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年金積立金200兆円消滅危機…米銀2行破綻でGPIFが巨額損失か? 9カ月で赤字7.3兆円

2023年03月23日 07時20分22秒 | 年金対策

年金運用に暗雲だ。国民の虎の子、年金積立金約200兆円を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)に巨額損失の懸念が浮上している。ここへきて、米銀2行の経営破綻や金利上昇など、いくつも悪材料が重なっているからだ。大事な老後資金はどうなってしまうのか。

自己責任では済まない(GPIFの 宮園雅敬理事長)/(C)ロイター
自己責任では済まない(GPIFの 宮園雅敬理事長)/(C)ロイター© 日刊ゲンダイDIGITAL

◇ ◇ ◇

GPIFは昨年3月末時点で経営破綻した米銀2行の株式や債券約550億円分を保有していた。シリコンバレー銀行(SVB)の株式約238億円、債券約199億円、シグネチャー銀の株式約114億円だ(いずれも当時の時価総額)。いつまで保有していたかは現在、明らかにされていないが、「大損を食らった可能性が高い」(市場関係者)という。

GPIFの公開資料によると、2021年3月末時点では両行の株式や債券の保有はなく、21年4月から22年3月末にかけて取得したとみられる。両行の株価は昨年3月以降、右肩下がり。秋には半値以下まで下落した。GPIFが取得期間の最安値で買っていたとしても、昨年4~5月にはその価格を下回っており、損失なき売り抜けは困難だった可能性が高い。

「長年、世界的に金融緩和が続いたため、足元の経営基盤が脆弱な金融機関は少なくありません。経営状況を不安視した投資家が投げ売りを浴びせ、株価が暴落したり、破綻に追い込まれるケースはさらに出てくるでしょう。米銀2行の株式などを保有していたように、GPIFがヤバい株式や債券に手を出していてもおかしくない。高利回りを求めてリスクの高い株式や債券の購入を拡大させてきたからです」(金融ジャーナリスト・森岡英樹氏)

 

悪材料続々で赤字幅みるみる拡大の可能性

金利上昇による債券価格の下落もGPIFの含み損を膨らませる。米国を中心とした世界的な利上げラッシュですでに外国債券の価格は大きく下落。加えて、植田新総裁の下、日銀も4月か6月には利上げに踏み切る可能性が高い。日本国債などの価格も下落必至だ。

「国債の金利が上昇すれば、投資資金は株から安全な国債に向かいます。何より、世界経済の雲行きが怪しくなってきており、世界的な株安に見舞われる懸念もある。GPIFは国内外の株式でも大きなロスを発生させるリスクがあります」(森岡英樹氏)

GPIFの今年度の運用実績を見ると22年4~12月の9カ月間で累計7.3兆円の赤字を出した。国内株式▲0.6兆円、外国株式▲2.7兆円、国内債券▲1.8兆円、外国債券▲2.1兆円と“全敗”である。

「これだけ悪材料ばかりが揃えば、赤字幅はみるみる拡大する可能性があります。GPIFの運用実績はこれまでに累計98兆円ありますが、3カ月ほどの短期間で数十兆円が軽く吹っ飛んでも不思議ではない。一般の運用会社なら自己責任ですが、GPIFの損失は年金の将来に影響する。積立金が細れば、年金保険料の引き上げや支給額の縮小など国民にしわ寄せが来る恐れがあります」(森岡英樹氏)

物価高騰が続く中、年金は高齢者の命綱。年金運用にコケられては、困り果ててしまう。

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会社員と自営業、同じ保険料で年金に月9万円の差?

2023年02月04日 09時27分54秒 | 年金対策

毎月同じ年金保険料を払っている「会社員と自営業者」で受け取る金額に大きな差

同じように保険料を払っているのに、受け取れる年金に格差があるケースがいろいろあります。

この格差の一つに「会社員と自営業者」とのものがあります。なんと、ほぼ同じ保険料額を払っているのにもかかわらず、会社員と自営業者で受け取る年金額に「最大月9万円」もの大きな差があり得るのです。これは大きな差ですね。

自営業者が加入する国民年金の保険料は月1万6590円(令和4年度)です。

一方、これと同じだけ保険料を支払っている(給与から天引きされている)会社員はというと、厚生年金の保険料は給与(標準報酬月額)によって変わってきますが、おおよそ給与を月18万円ほどもらっている方となります。給与月額(標準報酬月額)が18万円の人は、現在毎月1万6470円が給与から天引きされています。

では毎月の保険料がほとんど同じである、「毎月の給与が18万円の会社員」と「自営業者」で将来受け取る老齢年金にどれだけの差があるのかを検証してみたいと思います。

 

 

会社員の保険料は国民年金+厚生年金

国民年金の保険料を支払う自営業者の皆さんが受け取れる年金(老齢基礎年金)は、40年間支払うと現在満額77万7800円(令和4年度)、約80万円です。これは簡単ですね。

では、毎月の給与が18万円の会社員が受け取る年金額(老齢厚生年金額)はいくらになるのでしょうか?

