お役立ち情報ブログ

日々の生活やビジネスにおいて役に立ちそうな情報を収集、公開しています。

独裁カルト国家化する日本 それを後押しする元凶がテレビ局…というあり得ない構図(ラサール石井)

2023年04月13日 07時14分51秒 | 行政

カルト教団や独裁国家かと目を疑う記事を立て続けに目にした。

元NHKの岩田明子氏が故安倍晋三氏を悼む文章。安倍氏を「光の人」と表現し、「日本史上、類いまれな戦略家で、外交、安全保障、通商分野において歴史を刻んだ首相だった」とつづっている。確かに誰しも生きていればそれなりに歴史を刻むが、北方領土は返らず、拉致問題は何も解決しなかった今の世界とは違うどこかのパラレルワールドの話かと驚く。

先日の松井一郎氏の最終演説。松井コールが起こり、動画を撮りながら何度も目元を拭う女性や「これが民主主義ですよ!」と興奮気味に叫ぶ男性がいたそうだ。2つの記事はまるでカルト教団が教祖を仰ぐがごとき勢いだ。統一地方選の圧倒的勝利を見ても維新のカルトは都市にとどまらず全国に広がりつつある。いや、維新だけではない。日本は新自由主義と極右が合体した、さらなるカルト国家になろうとしている。

 

大阪では放送局が吉本と組んで維新の後押しをしている。昔アラブの放送局が2つあり、一局はナセル大統領ばかり放送し、もう一局は「裏を見ろ」と叫び続けていたというジョークがあるが、まさに同じ状態。全部が維新の応援団だ。その証拠に三重県では維新が全く当選しない。放送的には名古屋と同じで、関西の番組が流れないからだ。

そして自民党も第2次安倍政権以来その状態が続いている。それこそ今話題の放送法問題だ。おそらくナチの手法を真似たであろうやり方が徐々に功を奏している。

それを問題提起した小西議員は、オフレコでしゃべったサル発言で鬼の首を取ったように批判され処分された、とくにフジテレビや産経新聞が攻撃した。メディアに政権が介入するのはそれこそメディアにとって最大の危機である。それに抵抗するどころか、味方を背中から撃つとは何事か。

対する高市大臣は詭弁(きべん)を弄して辞任もせず、ここでもフジの日曜報道で、その日のテーマとは関係ない自己弁護をとうとうと語り出した。司会は止めもせず話が終わったら、そのまま番組は終わった。

カルトという言葉が一般的になったのは、その昔フジテレビでオタクの重箱の隅的知識を競う「カルトQ」というクイズ番組からだ。皮肉にもそれから30年、フジのカルト化は完成した。

「ひょうきん族」の頃のおおらかなあのフジテレビはもう帰ってはこないのか。独裁カルト国家は完成してしまうのか。

(ラサール石井/タレント)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コロナ対策で浪費された3900億円超…「“科学の軽視”と中抜きが原因」と元官僚

2023年03月31日 07時06分14秒 | 行政

今年2月までに、新型コロナワクチンが少なくとも7783万回分、金額にして2000億円超が有効期限切れで廃棄されていたーー。

コロナ対策で浪費された3900億円超…「“科学の軽視”と中抜きが原因」と元官僚
コロナ対策で浪費された3900億円超…「“科学の軽視”と中抜きが原因」と元官僚© 女性自身

3月18日の毎日新聞の報道によって、こんな衝撃的な事実が明らかになった。政府のずさんな施策によって、本来、有効に使われるべきコロナ対策費用の多くが“ムダ”にされているという。

多くの人が、コロナのムダと聞いてまっさきに思い浮かべるだろう例が、約540億円もの血税を注ぎ込んだものの、ほとんどつけている人を見かけなかった“アベノマスク”だろう。マスク不足解消のため、安倍晋三首相(当時)の肝いりで、政府は2020年春から布マスクを各世帯に配布。しかし、国民に行き渡ったのはマスク不足が解消した6月末というお粗末さだった。

