はクルマの重さや車種、経過年数(車齢)などによって税額が変わり、自家用乗用自動車の場合は車両重量0.5トンごとに税額が増加します。
加えて、自動車重量税はクルマの新規登録から13年、18年が経過すると税率がより重くなるため、自動車ユーザーからは「長く大切に乗っているのに税金をとるのか」との意見も聞かれます。
そして自動車税・軽自動車税は、クルマの総排気量に応じて課税される税金です。
2023年中に日本で最も売れた普通車であるトヨタ・ヤリス(2019年12月~生産、総排気量1.49リットル)を例に見てみると、自動車税は年間で3万500円かかります。
もちろん、これより総排気量が大きかったり新規登録が古かったりするクルマはもっと税額が高くなり、普通乗用車では年間で最大11万1000円の税金が課されるケースもあります。
さらに、自動車の使用に際しては多くの場合ガソリンが必要になりますが、このガソリンに対しても税金がかかります。
具体的にはガソリンの本体価格にガソリン税53.8円と石油石炭税2.8円が上乗せされており、これらの合計金額に消費税がかかっています。
つまりガソリンの本体価格のみならず、ガソリン税分の価格に対しても消費税が課されており、税に税が課せられる「タックス・オン・タックス(二重課税)」の状態ではないかとの指摘も聞かれます。
そのほか、ディーゼル車の燃料となる軽油の購入に対しては「軽油引取税」が課されます。
上記のように自動車に関連する税金の種類は多く、世界で最も自動車の税負担が重いともいわれているのです。
SNSなどでは「国民からお金取り過ぎ」「税金取って無駄金ばかりに使わないで欲しい」という声も聞かれています。
一般社団法人日本自動車工業会の資料では、日本の登録自動車の税負担はイギリスの約1.4倍、ドイツの約3.4倍、フランスの約9.5倍、米国の約23.4倍という試算も明らかになっています。
このような重すぎる自動車の税負担に対しては、自動車関連業界などから見直しを求める声が上がっており、それぞれ次のような提案が出されています。
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●一般社団法人日本自動車工業会(JAMA)
・自動車を取得する際の「環境性能割」を廃止して消費税に一本化(二重課税の解消)。
・自動車重量税と排気量に応じた自動車税については、重量による課税をベースとした「新保有税」に一本化するほか、環境性能によって税額を増減する仕組みを導入する。
●一般社団法人日本自動車連盟(JAF)
・自動車取得時の「環境性能割」を廃止。
・自動車重量税はもともと道路整備のための財源だが、2009年に道路特定財源制度が廃止されたことで課税する根拠はなくなっており、重量税は廃止すべき。
・国の財政が厳しいという理由から、ガソリン税や軽油引取税などには本来の税率を大幅に上回る「特例税率」が約50年も課せられたまま維持されている。これは論理的な説明なしに追加負担を求めるものであり、直ちに廃止すべき。
・ガソリン税に消費税が課税される「タックス・オン・タックス」を解消すべき。
●県知事・市長
・2024年11月、神奈川県知事や愛知県知事をはじめ全国の有志の知事・市長の連名で「令和7年度税制改正において自動車諸税の抜本的な見直しを求める緊急声明」が出された。
・同声明では新たな時代にふさわしい税体系・負担水準のあり方を検討すること、税制だけでなくエネルギーやカーボンニュートラルといった政策も含めて総合的に議論し、速やかに課題解決を進めることについて要請がなされた。
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各関係団体などの要望を受け、昨年決まった2024年度の与党税制大綱には、次のエコカー減税の期限である2026年4月30日までに具体的な制度の検討を進めることが盛り込まれています。
最も早ければ2026年度に自動車の税制度が大きく変わる可能性もあり、その動向について今後注視していく必要があるといえるでしょう。
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