会社員が受け取る老齢厚生年金の計算方法は、現在、以下の通りです。

平均標準報酬額×5.769/1000×被保険者の月数(従前額保障)

仮に入社から退職までの平均の給与が18万円で(ボーナスはなし)、40年間勤めていた場合、【18万円×5.769/1000×480カ月】となり、老齢厚生年金の受取額は約49万8400円(約50万円)となります(被保険者期間は平成15年4月以後のみ・スライド等を考慮せず)。

これだけだと自営業者の方が多く見えますが、会社員が支払う厚生年金の保険料には、国民年金の保険料分も含まれています。ですから、厚生年金の保険料が給与から天引きされていることで、国民年金の保険料も納付していることになるわけです。

従って、会社員を40年続けることで、40年分の厚生年金(老齢厚生年金)にプラスして満額の国民年金(老齢基礎年金)も受け取れることになるわけです。

■自営業者

老齢基礎年金:約80万円

■平均給与18万円の会社員

老齢厚生年金:約50万円+老齢基礎年金:約80万円=約130万円

つまりほぼ同じ保険料を40年間支払うことで、受け取れる年金は年間約50万円もの差がつくことになります。

 

 

厚生年金には「家族手当」があり、さらに第3号制度もある

ほぼ同じ保険料で会社員と自営業者で受け取る年金額が年間50万円ほど差があることが分かりましたが、会社員の家族構成によって、この差はさらに広がることになります。

厚生年金には、65歳未満の配偶者や18歳になった年度末までの間にある子(20歳未満の一定の障害がある子)がいると、加給年金という家族手当が加算されます。例えば配偶者につく加給年金は約40万円(特別加算を含む・令和4年度)になります(ただ加算されるのは配偶者が65歳までです)。

もう一つ、大きな格差を生む要因である「第3号被保険者制度」があります。この制度が適用されると、会社員の配偶者が第3号被保険者である場合、会社員の厚生年金保険料で、

■会社員本人の厚生年金(老齢厚生年金)

■会社員本人の国民年金(老齢基礎年金)

そして

■会社員の配偶者(第3号被保険者)の国民年金(老齢基礎年金)

まで、賄えてしまうことになるのです。

図で示すと、画像のようになります。

 

 
保険料はほとんど同じだが、受け取れる年金は大きな差
保険料はほとんど同じだが、受け取れる年金は大きな差© All About, Inc.

仮に会社員の妻の第3号被保険者期間が30年あったとすると、年間60万円ほどの老齢基礎年金が配偶者に支払われることになりますので、加給年金を考慮に入れないとしても、差は50万円+60万円で年間110万円、月にして9万2000円もの差となるわけです。

 

 

年金格差の裏には、勤務先の協力がある!?

なぜ、ほぼ同じ年金保険料でこれほどの格差が生まれるのか、ということの裏には、会社の協力があるのをご存じでしょうか。

毎月の給与が18万円の会社員の厚生年金保険料は月1万6470円といいましたが、これは給与から天引きされている額であり、これと同額の保険料を会社が負担しているのです。

従って、給与が18万円の会社員の本当の厚生年金保険料は1万6470円の倍である3万2940円なのです。この3万2940円を、会社員本人と会社が、約半分ずつ払っているわけです。

ただ、金額をよく見ると、本来の厚生年金の保険料は国民年金の保険料のほぼ2倍なのに、受け取れる年金額は(第3号被保険者分がなければ)2倍になっていません。先ほどの例だと、国民年金が80万円で、厚生年金は50万円。保険料が倍なので、厚生年金も50万円ではなく100万円でなければ「割が合わない」ですよね。

「会社員と自営業者の『費用対効果』格差」は、実は会社の協力のおかげという側面があるんですね。

文:和田 雅彦(社会保険労務士)