しかも、虫入りや汚れなどの不良品が多数見つかり、約31億円が検品代や、余ったマスクの保管料に消えてしまったのだ。

「コロナ禍が始まった当初、なにかの記事で読んで、布マスクはほとんど効果がないことを知ったんです。つまり、安倍さんは税金を使って非科学的なことをしようとしていた。裏を返せば、本来すべきことができていないことになります。これは裏に利権などが絡んでいる可能性もあると思ったのが、国に情報公開請求をしたきっかけです」

そう話すのは、国が開示を拒否した“アベノマスク”の単価開示を求める裁判を起こした、神戸学院大学法学部教授の上脇博之さん。大阪地裁は2月28日、国に開示を命じる判決を下した。国は控訴を断念。

3月15日、参議院予算委員会で辻元清美議員の質問に対し、国は単価や枚数を開示した。だが、依然として契約の経緯は不透明であるという。

■“やってる感”演出がいちばん大事

本誌の試算では、一連のコロナ政策で、結果として不必要だった出費や、避けられた出費は少なくとも3900億円にものぼる(表参照)。

「極端な話をすれば、単年度77兆円といわれるコロナ対策予算は、すべてムダだったんじゃないかとさえ思えます」

そう斬り捨てるのは、コロナ禍の取材を続けてきた元朝日新聞記者の佐藤章さん。ムダだと思う理由のひとつが、前出の上脇さんも指摘していた“非科学的”な政府のコロナ対策だという。

「コロナウイルスの感染経路は、ほぼ空気感染であることがわかっています。WHOは2021年4月、〈空気感染は一般的な感染経路の一つ〉と認め、その年の8月には米国の世界的な科学誌『サイエンス』にも論文が載りました。もはや世界の常識だったのに、日本では2022年1月になっても国立感染症研究所(以下、感染研)は『空気感染は増えていない』というレポートを出していたんです」

感染研とべったりでコロナ対策を進めてきた政府も、認識を改めようとはしなかった。

「だから日本では、あまり効果のないアクリル板ばかりが設置され、世界の標準対策になっていた、空気感染を防ぐための空気清浄機設置という基本的なコロナ対策が決定的に遅れました。そのために、どれほど多くの飲食店が倒産し、学生たちがキャンパスライフを失ったか……」(佐藤さん)

なぜ日本のコロナ対策は、これほどお粗末なのか。元経産省官僚で政治経済評論家の古賀茂明さんは、こう分析する。

「いちばん大事にしていたのは、“やってる感”です。つまり、コロナ対策でも何が科学的か、何が効果的かなんて中身はどうでもいい」

ワクチンも「1日100万回接種」という数字が最優先。数字こそ達成したものの、完全に統制を失い、結果として大量のワクチンをムダにすることになった。

「ここ数年は、コロナ対策という大義名分のもと、打ち出の小づちのようにジャブジャブと予備費が使われていきました」

さまざまな名目で“支援事業”を生み出していった。その結果、各省庁はおのおのの事業を精査できず、おのずと電通など政府と近しい企業に事業を丸投げすることに……。

「その結果、潤ったのは“お友達企業”ばかり。そこから、さらに複数の下請け企業に投げられるので、政府のチェック機能はますます働かなくなります。結果的に、お金に群がって集まってくる企業の、やりたい放題に」(古賀さん)

リストを見ると、政府に近い企業が“中抜き”し、そこからいくつもの下請け企業に流れるという構図ができあがっているのがわかる。

ほとんど機能しなかった接触確認アプリCOCOAの開発も同様だった。実質的な開発を担ったのは、受注した企業ではなく、再委託先や再々委託先だ。

「当時、私はCOCOAのシステムを調査した、あるSEを取材しました。彼が言うには、〈素人に毛が生えたような簡単な作り方。これではトラブルが起きるのも当然〉と。つまり、やっつけ仕事のレベルだったんです」(佐藤さん)

緊急時を言い訳に、これ以上、国民の税金を食いつぶすようなことは許してはならない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

