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<祇園暴走> 信号待ち、突然の衝撃 負傷者が恐怖体験語る

2012年04月16日 07時39分15秒 | ニュース
 京都市東山区の祇園で暴走車にはねられた男女18人が死傷した事故で、負傷した被害者2人が15日、毎日新聞の取材に応じた。うららかな春の日の繁華街で、想像もしない事故に巻き込まれた恐怖の体験を生々しく語るとともに、目前で失われた多くの命を思い、「二度とこんな事故が起きないように原因を究明してほしい」と訴えた。

 同区内のフリーカメラマン、米田喬(たかし)さん(29)は12日、自転車で四条通大和大路交差点を北側に渡るため、南東角で電柱にもたれて信号待ちをしていた。

 イヤホンで音楽を聴いており、音には気付かなかった。突然、左足を後方から払われたような強い衝撃を受け、自転車ごと右側に転倒。その時、軽ワゴン車が横断歩道を渡る群衆に突っ込み、多数の人が倒れるのを見た。

 「人の壁に車が入っていくようだった。ブレーキランプはつかなかった。交差点内の市バスをよけるように走り去った」と証言する。

 あちこちで悲鳴が上がった。「追走車が来るかも。あの車がまた戻ってくるかも」。そう思うと冷や汗が流れ、手足が震えた。左足がしびれて動けず、近くの店舗の壁の前に座り込んだ。

 目の前に、割れた植木鉢にかぶさるように女性が倒れていたが、どうすることもできない。駆けつけた救急隊員に「自分より重傷の人を先に」と言うのが精いっぱいだった。

 搬送され、「左足打撲。10日間の安静」と診断された。その日は左京区の実家に帰ったが「布団に入っても全く眠れなかった」。後日、女性が澤西桃代さん(62)=東山区=で亡くなったことを知り、現場に行って手を合わせた。

 友人らから容体を気遣う電話が数え切れないほどかかってくる。家族も「夜は実家に帰って来い」と心配してくれる。「家族や友人のありがたさを改めて感じた」。それだけに、事故で大切な人を失った遺族らの無念さを思う。「容疑者の意識の有無など分からないことが多い。私が体験を話すことで少しでも真相解明に役立てば」と話した。【花澤茂人】

 ◇平山さん、岸本さん葬儀

 大阪府守口市の田中美夢さん(67)は12日午後1時ごろ、友人の平山節子さん(69)=同市=とともに京阪祇園四条駅に到着。桜を見に八坂神社や高台寺を回ろうと四条通の南側歩道を歩いていた。

 事故現場の交差点の信号が青になり、東へ向けて渡り始めた時だった。交差点南側で信号待ちしていた車の右脇を、猛スピードで車が通り抜けてきた。「アクセルを踏むような『ブォーン』という轟音」だった。田中さんは車に接触、5~10分ほど気を失った。気がつくと、田中さんの左側を1歩先に歩いていた平山さんが見当たらない。周囲には5、6人が倒れ込んでいた。

 平山さんの携帯電話に電話をかけたが、つながらない。倒れ込んだ人の顔を1人ずつのぞき込んで捜すと、四条通の反対車線側で倒れ、観光客らに蘇生措置を受けている平山さんを見つけた。平山さんは呼びかけに答えず、同日夜、亡くなったことを病院で知らされた。

 平山さんの葬儀は15日、大阪市鶴見区で営まれ、田中さんも参列した。守口市内の旧三洋電機の系列会社で共に働いた30年来の友人。遺体に「せっちゃん(平山さん)なら天国でもみんなに愛されて楽しく過ごせるよ」と話しかけたという。

     ◇

 岸本真砂子さん(68)=大阪府豊中市=の葬儀は同市内で営まれ、着物の着付け教室や英会話サークルなど多彩な趣味を通じた関係者が多数参列した。着付けを教えていた芝谷アサ子さん(80)は09年、一緒にポーランドへ渡航。イベントで着付けを披露したことが忘れられないといい、「文化を学ぼうとする姿勢がとても熱心。英語も達者で、優しい人だった。こんな事故で亡くなるなんて」と肩を落とした。【村松洋、石戸諭】