● マニュアル問題の発生
ワープロが急速に普及し始めた1985年年頃、マニュアル問題が発生した。高度なハイテク機器、ワープロが誰でもが使えるような使用環境になってきた時、当然のこととして、その高度技術にまったくの知識のない人々がユーザとして参入してきた。そこで起こったのが、マニュアル問題であった。
マニュアル問題とは、高度技術を組み込んだ民生品の普及に伴い、マニュアルベースの操作説明がその役割を十分に果たせない、という問題である。
マニュアル問題の構造的な背景として、従来のエネルギー変換型の機械とは、いろいろの点でまったく異なったシンボル変化マシーンが出現したということがある。ワープロを使うのは、はさみを使うのと根本的に違うのである。
そこで、少なくとも、操作に関しては、マニュアルによってユーザを支援することになったのだが、技術に詳しい技術者が作ったマニュアルでは、とてもわかりにくくて支援にはならなかったのである。
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