大学卒業後、地方銀行に勤務。1999年9月、社会保険労務士資格を取得し独立開業する。FP資格も取得し、年金を含めたライフプランの相談も多数受ける。年金、保険、労働問題の執筆や講演業務も行っている。

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「ねんきん定期便」を見ればわかる…厚労省がひた隠しにする厚生年金"支払い損"のカラクリ

2022年11月18日 08時15分02秒 | 年金対策

ねんきん定期便の「これまでの保険料納付額」には、個人負担分のみが記載されている。会社負担分の記載がないのはなぜか。新著『バカと無知』が話題の作家・橘玲さんは「それは、厚生年金が支払い損であることがバレてしまうからだ。この会社負担分がどこに回されるかというと、国民年金(基礎年金)の赤字の補塡だ」という──。

2065年には現役世代1.3人で高齢者1人を支える…

岸田政権で検討されている相次ぐ負担増への反発から、SNSでは《#自民党に殺される》がトレンド入りしたという。そこでいま、年金制度になにが起きているのかをまとめてみよう。

話の前提として、人類史上未曾有(みぞう)の超高齢社会になった日本では、制度を支える現役世代の数がますます減り、「受益者」である高齢者の人数が増えていく。

「現役世代(20~64歳)何人で高齢者(65歳以上)を支えるか」では、1950年には12.1人で1人の高齢者の負担を肩代わりしていたのに、2015年は2.3人で1人、2065年には1.3人で1人へと状況は急速に悪化していく(「令和2年版高齢社会白書」)。

戦争や内乱、疫病の蔓延(まんえん)がないかぎり人口動態はほぼ変わらないので、これは予測ではなく「確実にやってくる未来」だ。

コロナ禍で「ごまかせなくなった」

社会保険制度を破綻させず、「サスティナブル(持続可能)」なものにするためには、原理的に2つの方法しかない。「収入を増やす」と「支出を減らす」だ。

政府・厚労省はこれまでいろいろとごまかしながら、少しずつこれを進めてきたが、コロナ禍以降、ほころびを取り繕えなくなり、いまやなりふり構わなくなってきた。

それが、《#自民党に殺される》という反発の背景にあることをまずは確認しておこう。

サラリーマンは年金の奴隷

サラリーマンが加入する厚生年金は、とんでもない「ウソ」によって成り立っている。といってもこれは「陰謀論」の類いではなく、年1回送られてくる「ねんきん定期便」を見れば誰でもわかる。

そこには、「これまでの保険料納付額」と「これまでの加入実績に応じた年金額」の欄があり、それを比較すると、納付総額を大きく超える年金が受け取れるように思える。だがこれは、あなたが国に収めた年金保険料のうち、個人負担分しか記載されていないからだ。

社会保険料の半額は、会社が肩代わりして支払っている。本来であれば、個人負担分と会社負担分を加えた倍の額が、社会保険料の納付総額として記載されるべきだ。

サラリーマンの年金保険料は半分「詐取」される

ではなぜ、そうしないのか。いうまでもなく、厚生年金が支払い損であることがバレてしまうからだ。

これを簡単にいうと、サラリーマンが収めた年金保険料のうち、およそ半分が国によって「詐取」されている。そのお金がどこに回されるかというと、国民年金(基礎年金)の赤字の補塡(ほてん)だ。

こうした仕組みがわかると、厚労省がなぜ厚生年金の適用拡大に必死になっているか理解できる。

これは一般に、「パートなど短時間労働者が国民年金よりも多い年金を受け取れるようになる」と説明されるが、それにともなって保険料の会社負担が増えることはなぜかほとんど言及されない。

経営側からすれば、社会保険料は人件費の一部だ。パートが厚生年金に加入すると、会社負担が増えた分だけ人件費予算は減る。この単純な理屈によって、厚生年金の適用拡大は、その会社の(パートではない者を含む)社員全員の賃金を抑制する大きな要因になるだろう。

会社負担が増え、全員の給料は下がる

国からすれば、厚生年金は会社が保険料を取り立ててくれるおいしい制度だ。それに加えて、消費税の増税は政治的にきわめて困難だが、社会保険料の料率は国会での審議を経ずに厚労省の一存で決めることができる。

こうして社会保険料の負担が年々重くなり、会社が賃上げしても社員の手取りは逆に減っていく事態になった。

とはいえ、社会保険料の料率をいくらでも上げられるわけではない。そこで目をつけたのが、厚生年金をパートにまで拡大して保険料収入を増やすことだ。

ほとんどのサラリーマンは、厚生年金の適用拡大をひとごと(あるいはよいこと)のように思っているだろうが、それは現役世代を犠牲にして、会社の利益を高齢者の年金に「流用」する巧妙な仕掛けだ。

