最初の記憶
都小学校に入学したとき、母親につれられて写真館にいく途中の記憶が、自分の最初の記憶である。
最初の記憶は3,4歳くらいとされているから、これはやや遅い。これ以前にも3歳の終戦(1945年)の頃の厳しい現実の記憶などがあってもよいのだが、まったくない。まさに幼児期健忘である。
さて、その最初の記憶。実は、こんなエピソードとともに、しばしば思い出される。
それは、徒歩で、母親と写真館に向う途中、障害をもった方が多分、普通ではない歩きか行動をしていたのだと思う。その相手の光景はまったく記憶にないのだが、それを指でさして、母親に何かをいったのだと思う。母親が「人を指差すのはだめ」と叱責したのである。それはしっかりと覚えている。そのときの感情がかなり強かったのが、この最初の記憶を形成する決め手になったのではないかと思う。
最初の記憶は、これだけである。写真館での情景などはまったく思い出せない。ただ、母親と2人でとった写真はその後、何度かみたことがある。
なお、10年前の引越しのときに、膨大な写真をすべて廃棄してしまった。今にして思うと、しまったである。そんなものを見ながらのわたしの履歴書もありだった。思い出を捨てるのは、急ぐ必要はない。