感情が集中力を左右する
2017-11-09 | 健康・スポーツ心理学
感情が集中力を左右する
感情と集中力とは密接な関係があります。
その一つが、感情のほうに集中力が独占されてしまう関係です。
たとえば、「イラつく」という感情を考えてみてください。そのイラついている自分の感情のほうに集中力が向かいます。そして、仕事に向けるべき集中力を、そのイラつきの原因探しや対応に使うことになります。かくして、仕事での集中力不足によるミスが発生します。
もう一つは、感情が集中力をコントロールする関係です。
たとえば、強い恐怖は、集中力を一点にのみ向かわせます。「7対3の法則」は、ここでは機能しません。あるいは、不安。選択しなくともよいものまで選択し、集中力を分散分させて、結果として集中力不足によるミスをもたらします。
感情と集中力とのこうした関係は、感情がリスクセンサーの機能を果たしているところに由来します。
つまり、何か危険があるとそれを瞬時に察知して感情が発生し、それに応じた対応行動をとらせます。ですから集中力を感情と連動させておいたほうが、生き残るには有効だったのです。
ただこれが適応的に機能したのは、農耕、狩猟時代のことで、現在のような人工物で成り立っている社会では、感情と集中力と行動の間の関係は、それほど適応的ではなくなってきています。したがって、危機一髪の状況ではさておき、日常的な事態では、強い感情はできるだけ抑えて仕事に臨むほうが、ミスの可能性を低下させることができます。