これによってさらに会社負担が増え、全員の給料が下がる(上がりにくくなる)ことをちゃんと説明しなければ、公正な報道とはいえないだろう。

サラリーマンと自営業者は「基礎年金でつながっている」

一般には、サラリーマンが「厚生年金」に、自営業者などが「国民年金」に加入すると思われているが、これは正確ではない。厚生年金には「基礎年金」部分があり、これが国民年金に該当するからだ。

厚生年金の基礎年金(いわゆる「1階」)は、国民年金と分離されているわけではなく、ひとつの器(同じ資金プール)に入れられている。

その結果、国民年金が赤字になると、自動的に、その分が基礎年金から補塡される。

厚生年金の会社負担分が国民年金に流用されてもなんの問題にもならないのは、この手品のような仕組みがあるからだ。

しかしそれでも、厚生年金の報酬比例部分に手をつけることは許されないとされてきた。基礎年金(1階)と報酬比例部分(2階)は分離されており、報酬に応じて増額された年金を受け取ることはサラリーマンの権利だからだ。

ついに報酬比例部分まで「盗まれる」…

ところが日経新聞(9月28日付)に「国民年金『5万円台』維持へ 抑制策停止、厚生年金で穴埋め」という記事が出たことで、この前提が揺らいだ。

厚労省は、(報酬に比例して)多額の年金保険料を収めてきた一部の高年金受給者の年金を減らし、それを基礎年金に充当することで、「大半の世帯で給付水準が上がる」と説明している。だがいったん報酬比例部分に手をつければ、それはとめどもなく拡大していくのではないか。

このようにしてサラリーマンは、厚生年金の会社負担分のうち基礎年金を「詐取」されるだけでなく、報酬比例部分まで「盗まれる」ことになる。

ここまで制度が歪(いびつ)になると、もはや正当化は難しい。いまさら積み立て方式に変えられないとすれば、消費税を大幅に引き上げて社会保険の経費に充てるか、雇用形態にかかわらず所得に応じて徴収する「保険税」を新設すべきではないだろうか。

「保険料支払い期間64歳まで」の衝撃

厚生年金の適用拡大や、報酬比例部分の取り崩し以上に大きな衝撃を与えたのは、国民年金の保険料支払い期間を5年間延長し、64歳までの45年間にするという報道だ。これによって保険料収入が増えるので、将来受け取る年金の水準が下がるのを防ぐ狙いがあるとされる。

しかし、ここには大きな問題がある。保険料負担が増える一方で、受給額が減っていくと、どこかの時点で収支が逆転して、「国民年金に加入すると損する」ことになってしまうのだ。

そこで、簡単な計算をしてみよう。

現在、国民年金の保険料は月額1万6590円(年額19万9080円)で、20歳から59歳までの40年間満額を収めた場合、65歳から終身で月額6万4816円(年額77万7792円)の年金を受け取ることができる。2021年の簡易生命表では、65歳時点の平均余命は男で19.85年(84歳)、女で24.73年(89歳)となっている。

この条件が今後も変わらないとするならば、20歳の国民年金加入者は、これから40年で796万3200円を納め、平均的には、男で1553万9171円、女で1923万4796円を受け取ることが期待できる。これを積み立て型投資商品と見なし、運用利回りをEXCELのIRR(内部収益率)関数で計算すると、男が年率2.16%、女が年率2.67%になる。

ついに維持困難に…

年金受給額は、インフレ率に応じて増えていくように設計されている。物価の上昇を完全にヘッジできるとするならば、国民年金は男で2%、女で2.5%のプレミアムを加えた(国家が支払いを保証した)無リスクのインフレ連動債ということになる。

このように、国民年金はけっして損な投資商品ではない。というよりも、この条件であれば、加入しないことで大きな損失を被ることになる。

少子高齢化にもかかわらず好条件が維持できたのは、年金制度に多額の税が投入されていることと、サラリーマンが納めた保険料が大規模に「流用」されているからだ。しかしいま、長期にわたってこれを維持することが困難になってきた。

