「待たされるとイライラするのはなぜ」
●待たされたくないランキングトップ3は
2005年の電通の調査ですが、待たされるとイライラするトップ3は、次のようになるそうです。
1位 金融機関で 48.8%
2位 病院で 45。0%
3位 人との待ち合わせで 35.3%
あとは、「スーパーなどのレジで」「外出先でのトイレで」「飲食店で料理が出で来るまで」「信号や踏切で」「電車やバスで」「美容院・理容室で」「タクシーで」と続きます。
この調査結果でおもしろいのは、待たされてイライラするのは、必ずしも、待たされる時間の長短には関係ないことです。金融機関でどれほど待たされても15分くらい、一方、病院での待ち時間は1時間くらいは当たり前です。
では、何がまたされるイライラを決めているのでしょうか。
一つは、どれほど事が切迫しているかです。お腹のすいている人にとって、料理が出てくるまでの5分はイライラを通り越して苦痛さえ感じてしまうはずです。
2つは、事の性質です。恋人との待ち合わせでの10分待ちと、仕事の打ち合わせでの10分待ちとでは、イライラ感はかなり違います。
3つは、予測可能性です。あらかじめ待たされそうなことがわかっている時とそうでない時、あるいは、どれくらい待たされるのかがわかっている時とそうでない時とでは、イライラ感は異なります。電車やバスの「次はあと5分」情報がどれほどイライラ感を下げるのに貢献をしているかを思い出してください。
4つは、予測可能性とも関連しますが、事態のわけのわからなさです。どうしてそれほど待たされるのかが皆目わからないときにはイライラ感はつのります。
最後は、個人的な体験や性格です。待つのに慣れることもあります。性格的にゆったり、のんびりということもあります。
●相手を待たすイライラを少しでも減らすために
今度は、自分が相手を待たせてしまったために、相手にイライラさせてしまった時にどうすればよいかを考えてみます。
私の体験になりますが、行きつけの車の販売店兼修理工場では、たとえ、車検での1時間の待ち、突然の不具合の修理でもイライラさせられたことは皆無です。どうしてでしょうか。
車を点検して、どこがどうなっていてどうすればよいかをしっかりと説明してくれます。そして、これくらいの料金と時間がかかりますがよろしいでしょうかと確認してから作業に取りかかります。ある時気がついたのですが、いつも終了予定時間より早めに仕上がるのです。顧客にイライラ感を与えないためのちょっとした工夫ですね。
さて、相手にイライラさせないためには、このようにちょっとした気配り、工夫、方策が必要です。
まずは、切迫感にかかわる対応です。会社のコンピュータシステムがダウンした、できるだけ速く復旧してほしい、というようなケースでは、誰がみても事が切迫しています。こんな時は、何をおいても即応しなければなりまません。イライラ感では済まない事態に発展してしまうからです。
難しいのは、個人の心理的切迫感への対応です。客観的にみてその事態はそれほど切迫しているはずはないと判断できても、その人にとってはそうではないということがあるからです。
そこで、2つ目の対応です。
イライラ感は、それが高まれば高まるほど、それを感じている人の状況認識を妨げてしまうことがあります。目の前で何が起こっているかがわからず、あれこれ余計な事にまで思いが行ってしまったりします。まずは、そんな心理状態にさせないための方策が必要です。
一番大事なことは、2W1Hです。何が起こっているのか(What),なぜそうなったのか(Why)、どう対応すれば良いのか(How)を、相手も自分もしっかりとつかむためのコミュニケーションをすることです。
3つ目は、事態の進行状況などについての情報提供です。最近では、携帯電話の威力が発揮されて、人との待ち合わせでイライラということはほとんどなくなったはずです。同じ10分待ちでも、今どこにいてあと何分、という情報が得られれば、その間の時間つぶしもできます。じっと10分待つイライラから解放されます。