〈放送法と官邸圧力〉「高市大臣更迭は本質ではない」「放送法を国民の手に取り戻すために放送法4条はただちに削除を」元経産官僚・古賀茂明氏

2023年03月25日 06時59分21秒 | 行政

高市早苗大臣の「ねつ造」発言で論点が拡散してしまった感のある<放送法と官邸圧力>の問題。放送法の解釈が時の政権に委ねられるのではなく、これを国民の手に取り戻すために今、何をすべきなのか?“報ステ降板騒動”を通じて、官邸によるメディア圧力を身をもって体験した元経産官僚・古賀茂明氏の提言をお届けする。

「ひとつの番組でも政治的公平性を判断できる」とした政府統一見解

立憲民主党の小西洋之参院議員が安倍政権当時の総務省作成として公表した、放送法の「政治的公平」に関する内部文書
立憲民主党の小西洋之参院議員が安倍政権当時の総務省作成として公表した、放送法の「政治的公平」に関する内部文書© 集英社オンライン 提供

――小西文書を読むと、政権に批判的なマスコミの口封じをしたい安倍首相の意を受けた、あるいは汲んだ礒崎首相補佐官が自分の担務でもないのに(注・礒崎秘書官の担務は経済安全保障と選挙制度)高市総務大臣の頭越しに総務省の放送行政に介入し、放送法4条の解釈変更を強圧的に迫ったプロセスがよくわかります。

古賀茂明(以下同) 当時、安倍政権がマスコミに圧力をかけていたことは「報道ステーション」降板という自身の体験を通して、ある程度理解していたつもりでしたが、まさかここまで官邸が露骨に、しかも非民主主義的な手法で放送法4条の解釈を変更していたとは本当に驚きました。

こうした放送法の根幹に関わる解釈変更は小西文書で総務省出身の山田真紀子首相秘書官が指摘しているように、本来なら内閣法制局に事前相談するとか、審議会を回した上で整理するとか、あるいは国会でオープンに審議して法改正してから行うべきものなのです。

――放送の自律、自由への権力介入に他ならず、けっして許されることではないと。

もちろんです。小西文書によって報道の自由が一政権によって歪められ、侵害されたことがわかった以上、「ひとつの番組でも政治的公平性を判断できる」とした2016年の政府統一見解は撤回されなくてはなりません。

岸田政権では放送法の解釈は何も変わっておらず、16年の統一見解は『従来の解釈に補充的な説明を追加しただけ』と逃げていますが、詭弁もいいところです。実際には放送業者は政治権力からのプレッシャーを受け続けており、岸田政権はこの統一見解を今すぐにでも見直すべきです。

 

岸田首相は「高市更迭」を様子見

〈放送法と官邸圧力〉「高市大臣更迭は本質ではない」「放送法を国民の手に取り戻すために放送法4条はただちに削除を」元経産官僚・古賀茂明氏
〈放送法と官邸圧力〉「高市大臣更迭は本質ではない」「放送法を国民の手に取り戻すために放送法4条はただちに削除を」元経産官僚・古賀茂明氏© 集英社オンライン 提供

――ただ、世間の関心は16年統一見解の撤回より、高市大臣が辞任するかどうかの一点に集中しています。

完全に論点がずれていますよね。小西参院議員は総務省職員から「国民を裏切る行為をこのまま見て見ぬふりはできない。国民の手に放送法を取り戻してほしい」と言われ、この文書を託されたと聞いています。それを考えるなら、政治権力の介入を許しかねない16年の政府統一見解の撤回こそが、今回の行政文書流出事件のメインテーマとなるべきでしょう。

ところが、高市さんが小西議員らの追及に感情的になり、「文書はねつ造」だの、「自分が間違っていたら大臣も議員も辞める」だのと言ってしまったので、そちらにばかり世間の関心が行ってしまった。官邸の振り付けにしたがって放送法4条の解釈変更や停波を口にした高市さんの政治責任は重大ですが、その進退問題はある意味、二の次。

本当に国民にとって重要なのは表現の自由や国民の知る権利の侵害につながりかねない放送法の解釈変更の撤回の方です。

――岸田首相にすれば、論点がずれて注目が高市さんばかりに集まるのは悪いことではないのでは?