マクロ経済スライドの減額で生活保護増大可能性も

国民年金の受給額は、人口動態に合わせて、2004年に導入されたマクロ経済スライドによって少しずつ減額されていく。

当初、これはインフレ率がプラスのときにしか適用されない(デフレでマクロ経済スライドを実施すると名目での受け取り額が減って政治問題になる)とされたが、もはやそんな悠長なことはいっていられなくなって、2015年からは問答無用で年金が減額されることになった。

2019年に行われた財政検証では、これによって約30年後に厚生年金の水準が約2割、国民年金は約3割減るとされた。だがその後、コロナ禍で少子化がさらに加速したことで、年金水準の維持はさらにきびしくなった。

年金受給額が現在の7割(月額4万5371円)に減額されたケースで試算すると、平均余命までの受給総額は男で1135万1874円(年利回り1.03%)、女で1346万4357円(年利回り1.60%)まで下がる。

だがそれよりも問題なのは、毎月の受け取り額が現在より2万円ちかく減ることで、これでは生活できないひとたちが続出し、大挙して生活保護に移行しかねない(そうなれば当然、生活保護制度は破綻するだろう)。

「45年間で約900万円納付、年金1100万円受給」に魅力はあるか

64歳までの納付期間延長はこうした事態を避けるためで、仮に受給額2割減に抑えられたとすると、保険料の支払い総額が895万8600円と12.5%増えるかわりに、毎月の受け取り額は月額5万1853円で、なんとか5万円台を維持できる。ただし、積立額(負担)が増えたことで、運用利回りは男で年0.98%、女で年1.52%まで下がる。

だが、これで社会保障制度が安定する保証はない。

そこで、あり得る可能性のうち(たぶん)最悪のケースとして、保険料納付期間を64歳まで延長しても年金受給額が現在より3割減るとすると、資産運用の利回りは男で年0.57%、女で年1.15%になる。

男の場合、45年間で約900万円の保険料を納め、年金として1100万円あまりを受け取ることになるが、20歳の若者がこの計算を見せられて、年金制度に魅力を感じるだろうか。

69歳まで保険料を納める「残酷な未来」

なお、現行制度のまま年金の受給開始年齢を引き上げていくことも考えられるが、同じように試算すると、68歳の支給開始での年利回りは男で1.71%、女で2.18%、70歳の支給開始では男で1.33%、女で1.85%に下がる。

現実的なのは、「厚生年金の適用拡大」「厚生年金の報酬比例部分の取り崩し」「保険料納付期間の延長」「年金の受給開始年齢の引き上げ」「マクロ経済スライドによる受給額減額」のすべての組み合わせになるだろう。

いずれは、20歳から69歳まで50年間保険料を納め、70歳から減額された年金を受給する「1億生涯現役社会」が到来すると予想しておこう。

---------- 橘 玲(たちばな・あきら) 作家 2002年、小説『マネーロンダリング』でデビュー。2005年発表の『永遠の旅行者』が山本周五郎賞の候補に。他に『お金持ちになる黄金の羽根の拾い方』『言ってはいけない』『上級国民/下級国民』などベストセラー多数。 ----------

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国民年金「納付45年に延長」案でSNSに集まるブーイング「ほんとにどう生きていいのかわからん」

2022年10月17日 06時57分57秒 | 年金対策

10月15日、政府は国民年金の保険料納付期間を、65歳までの45年間とする検討に入ったことが報じられた。実施されれば、現行の20歳以上60歳未満の40年間から、5年間の延長となるため、世間では厳しい声が相次いでいる。

負担が増えるのは、おもに自営業者や、60歳以降は働かない元会社員たちだ。少子高齢化社会に伴い、現在は社会保障制度を支える現役世代が減少し、財源の確保がままならない状況だ。政府は2024年までに結論を出し、2025年の通常国会での改正法案提出を目指しているという。

国民年金の保険料は未納率が高いこともあり、政府の財政は追い詰められつつあるようだ。だが、相次ぐ物価高騰や、増え続ける税金で疲弊する人々に、納付期間延長はさらなる打撃となる。SNSでは、今回の報道に絶句する人が続出した。

《インフレすごい上に金融所得もさらに税率上がるかも?みたいな話もあり、厚生年金は国民年金の補填に使いますとか国民年金の支払い65まで伸ばしますとか消費税増やしたいなとか老後は貯金額に応じて介護保険料や医療費上げますとかも言われてるのほんとにどう生きていいのかわからん》

