05/5/22海保
5月対抗戦(1)
75回目の定期競漕大会がやってきました。
年度はじめの対抗戦です。新入生には愛校心の種を、在校生には愛校心のあらためての発露を、そしてOB方々には昔のあの愛校心を思い出していただく格好の機会です。選手のがんばりはもとより応援のほうもよろしくお願いします。
実は昨年の今頃、生まれて初めて競漕を拝見させていただきました。
驚いたことばかりでした。
驚いたことその1。レースの静かなこと。いつ競技が始まり、いつ終わったのかがわからないくらいに静かにレースが進んでいくのにはびっくりしました。
驚いたことその2.川岸に陣取る応援のすごいこと。レースが静謐なだけに、その賑やかさと熱心さは際立った対照をなしていました。老若男女一体となった応援団の数の多さと熱意のこもった応援に真から驚かされました。
驚いたことその3。レースの多彩なこと。ボートレースは、たくさんのたくましい男が後ろ向きでわっしょいわっしょい漕ぐだけの単純な筋肉スポーツだとばかり思っていました。さまざまな競技種目があるだけでなく女子選手の種目もあるのを知って驚きました。
驚いたことその4。両校の対戦回数の多いこと。今年は、第75回ですから、自分が生まれる前から始まっていたわけです。一体、これを継続させた力は何なのでしょうか。2つの高校の間をつなぐ赤い糸の由来にまで思いがいきます。
「コラム;伝統」
広辞苑によると、「ある民族や社会・団体が長い歴史を通じて培い、伝えてきた信仰、風習、制度、思想、学問、芸術など。特にそれらの中心をなす精神の在り方」となっています。
これほどなんでも含むとなれば、学校などで伝統という言葉が実によく使われるのもさもありなんです。「我校の伝統」「伝統の一戦」「伝統的行事」「伝統の継承」などなど。
反抗期にある中高生諸君からすると、あまり伝統、伝統と言われると、「伝統がなんなの」という反発を覚えることもあるかもしれません。それはそれでまっとうな反発というところもありますが、しかし、伝統の力は馬鹿にできません。
人間は、歴史という大きな流れの中で、高々100年くらいしか存在できません。ましてや、今いる学校には3年程度しか在籍できません。諸君は、いくらがんばっても学校の歴史にほんのちょっと登場するだけです。
そのことを突き詰めて考えると、なにかむなしい気持ちになるかもしれませんが、そのむなしさを埋めるものが、伝統です。
物理的な登場時間は「ほんちょっと」ですが、それが諸君にとっても学校にとっても意味を持つものに変えるのは、伝統です。
いわば、伝統という常設の舞台(学校)で一定の役柄を演じているのが諸君ひとりひとりなのです。舞台だけあっても諸君がいなければ、舞台は成り立ちません。諸君が演技をしようにも舞台がなければ、どういう演技をしてよいのかわかりません。
舞台でどんな演技を披露できるのか。それが、新たな伝統を作り出すものになるか、伝統に埋没したものに終わるかは、ひとえに、諸君の力量とがんばりにかかっています。
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その2
年度はじめの対外試合は自分達の実力を知り今後の目標を立てる格好の機会です。勝ち負けも大事ですが、そこから学ぶことも忘れないでください。
対抗戦というと、ただちに思い浮かぶのが、早慶戦ですが、この対抗戦も、早慶戦に負けないくらい歴史が古いですね。
歴史とか伝統とは、不思議なもので、私のような、まったくの新参者でも、たちまちのうちにその雰囲気に飲まれてしまうようなところがあります。諸君も、その雰囲気を感じているはずです。
対抗戦は、ただの戦いとは違って、もう一段、テンションが高まります戦う選手はもとより、応援する人々も、興奮できるのが対抗戦です。力一杯がんばってください。そして終わったら、勝敗を忘れて、握手してください。
今日のくやしさ、今日の優越感をバネにまた来年、お互いにもっと強く、もっと充実した戦いと応援ができるようにがんばっていただくことを祈念しています。
「コラム;競争と協同」
競争には負けるよりも勝つほうがいいに決まっています。だから、誰しもが競争に勝つために、ときには死ぬほどの努力をします。その努力が諸君の心身を鍛えます。
チームが打って一丸になって相手チームと戦って勝つような場合には、チーム内ではお互いに協同する必要があります。協同がうまくいけばいくほど、相手に勝てるチャンスが増えます。
競争と協同、これがたっぷりと体験できるのは、青春の醍醐味です。