自分への風当たりがそれだけ弱くなるわけですから、内心では喜んでいるかもしれません。おそらく岸田さんはいま4月の統一地方戦を前にして、高市大臣を更迭すべきか、続投させるべきか、様子見をしているのでしょう。

高市さんを切れば、彼女を熱烈に支持する右派岩盤層を敵に回すことになる。その一方で、引き続き閣僚として彼女を続投させれば国民の批判を受けかねない。どちらが政権延命のプラスになるか、必死で計算をしているはずです。

 

今こそ放送法4条削除を

〈放送法と官邸圧力〉「高市大臣更迭は本質ではない」「放送法を国民の手に取り戻すために放送法4条はただちに削除を」元経産官僚・古賀茂明氏
〈放送法と官邸圧力〉「高市大臣更迭は本質ではない」「放送法を国民の手に取り戻すために放送法4条はただちに削除を」元経産官僚・古賀茂明氏© 集英社オンライン 提供

――世論はどう動くべきでしょう?

先に言ったように、まずは岸田政権に16年統一見解はその公表プロセスに問題があったとして撤回を迫るべきです。ただ、それだけでは足りない。放送法の成立を考えれば、4条は違反したら罰則があるというような法規範でなく、放送の自由を保障するための倫理規範と見るべきだというのは確立した通説です。だから、放送法には4条違反についての罰則規定がないのです。

にもかかわらず、政府だけは長い間、4条の条文を根拠に政治的公平性について総務大臣、すなわち政治権力が判断できるとしてきた。だとしたら、この機会に16年統一見解を撤回するに留まらず、放送法本来の精神に立ち返って政府が放送に介入できないようにする手立てを講じることも重要でしょう。そのためには『政治的公平性』という文言などが含まれる4条そのものを削除する法改正に取り組んでもよいのではないかと思います。

3条の「放送番組は(中略)何人からも干渉され、または規律されることがない」という条文だけで必要十分なはずです。国民の関心が高市辞任や開催中のWBCに集中することで、自政権への風当たりが弱まってほしいと岸田首相は心中で願っているかもしれませんが、それを許してはいけない。小西文書問題は政権がいますぐ対応すべき重要案件だとして、私たちは16年統一見解の撤回や放送法4条削除を岸田首相に迫るべきでしょう。

写真/共同通信社 AFLO

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

GPIF、20年ぶり4四半期連続赤字-10~12月はマイナス0.97%

2023年02月04日 09時15分35秒 | 行政
  • 収益額は1兆8530億円の赤字、国内株以外の3資産がマイナスに
  • 国内外の株価は上昇、円高による影響で外貨建て資産押し下げ
 

世界最大の年金基金、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の2022年度第3四半期(10-12月)の運用収益はマイナス0.97%だった。赤字額は1兆8530億円。4四半期連続の赤字は約20年ぶりとなる。

  資産別の収益率は、国内債券がマイナス1.73%、国内株式がプラス3.24%、外国債券がマイナス5.33%、外国株式がマイナス0.05%だった。

  12月末時点の運用資産額は189兆9362億円と、9月末の192兆968億円を下回った。市場運用を開始した01年度からの累積の収益率(年率)はプラス3.38%、収益額は98兆1036億円。

  SMBC日興証券・金融財政アナリストの末沢豪謙氏は、運用結果について「金利上昇と為替の影響が大きかった」と分析。今後もGPIFは基本ポートフォリオを超えたら売却、下回ったら買いという「時価ベースのアセットアロケーションに徹するしかない」と指摘した。  

GPIF President Norihiro Takahashi Presents Annual Results
 GPIFの看板
 

  10-12月は国内外の株価が堅調に推移した一方、外国為替市場では円高が進んだ。株価指数でみると、先進国と新興国の株式で構成されるMSCIオールカントリーワールド指数が9.4%高、米国のS&P500種株価指数が7.1%高、東証株価指数(TOPIX)は3%高だった。

  為替は円がドルに対して9.4%高、対ユーロでは1%高となり、外貨建て資産の円換算額を押し下げた。

  GPIFは、長期の実質的な運用利回り目標として賃金上昇率を1.7%上回る水準に設定し、20年度からは資産配分を国内外の債券と株式に25%ずつ、等分に振り向ける基本ポートフォリオに基づいて運用している。