《こうやって取れやすいところから取っていくんですね 岸田政権って資産所得半減プランを掲げてたんでしたっけ》

《年金45年払わないといけないとか無理 そもそも年金と保険であんだけ取られてるのにおかしくない?それなら金額下げてよ…年金貰う前に死んじゃうよ…》

「現在の国民年金の制度では、20歳からの40年間、月1万6590円の保険料を納めた場合、65歳から月6万4816円の年金がもらえます。しかし、国民年金の保険料は年々、増額され続け、支給額は減額される一方です。9月末には、国民年金の減額を抑えるべく、会社員が払う厚生年金の保険料や国庫で埋め合わせるという方策を厚生労働省が検討し始めたとも報じられています。現役世代の不公平感は大きく、いい加減に抜本的な制度改革を検討すべき時期に入っています」(経済誌記者)

その場しのぎの補填を繰り返した程度では、どうにもならない段階まで来ているのではないか。

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日本の公的年金である「国民年金」と「厚生年金」の違いについて

2022年05月26日 07時28分12秒 | 年金対策

日本における社会保障制度の中に、公的年金制度があります。

日本の公的年金制度とは、老齢、障害、死亡に対して年金や一時金を給付する制度であり、国民年金と厚生年金の2種類があります。

今回は、日本の公的年金である国民年金と厚生年金の違いについて分かりやすく解説していきます。

国民年金と厚生年金 の違いについて© マネーの達人 提供 国民年金と厚生年金 の違いについて

1. 国民年金の概要

国民年金は、日本に居住している20歳から60歳未満のすべての方が加入しなければならない国民年金法に基づいた公的年金です。

国民年金の被保険者は、自営業者や無職の方などが対象の第1号被保険者、厚生年金や共済加入者などの会社員や公務員が対象の第2号被保険者、第2号被保険者に扶養されている配偶者が対象の第3号被保険者の3種類に分かれます

2. 厚生年金の概要

厚生年金は、会社員、公務員、教員、船員などの被用者のための厚生年金法に基づいた公的年金です。

厚生年金の被保険者は国民年金の第2号被保険者となりますので、公的年金は国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建てになっていると言われています。

3. 国民年金の給付

国民年金の老齢、障害、死亡に対する給付は、以下になります。

老齢基礎年金

受給資格期間が10年以上ある場合に、原則65歳から受給できる老齢のための年金です。

障害基礎年金

障害等級1級と2級の障害状態にある方が受給できる障害のための年金です。

遺族基礎年金

国民年金の被保険者などが亡くなった場合に、一定の遺族が受給できる年金です。

付加年金

国民年金の第1号被保険者が、国民年金保険料に月額400円の付加保険料を上乗せすると、年金額を増やすことができます。

寡婦年金

国民年金の第1号被保険者での保険料納付済期間と保険料免除期間が合算して10年以上ある夫が死亡した場合に、生計を維持されていて10年以上婚姻関係が継続していている妻に対し、60歳から65歳までの間支給される年金です。

死亡一時金

国民年金保険料を36か月以上納付していた第1号被保険者が、年金を受給する前に亡くなってしまった場合に遺族が受給できる一時金です。

脱退一時金

日本国籍を有しない方が、国民年金の被保険者資格を喪失して日本を出国した場合に請求できる一時金です。

4. 厚生年金の給付

厚生年金の老齢、障害、死亡に対する給付は、以下になります。

老齢厚生年金

厚生年金の被保険者期間が1か月以上あり、老齢基礎年金の受給資格期間を満たした方が、原則65歳から受給できる老齢のための年金です。

特別支給の老齢厚生年金

老齢厚生年金の受給年齢は原則65歳ですが、生年月日により65歳前から受給できる老齢厚生年金のことです。

加給年金

厚生年金の被保険者期間が20年以上あり65歳到達時点に、生計を維持されている65歳未満の配偶者や、18歳到達年度の末日までの子(1級・2級の障害状態にある場合は20歳未満の子)がいる場合に加算される年金です。

障害厚生年金

障害等級1級、2級、3級の障害状態にある方が受給できる障害のための年金です。

障害手当金

障害等級1級と2級と3級に満たない軽度の障害状態になった場合に受給できる一時金です。

遺族厚生年金

厚生年金の被保険者の方などが亡くなった場合、一定の遺族が受給できる年金です。

独自の給付も知っておきましょう

このように、国民年金と厚生年金は、老齢、障害、死亡に対する給付を行っていますが、それぞれに違いがあります。

中には、独自の給付もありますので、知っておくとよいでしょう。(執筆者:社会保険労務士、行政書士 小島 章彦)

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