  現在とは収益率の計算方法が異なるが、GPIFが過去に4四半期連続で赤字運用となったのは02年度の第1四半期から第4四半期。当時は円高が進んだほか、巨額の不正会計問題を引き起こした米エネルギー取引会社エンロンが01年12月に破綻するなどした影響で、世界的な株価下落を招いた。

資産構成割合 22年12月末 9月末 6月末 3月末 21年12月末
国内債券 26.07% 27.26% 25.65% 26.33% 24.95%
国内株式 25.07% 23.84% 24.53% 24.49% 24.92%
外国債券 24.59% 25.04% 25.70% 24.07% 24.46%
外国株式 24.27% 23.86% 24.12% 25.11% 25.68%
オルタナティブ 1.43% 1.47% 1.32% 1.07% 0.92%
10-12月 収益額 収益率
運用資産全体 -1兆8530億円 -0.97%
国内債券 -8475億円 -1.73%
国内株式 +1兆5670億円 +3.24%
外国債券 -2兆6651億円 -5.33%
外国株式 +926億円 -0.05%

※GPIFによると、収益額と収益率の計算方法が異なるため、外国株式では収益額がプラスの一方で収益率がマイナスになる現象が発生した

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日本政府は「世界標準」から決定的にズレている…この国の政府が「財政赤字を気にしすぎ」だと言えるワケ

2023年01月08日 08時55分53秒 | 行政

気鋭のエコノミスト永濱利廣氏は『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』で、「低所得・低物価・低金利・低成長」の「4低」状況を「日本病」と名付け、その原因と、脱却の道筋を考察している。

デフレ脱却のために、海外諸国は大胆な財政出動を行い、見事に立ち直ってきた。なぜ日本は積極的な財政出動に踏み出さないのか?『日本病——なぜ給料と物価は安いままなのか』から見てみよう。

日本の“購買力”は「57ヵ国中33位」…「低所得・低物価・低金利・低成長」に苦しむこの国の「厳しすぎる現実」
日本の“購買力”は「57ヵ国中33位」…「低所得・低物価・低金利・低成長」に苦しむこの国の「厳しすぎる現実」© 現代ビジネス

政府債務残高は増えるのが「ふつう」

サマーズ氏やバーナンキ氏に限らず、海外の主流派経済学者の間では、デフレ脱却のためには金融緩和に加えて財政の積極的な出動が必須であるというのが常識になっています。

しかし、日本では均衡財政主義が主流になっています。そして、マスコミでは「日本の政府債務が増えて大変だ」というメッセージが定期的に流されるので意外に思われるかもしれませんが、海外と比較したグラフ(図表4-2)を見ると、明らかに日本の政府債務残高は増え方が少ないことがわかります。

 
日本政府は「世界標準」から決定的にズレている…この国の政府が「財政赤字を気にしすぎ」だと言えるワケ
日本政府は「世界標準」から決定的にズレている…この国の政府が「財政赤字を気にしすぎ」だと言えるワケ© 現代ビジネス

2001年の政府債務を100とした場合、最も多いイギリスでは6倍以上、アメリカで5倍以上、フランス、カナダも約3倍、ドイツで2倍程度になっています。これに対して日本とイタリアは2倍にも満たない状況です。

よく新聞などで「過去最大の予算」「拡大する財政赤字」と、まるで大変なことが起きたかのように騒がれますが、これはナンセンスです。政府債務は増えるのが常識で、毎年予算は「過去最大」がふつうなのです。

バランスシートでは、「債務」の対には必ず「資産」があります。つまり、政府が債務を増やして支出を増やすということは、民間部門に支払われた分だけ、民間部門の資産が増えているということなのです。

イギリスやアメリカは政府債務が5~6倍も増えているわけですから、当然経済も拡大します。一方、日本と同じく緊縮財政のイタリアも、賃金が上がっていないのは図表1-3で見たとおりです。日本は政府から民間へ回すお金が圧倒的に少なすぎたことも、低成長の一因と言えるでしょう。

 
日本の給料は「先進国で最下位争いをするレベル」…日本経済をここまでのドン底に突き落としたものの「正体」
日本の給料は「先進国で最下位争いをするレベル」…日本経済をここまでのドン底に突き落としたものの「正体」© 現代ビジネス

財政健全化は必要ないのか?

そうすると、政府債務残高を減らす=財政の健全化は不要なのか?という疑問が湧いてくると思います。実は、そこが日本と海外の専門家の考え方の最大の違いにもなります。

日本では、政府債務をあまり増やさないほうが良いという意見が多くみられます。政府の一般会計予算を見る立場で、政府内だけを見たら、確かに債務は増えないほうが良いということで、プライマリーバランス(国や自治体の基本的な財政収支)を黒字化したくなるでしょう。日本で政府債務残高に危機感を持つ考えは、すべてこの立場から来ています。

しかし、もっと俯瞰的に経済を見れば、「中央銀行」という特殊な存在に気付くはずです。

現在の日本の政府債務の約半分は、日本の中央銀行である日銀が新たに発行したお金で国債を市場から買って吸収しています。国債保有者に対して政府は利息を払いますから、政府は日銀に利息を払っていますが、日銀の儲けは国庫納付金として最終的に政府に戻ってきます。また、元本についても、政府は民間企業や個人とは違うので、借り換えで続けていけます。

つまり、政府債務のうち、日銀が持っている債権は別枠で考えなくてはなりません。

これが海外の専門家では常識の「統合政府」と呼ばれる考え方です。

日銀の出資証券は半分以上、日本政府が持っていますので、いわば民間企業における子会社のようなものです。民間企業では子会社も含んだ連結決算をするのが常識であり、連結決算においては親会社・子会社間のお金の貸し借りは相殺されます。同じように、事実上の政府債務は、中央銀行の保有分を別枠で考えるべきだという論です。

実際にグラフ(図表4-3)を見ると、政府債務残高は毎年増えていますが、日銀保有分を抜いてみると一気に減ることがわかります。

 
日本政府は「世界標準」から決定的にズレている…この国の政府が「財政赤字を気にしすぎ」だと言えるワケ
日本政府は「世界標準」から決定的にズレている…この国の政府が「財政赤字を気にしすぎ」だと言えるワケ© 現代ビジネス

さらに日本国債というのは海外保有の割合が低く、9割程度が国内で持たれています。ゆえに、日本国債はマーケットで不安視されていませんし、日本国債の信用力を反映したクレジット・デフォルト・スワップの保証料率から弾き出される倒産確率は0.3%程度と、アメリカと並んで安定しているわけです。つまり、日本の政府債務は「危なくない」のです。

そして、ここで重要なことは、政府債務残高だけで財政の予算制約を計るのは間違いである、ということです。少なくとも現在、海外の専門家の多くはそう考えています。

では、何で見るかと言うと、インフレ率です。

中央銀行の保有国債を別枠で考えられるならば、理論上は、すべての国債を中央銀行が買えば政府債務をゼロにできます。しかし、中央銀行が国債を買う場合には貨幣を新たに発行するわけですから、やりすぎると大幅なインフレに傾いていく可能性があります。だから、インフレ率が指標になるのです。

このように、財政規律は政府債務だけではなく、インフレ率なども含めて総合的に計るのがグローバルスタンダードです。そして、2022年3月現在の消費者物価指数で見たインフレ率はアメリカで8%、ヨーロッパで7%を超えていますので、欧米では経済政策を引き締める方向に向けて動き出しています。

この考え方で見れば、日本のインフレ率はグローバルスタンダードな目標の2%に遠く及びませんので、まだまだ財政出動が可能という判断になります。少なくとも中立金利が低すぎて金融政策が効かない状況(流動性の罠)から脱するまでは、財政出動によって政府が効果的にお金を使わないと、日本経済は良くならないでしょう。

さらに、【つづき】「日本経済が「大復活」を遂げるためには、なにより政府・日銀の「辛抱強さ」こそが重要になる…!」では、政府や日銀がどのような対策を取れば、日本経済が復活を遂げるのかを見ていきます。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする