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2006-10-29 | Weblog
自分で自分のブログをあけると、
映像は、下のプレビューのところにしか
出てきません
この欄にもっと大きく載せたいのですが?
しばらく試行錯誤が続きますが
ご勘弁ください

意味もわからずにやっているから
こういうことになるのは承知のうえだが、
歯が立たない

コミュニケーションの7つの特性

2006-10-29 | Weblog
04/5/31海保
長いプロローグ----コミュニケーションの7つの特性

特性その1「コミュニケーションは、自己表現なり」
特性その2「コミュニケーションは、知情意すべてがかかわる」

特性その2「コミュニケーションの目的は、指示、説明、説得の3つである」  

特性その3「コミュニケーションは、言葉・絵とジュスチャーでおこなう」
    発話とパラ言語

特性その4「コミュニケーションは、行ったり来たりが原則」




特性その6「コミュニケーションでは、正確かつ充分な情報を提供することが第一義」

特性その7「コミュニケーションは、場の力による影響を受ける」

********************************************************

特性その1「コミュニケーションは、自己表現なり」
一口にコミュニケーションといっても、そのねらいも形態もさまざまです。これからそのありさまをみていくことになりますが、まず最初に確認しておきたいことは、コミュニケーションの根底にはは自分(自己)があるということです。
 ちょっとした挨拶でも、いやちょっとした挨拶だからこそ、そこにあなた(自己)が出ます。やる気まんまんなら、挨拶する声には自然に張りがでます。沈んだあなたなら、自然と力のない挨拶になります。
 生まれたばかりの赤ん坊にも自己表現があります。泣いたり笑ったり、あるいはからだを動かしたりして、盛んに自己---まだ生理的な欲求だけですが---を表現します。
 もちろん、ある場面では、自己を極力抑えたコミュニケーションが求められることもあります。しかし、それは、一時的な方便に過ぎません。
 自己なきコミュニケーションは、主食のない夕食のようなものです。

特性その2「コミュニケーションには気持ちが大事」
 自己表現と言うときの自己には、気持ちもありますし、思いもあります、さらに、信念や態度もあります。あなたの知情意すべてがコミュニケーションの発信元です。
 コミュニケーションというとすぐにイメージするのは、言葉を使った会話だと思います。言葉が使われるためか、コミュニケーションは「知的」なほうにバイアスがかかってイメージされがちです。
 しかし、日常的な場面でのコミュニケーションを考えてみると、意外に、好き嫌いなどの気持ちのコミュニケーションが多いことに気がつくと思います。言葉こそ使いますが、およそ知的とは無関係のコミュニケーションです。
 たとえば、企画会議でのプレゼンテーションを考えてみてください。どうしてもその企画を実現したいとの強い気持ちがあれば、聞いている人へのインパクトはかなり強いものになるはずです。
 あるいは、こんな話もあります。
 継母が子どもに自分の本当の気持ちを悟られるのを恐れて、いつも、言葉では「かわいい」「好き」と言っているが、いっこうに子どもには通用しないというようなケースです。
 気持ちの入らないコミュニケーションは、ワサビ抜きの寿司のようなものです。。

特性その3「コミュニケーションのメディアは、多彩」
 コミュニケーションのメディア(仲介物)には2種類あります。
 一つは、自分の言葉、身体、表情です。これらがメディアであるのは、コミュニケーションしたいことを外に出す道具だからです。「うれしい」という気持ちを「うれしい」と言葉で表現することも、全身で表現することもできます。
 通常は、コミュニケーションしたい内容とそれを表現するメディアとは一体ですが、原理的には、内容とは独立にメディアを選択することができます。
 もう一つのコミュニケーションのメディアは、発信者の外にある道具とその道具を使って制作されたものです。
 紙と鉛筆、マイク、パソコンなどなど、情報化社会になって、多彩で強力なコミュニケーションの道具が開発されてきているのは、ご承知の通りです。また、その道具によって制作されるものとして、文書、映像、CDなど、これまた実に多彩なものが出回るようになりました。

以下省略*****

活動報告

2006-10-29 | 心の体験的日記
04/7/13海保

海保博之(心理学系教授)
16年度 活動報告 04/4-より05/3まで

1.研究活動
1-1 
「論文」
・「確かな学力とリテラシー」 指導と評価、04/7

「著書」
○単著
「学習力トレーニング」 岩波ジュニア新書 04/4
○共著
○分担
・「注意の事故管理不全とヒューマンエラー」(大山正・丸山康則編「ヒューマンエラーの科学」p159ー178、麗澤大学出版 所収)04/4

○監修
「エラーおもしろブック;知って得するヒューマンエラーの本」
中央労働災害防止協会 04/5

「学会発表」
日本心理学会WS「高齢者の手順習得」
医療事故シンポ パネラー 11月30日 

1-2 受賞・表彰
  なし
1-3 研究費
  なし

2 教育・業務活動

「人間学類」
認知心理学演習
認知心理学
心理学研究法
卒論指導3名

「心理学研究科」「人間総合科学研究科」
応用認知心理学演習
応用認知心理学
指導学生 3名

「教育研究科」
教育心理学特講
指導学生1名


3.学内委員活動
・付属高等学校校長
・人間学類 人事委員
4.学会・研究会活動
・プラント・ヒューマン・ファクター学会理事(03/1より現在)
・理論心理学会 機関誌 編集委員(平成15年7月より現在)


5.社会的活動

中央労働災害防止協会 「安全と健康のひろば」編集委員
図書文化協会 「指導と評価」編集委員
応用教育研究所所員
人事院 安全専門委員
全国国立大学付属学校連盟 理事


6.国際活動
「留学生」
教育研究科 中国留学生 金 1名

7.学位論文
「主査」課程博士

「副査」教育修士

8.学会・研究会の年次大会の開催
特になし

9.自己点検;
「研究面」
 
「教育」
  
「業務面」

「運営面」
 付属高等学校校長として、週2日の勤務をしているが、これ以外にも、各種附属学校行事にも参加した。



医療と看護の現場におけるヒューマンエラーを減らす

2006-10-29 | ヒューマンエラー
                     05/2/23 海保  改訂
医療と看護の現場における
ヒューマンエラー低減のための認知心理学からの提言
        筑波大学「心理学系」  海保博之

概要**************************************************
 エラーを事故につなげないためには、5M(Mission、Man,Machine,
Media,Management)一体で取り組む必要がある。ただ人が人を相手にして働く医療と看護の現場でのヒューマン・エラーは、ただちに事故につながってしまうことが多いだけに、その発生をできる限り抑えなければならない。
 そこで、本講演では、医療と看護の現場でのヒューマンエラーを減らすために看護師みずからが留意すべきこと(提言1ー5)と、エラーを事故につなげないための環境設計(提言6)とについて、認知心理学の立場から、6つの提言の形で提案してみる。
提言その1「コミュニケーション環境を良くする」
提言その2「目標管理を最適化することで使命の取り違えエラーを防ぐ」
提言その3「適切な知識管理によって思い込みエラーを防ぐ」
提言その4「適切な注意管理によってうっかりミスを防ぐ」
提言その5「確認を確実にすることで確認ミスを防ぐ」
提言その6「安全工学の考えを生かす」
****************************************************
 医療・看護の現場でのヒューマンエラーの特徴をプラントや原子力発電所におけるそれと比較してみると、2つの特徴を指摘することができる。
1)医療・看護の現場でのそれは、事故の被害が1人か2人程度に限定される。
プラントでは逆に、1人のエラーが大規模な被害を引き起こしてしまう。事故の被害が小さいと、マスコミも注目しない。当事者に限定的にしか事の重大さが認識されないため、より広範な対策にまで思いが及ばないということが多くなる。
2)医療・看護の現場では、エラーと事故との距離が非常に近いということがある。エラーがただちに事故につながってしまう。
 プラントでは、うっかりミスをしても、多彩な防御システムが用意されていてただちには事故にならないようになっている。
 このことは、医療・看護の現場では、働く人々一人一人がエラーをしない方策を考える必要があることを強く示唆している。

前提その1「メタ認知力を高める」
 人は必ずエラーをおかす。しかし、メタ認知力(自分の心を知り、自分をコントロールする力)を高めることで、事故につながるエラーを少しでも減らすことはできる。メタ認知力を高める王道は、エラー、事故に関する知識を豊富にすることである。本講演では、これが主となる。さらに、メタ認知力を高める方策として、内省/反省( reflection)をする習慣をつけ、さらに、その質を良質にすることが考えられる。    
    「エラーを知りおのれを知れば百戦たりとも危うからず」
前提その2「エラーを引き起す多彩な要因に目配りする」
 ヒューマンエラーを、その時その場にいたヒューマン(人)だけの問題として孤立させてとらえてはならない。その人を含めた組織、機械システム、メディア、さらに組織の使命にまで幅広くかつ深く原因追及の目を向けなければ、次の事故の防止にはつながらならない。     
      「”誰がした”より”何がそうさせた”かを考えよう」
前提その3「重大事故(アクシデント)を防ぐためには、     多層防御の仕掛けを作り込む」
 ハインリッヒの法則(1:29:300)は、エラーと事故との直結を断ち切る障壁を工夫することの重要性・有効性を示唆している。 
  「エラーは庭に生えた雑草 積み取らないとどんどん増える」


提言その1「コミュニケーション環境を良くする」
 チームで仕事をしているときは、コミュニケーション環境が良好であることが、エラー,事故の防止に役立つ。思いを話す、意見を聞くといったことから、正確に伝える、わかりやすく伝えることまで、コミュニケーション環境を良好にするための努力を怠ってはならない。   
   「ホウレンソウ(報告、連絡、相談) 事故防止の栄養源」
1-1)自由な発言、きちんとした権限関係が良好なコミュニケーション環境を作る   
○権威主義はエラーチェックが効かない(医師ー看護師)
○言わずもがなは危険(看護師ー看護師)
○患者はエラーチェッカーの最後の砦(看護師ー患者)
       「伝える勇気 受け取る素直さ」(ビル工事現場にて)
1-2)指示・連絡を正確に
    「サクシゾン 一文字抜けば 死を招く」(赤穂市立病院)
○口頭伝達は、誤解のもと
○複雑な指示は、反唱確認、メモなどによるダブルモードでの確認を 
  例 「IV(Intravenou;静脈内に)」と「1V(1 Vial;1瓶)」
      *略語は同じでも意味は違う
    「フェルムカプセル」 と 「フルカムカプセル」
    「アルマール」と「アマリール」
    「タキソール」と「タキソラール」
      *最初と最後の文字が同じ。文字数も同じ
      *メニュー画面にこれが隣同士で表示される
       *薬名1文字違いは、1520件ある(読売新聞)
1-3)指示・連絡をわかりやすくする
 指示・連絡の内容の「正確さ」と「充足さ」が、まず、大切。
 しかし、これを重要視するあまり、正確さ・充足さ中毒に陥り、わかりに くい指示・連絡になってしまうことがある。
             「正確さ中毒はわかりやすさの大敵」
  実習1「電話で絵を描かせると」
○相手の知識と状況に配慮する
 ?関連知識がどの程度あるかに配慮
  ・伝えたいことに関連することを知っているかを確認する
 ?状況への配慮
  実習2「同じことでも状況によって異なる表現をする必要がある」  
○指示(作業)の全体像や意味を先に説明することで何が何やらわけのわか らない状態にしない

** 
提言その2「目標管理を最適化して使命の取り違えエラー    を防ぐ」
 人はエラー、事故を起こさないことを目標に生きているわけではない。安全という制約(上位の使命)の中で仕事上の目標を達成することになる。ところが、しばしば、仕事上の目標が安全の制約をはみ出てしまったり、両者が葛藤したりすることがある。それが事故を発生させることにもなる。
  
 例 ミッション・エラ(使命の取り違いエラー)
    ・なにがより大切な目標かを見失う
    ・出来もしないことをやってしまう
    ・積極的行動によるエラーと表裏一体
       自己顕示欲と自己効力感がくせもの
    ・人によく思われたい/助けたい/喜んでもらいたい
             「ストっプ ザ 使命変更への誘惑」
2ー1)使命を意識して絶えず確認・活性化をはかる
  日本社会は、ハイ・コンテクスト(文脈規定性の強い)文化。 暗黙の使命が支配している。したがって、しばしば、使命と個人の内化目標との間にズレが発生する。安直な業績主義、合理化は、暗黙のしかし強力な目標となって、エラー、事故を誘発することが多い。
       「安全には 言わずもがなのことでも口に出す」
2-2)適度に具体的な目標に落として意識化する 
上位の使命(理念的使命)も下の使命(行動的使命)も同時に意識できるよ うな目標にしておく(ミドル・アウト表示)。
  例 「患者第一」より「安全ケアーを第一に」
    「安全運転」より「法定速度の遵守」
    「落っこちるより遅れる方がまし」
2-3)目標行動を単線化して、目標間の葛藤を起こさせない
何が何より大事かを完璧にわからせる  
  例 宅配便 
    ・3つの使命が葛藤している
       時間決め配達  安全運転  競争
    ・「安全第一」が「迅速配達」の上にくるようにしておく
     「安全第一は いつも第一に」

***
提言その3「適切な知識管理によって思い込みエラーを防     ぐ」
 人が頭の中に貯蔵した知識はすぐに不活性化してしまい、その知識を必要とするときにタイミングよく思い出せないことがある。 
               「仕事前 頭の準備体操も忘れずに」
 実習1「活性化した知識しか使われない」  
3-1)適切な知識を活性化する機会を頻繁に用意する
○研修会や朝会での打ち合わせでエラーに関連する知識を活性化する
 危険予知訓練(KYT)   

3-2)エラーにかかわる知識の高度化をする
知識の高度化とは、要素知識を体系化しより抽象化されかつ普遍化すること○高次の知識をテストすることで、低次の知識も活性化される 
  記憶--理解--応用--分析--総合--評価
○知識活性化と知識の高度化の観点からのマニュアルを見直す
  ・マニュアルの5つの役割   
     操作支援 参照支援 理解支援 動機づけ支援 学習記憶支援
  ・とりわけ、理解支援を工夫する
     操作の意味をわからせる 
          「手順には そうする意味があることを知る」3ー3)思い込みエラーに対処する
 知識の不活性化とは逆に、その時その場で活性化している知識だけが使われてしまい、思い込みエラーを起こさせることがある。          とりわけ、即応を要求されたり、状況の激変のために、何が何やらわけがわからなくなってしまうような事態では、その時その場で目立つ限定された手がかりだけに基づいて駆動された知識だけを使って状況の解釈モデル(メンタルモデル)を構築しがちである。それが状況とのかかわりにふさわしくないとき思いこみエラーが起こる。  
 例 患者を取り違えているのに気がつかないで、誤った手術を完璧にして   しまう。 
 実習2「メンタルモデル駆動型の状況解釈を経験する」  

○思い込みエラーの特徴
 ?限定的な手がかりだけに基づいて状況を解釈している(視野狭窄)
 ?思い込みを否定する情報は無視される
   例 いったんつけられた病名が一人歩きをする
 ?状況が激変するまで、エラーであることに気がつない
                  「その思い 今一度の点検を」
○思い込みエラーに対処する  
 ?わけがわからない状況にしないことです
 ・仕事の目標や全体像をあらかじめ意識する
   実習3「大文字のTをさかさまに描いて、その上に三角形を」
 ・仕事に関連する知識を豊富かつ高度化しておく 
                「知は力なり」(ベーコン)
 ?あえて判断停止(エポケ)をする
 ・情報収集の時間をかせぐ
 ・ステレオタイプ(固定観念)による思い込みの防止  
 ?妥当なメンタルモデルを持つ
 ・使えそうな知識を動員する
 ?自分の思いを人に話せるようにする/話すようにする
 ・コミュニケーション環境を良好にしておく
 ・人と情報を共有する 
           「一人より 皆で確認 事故防止」(人事院)
 ・思いを外に出すことで自分の思い込みに気がつくことがある
 ?現場を一時的に離れてみたり、知識量や考え方の異質なメンバーを入れ  て、新鮮な目(fresh  eye)によるチェック体制を作り込む
              「一言居士 あなたは悪魔の代弁者」

****
提言その4「適切な注意管理によってうっかりミスを防ぐ」
 うっかりミスのほとんどは、注意管理不全から起こる。人の注意資源には限界があるからである。また、注意資源の活用の仕方も、いつも適切であるとは限らないからである。
「選択」、「配分」、「持続」についての注意の特性を知った上での注意の自己コントロールと、さらに注意管理の外部支援が必要となる。            「注意1秒 怪我一生」
4ー1)認知的葛藤状態にしない(「選択」の自己コントロール)
  実習「漢字ストループ課題」
  実習「1から10まで、ひらかなで書く」
 ○習慣的処理とは違ったほうを選択して処理するため過剰な注意が必要
 ○よそ見による見落とし
   外と内によそ見をさせるものがあるので面倒
          「このあたり美人多し よそ見するな」
4ー2)あわてない(「配分」の自己コントロール)           実習「書字スリップを起こしてみる」
      「あ」「数」をできるだけ速く何度も書いてみる
  ○配分された注意と仕事が要求する注意とのギャップ
    ・容量ギャップ(例 足りない)
    ・時間ギャップ(例 間に合わない)
4ー3)多重課題にしない(「配分」の自己コントロール)
  実習「自己チェック;あなたの聖徳太子度はどれくらい」
  ○多重課題は、注意量の限界に達しやすい         
4-4)管理用の注意を残しておく/複眼集中の状態にする
(「配分」の自己コントロール)
  仕事用に7割、管理用に3割    
 ○集中しすぎ(過剰集中)による視野狭窄
4-5)感情を安定させる(「配分」の自己コントロール)
  感情は注意の調節弁
   例 パニック時  恐怖が対象への過剰集中をもたらす
     高ストレス時  ストレスの原因に注意が取られる
4ー6)休憩の自己管理をする(「持続」の自己コントロール)
  退屈も疲労も危ない。いずれも、ある程度の自己モニタリングが可能。
 ○服務規程に従って休息管理に加えての、休息の自己管理も。

番外;自分の注意の特性を知る
  実習4「注意の持続力と集中力とを組合わせると」  


*****
提言その5「確認を確実にすることで確認ミスを防ぐ」
 エラーをおかすのは人間である限りしかたがない。
とすれば、エラーをしたかどうかを確認して、事故につながらないようにすればよいということになる。
 ところが困ったことに、確認という行為にもミスがある。
○確認行為そのものを忘れる
確認行為が習慣化してしまっていると、
・マクロ化の罠 
 PDSサイクルが一体化してしまい、See(チェック)だけ を分離させる のが難しくなる。
・現実モニタリングの混乱
 ストーブの火を消したかどうかなどのように、実際にやったこととやった つもりとの区別ができなくなることがある。
○確認そのものにミスが起こる
となると、確認忘れ、確認ミスは起こるという前提で、うっかりミスとおなじような仕掛けを作り込んでおくことをまず考えておく必要がある。
              「確認は 事故を防ぐ最後の砦」


5ー1)確認行為を確実なものにする
○一連の仕事の流れをあえて中断して確認する場所(ホールド・ポイント)を設ける
 とりわけ、仕事に熟練すると、ほとんど努力なく「むり、むだ、むら」(3ム)なく流れるかのごとく仕事が進んでいく。たくさんの要素行為があたかも一つの行為であるかのごとくになる。これを「仕事のマクロ化」と呼ぶ。その途中で、うまくいっているかを確認するのは、なかなか難しい。     「ベテランになる直前は要注意」
               「ベテラン意識はエラーのもと」
○確認を動作と言葉とで外に出すようにして(外化)、確認行為を確実なものにする
 例 指さし呼称
    指でさす---確認場所や行為の焦点化
    呼称---頭の中だけの確認にしない
        「指先で 危険読み取る 作業前」(中災防)
  
5ー2)確認ミスを防ぐ
○確認は複数で独立に行う
○仕事が終わった後の確認を確実に行う
  例 4S(整理 整頓 清潔 清掃)
          「4Sは エラーを防ぐ身だしなみ」

******
提言その6「安全工学の思想を生かす」
 安全工学は、人はエラーをおかすもの、機械・システムは故障するものとの前提で、機械・システムや人工環境の安全を工学的に保証する技術である。その背景には、エラー、事故防止のためのちょっとした心がけや仕掛けのヒントがある。まとめの意味で、そのいくつかを紹介してみる。
            「人は弱い葦(あし)されど工夫する葦」
6-1)馬鹿なことをしても大丈夫なようにしておく---フールプルーフ(fool proof;)
○すぐにはできないようにしておく
 ・カバーをかけておく
 ・手の届かないところにおいておく
○入れないようにする
 ・強制排除(ロックアウト)
○やるときに意識化せざるをえないようにしておく
 例 指さし確認
   ロックを解除してから湯を出す
○順番通りにやらないとだめ
 例 インターロック
    ふたを閉めないと電源が入らない電子レンジ
6-2)一つがだめでももう一つがあるようにしておく---フェールセーフ(fail-safe;故障しても大丈夫)
○複数で別々にやる
 例 ダブル・インカム(夫婦で稼ぐ)
○複数のシステムが動いているようにする
 例 コンピュータ・システムと口頭報告システムの併存

6-3)一つがだめならその次で防ぐ---多層防御(幾重にも障壁を設ける)             「安全には厚化粧もがまんのうち」
○ダブル、トリプルで「独立に」チェックをする
 例 稟議システム
6ー4)自然にそうしたくなる/したくないようにする---アフォーダンス(適切な行為を自然に誘う仕掛け)
○形を使う(シェイプ・コーディング)
○色を使う(カラーコーディング)
  例 国際標準(ISO) 緑は安全、赤が危険、青は低温、赤は高温
    文化差があるので要注意
○場所を使う(ポジション・コーディング)
  同型性になるように
   例 レバーを下ろすと水が出る  右のものは右で
                  「百の説法より一つの仕掛け」

*********
まとめ
 使命(M)からはじまって、計画(Plan)-実行(Do)-評価(See)の
M-PDSサイクルで起こる4つのエラー---「使命の取り違えエラー」「思い込みエラー」「うっかりミス」「確認ミス」---をめぐって、その特徴とそれが事故につながらないための方策を提言してみた。25
 メタ認知力をつける、あるいはメタ認知力の発揮を支援するための一助になれば幸いである。
       「メタ認知こそ ヒトを猿から分けるもの」
最後に蛇足ながら
 しかし、やみくもな精神論(弛んでいるから、もっとしっかりやれ)にならないように注意してほしい。
 大事なことは、合理的な精神論の普及である。心理学の知見や考え方に裏づけられた「精神論」「自己コントロールの方策」を話させていただいたつもりである。
             「エラーにもエラーなりの理屈あり」







犬害をなくそう

2006-10-28 | わかりやすい表現
「犬害をなくそう」 海保博之

 ペットとして、さらに防犯として犬を飼う家が多い。わが家の近辺でも、4軒に1軒くらいの割合で飼っているのではないか。

 その犬が閑静な住宅街に多大の迷惑をかけている。そのことの認識を、飼い主が意外に気づいていないらしいので、あらためて注意を喚起したい。

 迷惑その1は、なんといっても、犬のほえ声である。我が家と道路を隔てたた家では、玄関で犬を飼っている。道路を人や車などが通るたびに、猛烈にほえる。そのほえ声がもろに我が家に飛び込んでくる。時をかまわずである。昼寝もままならない。隣家ということで我慢に我慢を重ねているが、非常につらい。

 迷惑その2は、犬の糞害である。散歩が好きなので家の近辺を歩くが、頭をあげ胸をはっての散歩は、たちまち不快な目に直面することになる。ごく一部の人の無配慮ではあるが、それが数人になるだけで、糞害地獄になってしまう。せっかくの散歩もだいなしである。

 迷惑その3は、迷惑の域を越えている。犬の放し散歩である。公園にいくと、犬を放して遊んでいる光景を何度もみる。ご本人たちはご満悦かもしれないが、周囲にいる犬嫌いの人々にとっては、恐怖以外の何物でもない。乳幼児に対する危険性は、想像するだに恐ろしい。

 犬害を3つ挙げてみた。飼い主にとっては、わが子のごとくかわいいのがペットであろう。それだけに、自分の犬のかわいさにだけしか目がいかないのかもしれない。わが子でも放っておけば世の中の迷惑になることをたくさんやらかす。ましてやペットである。わが子と同じくらい気を配って、周囲に迷惑をかけないようにしてもらいたいものである。



実験法 朝倉心理学総合事典

2006-10-28 | 認知心理学
03/8/20海保
111112222233333444445555566666
朝倉心理学総合事典
30字 267行 で8000字(20枚)
3章 心理学の技法   
**************************************
3.1 実験法 20枚 海保博之
 3.1.1 実験法の基本的な考え方
 3.1.2 心理実験法の特徴
 3.1.3 心理実験法の具体的手順
 3.1.4 心理実験の限界とその克服
 コラム「痩身法の効果を実験的に検証する」**
 引用文献
***************************************

---------------------------------
3.1.1 実験法の基本的な考え方

●実験法の基本的な枠組
 心理学における実験法に限らず、実験法のねらいは、「仮説から想定される因果関係を人為的に検証すること」である(図1)。

****図1 研究者と現実と実験 ppt 済み

 そこで、この定義に含まれる鍵概念「仮説」「因果関係」「人為的に検証」を解きほぐすことで、さらに、実験法の基本的な考え方を明かにしていくことにする。
 
●「仮説」
 実験はやみくもにおこなわれるわけではない。実験をする必然性があっておこなわれる。
 その必然性の源は、理論、モデル、事実に関する陳述など科学的な知識に基づいた仮説である。「もしこの仮説が正しいとするなら、こうするとこうなるはずである」という形で提出される仮説が実験で検討されることになる。
 そして、仮説の理論的な完成度に応じて、確認実験、探索実験などと呼ばれる実験が行なわれることになる。

●「因果関係」
 因果関係は、次の3つの要件を満たす必要がある。
 一つは、影響力である。原因(独立変数)が結果(従属変数)を引き起こす「力」がなければらない。
 2つは、時間的順序性である。原因が結果より時間的に先行しなければならない。
 3つは、十分条件である。原因があれば結果が起こらなければならない。

●「人為的に検証」
 「人為的に検証」とは、自然の中で起こっている因果関係を、実験室、まれには、自然の中で、実験者が原因(独立変数)を操作することによって結果(従属変数)が発生/変化するかを確認することである。
 その際に、仮定される因果関係だけを浮き彫りにできるような、厳しい条件統制が求められる。

3.1.2 心理実験の特徴

 基本的な要件は共有していても、心理実験には、自然科学における実験とは異なった特徴と限界がある。それを前述した3つの鍵概念ごとにみていくことにする。
 なお、本節では以下、人を被験者とした実験のみを想定する。

●「仮説」
 仮説のもとになる心理学の知識については、他の科学の知識とその特性も機能も変わらない。違いは仮説を発想するときである。心理学の研究対象が、研究者と同じ人であるだけに、研究者と研究対象との分離ができにくいということがある。
 これは、仮説構築にとって有利にも不利にも働く。仮説の真実性、妥当性についての「主観的な」見通しがつく点では有利であるが、一方、主観が知識の活用も観察の目も「恣意的に」左右してしまう危うさがある。

●「因果関係」
 前述した因果関係の3つの要件ごとにみていく。
 まず、一つ目の要件である、原因のもつ影響力である。
 心理実験の中に持ち込める影響力の範囲には、人を被験体とすることによる厳しい限界があるため、心理現象の多くの因果関係が「実験的には」検証できないままになっている。
 最も厳しい限界は、時間的な限界である。実験室実験になれば、1時間程度、何回かの実験をするにしても、せいぜいが1月くらいまででの影響力しか検出できない。たとえば、幼児期のトラウマが青年期の神経症の発症をもたらすとする(精神分析的な)仮説を「実験的に」検証することは不可能である。
 倫理的な限界もある。ネガティブな影響力が想定されることを、人を被験者にして実験するわけにはいかない。
 次は、2つ目の要件である、時間的順序性である。
 心は予測することができる。あるいは、行為の意図を形成することができる。予測、意図が原因になって行為が結果するというやっかいな問題が時折、発生する。これは、実験者が想定した原因と結果との時間的な順序性を乱す(逆転させる)ことになるし、想定した因果関係とは別の因果によって心理現象が起こっていることになる。実験者が期待するように被験者が反応してしまう、実験意図の察知問題も、この例として考えることができる。
 最後は、3つ目の十分条件である。
 心理実験では、多数かつ多彩な過去の原因の結果として存在している人を被験体とする。したがって、結果として出現する現象にかかわる原因がただ一つだけということは希である。その原因を取り去れば結果も起こらない、ということにはならないことが普通である。つまり、必要十分条件の形で因果関係を確認することが極めて難しい。
 また、実験で原因として操作できる変数(独立変数)の数には限界がある。多数の変数群が全体として(ゲシュタルト的に)ある現象(従属変数)を規定している様子を実験で明らかにするには限界がある。

●「人為的な検証」
 心理実験では、しばしば、その生態学的な妥当性が問題にされる。
実験室における過度の人為的な条件統制による現象の発生が、日常の中で起こる心理現象を再現していないのではないかという問題である。
 ゲシュタルト的な影響のもとにある現象では、この問題を克服することは難しいが、一方では、局所的、分析的に因果関係を着実に明らかにしていけば、全体がわかってくる(synthesis by analysis)という楽観的な考えもある。

3.1.3 心理実験法の具体的手順

●実験を計画する
 自然科学では、たとえば、真空状態を作って、唯一の独立変数を操作して、その時に起こる現象を観察するといったような、理想条件下での単一要因実験が可能である。
 しかし、ほとんどの心理実験は、検証にふさわしい理想的な実験環境を設定することは不可能である。被験者として人を使うことにかかわる倫理的制約(たとえば、アメリカ心理学編、1982)および人権上の配慮が必要だからである。
 これに加えて、被験者自身(の心)が、一人ひとり異なる多彩な因果関係の網の目に組み込まれているために、実験上は排除したい要因が、個人差および個人内変動として、不可避的に実験状況の中に混入してしまう。これらは、交絡変数と呼ばれ、これが検証したい因果関係の検出を妨害しないように、実験計画を組むことになる。
 実験計画法では、個人差も個人内変動も確率的な誤差と見なした上で、次の4つの基本方針のもとで、因果関係を統計的に明らかにしようとする。
1)独立変数化
 実験で検証したい主要な変数ではないが、性差や年齢差などのように、それが独立変数と交互作用していることが想定されるときには、あえて変数として取り上げておく。
2)恒常化
 交絡変数の影響を一定に保つことにより、従属変数への影響を実質上なしとするもの。一定水準の知能の被験者だけを使うような例である。
3)均衡化(無作為化)
 誤差/影響が等分に混在するように、被験者を無作為に割り付ける。
4)相殺化
 一定方向への影響が想定されるとき、逆方向の影響も実施して、結果として、誤差を相殺してしまう。
 
 以上のような配慮のもとで、実験を計画することになる。表1には、その典型例として「処理x処理x被験者」実験デザインと呼ばれているものを示した。ここで、処理とは、独立変数の操作を意味している。また、要因Aが独立要因、要因Bが同じ被験者を使った繰り返し要因になっているところからこの実験計画は、混合法とも呼ばれている。

***** 表1 「処理x処理x被験者」デザインの例(弓野、1985) コピーすみ
 
●実験を実施する
 心理実験は、実験室でおこなう実験と、現象の発生している現場でおこなう実験とがある。
 言うまでなく、実験室実験のほうが、条件統制がしやすいので、想定した仮説の検証がしやすい。しかし、実験室でできる実験の範囲は極端に狭い。多くは、条件統制の緩い自然条件下での実験をおこなわざるをえない。
 たとえば、教授法の効果査定をしたいとする。どのように工夫しても、実験室的な実験にはならない。こうした研究でもっとも一般的な実験方法は、2つの既存のクラスの一方を統制群、もう一つのクラスを実験群として、実験群にのみその教授法を実施して、統制群と効果の比較をすることになる。

●結果を処理する
 表1に示したような実験計画のもとで実験をおこなうと、2つの独立変数の効果が加算された形で、従属変数の値が計測される。これは、通常は、分散分析にかけられて、ランダム誤差による変動よりも有意に大きい変動があったかどうかが吟味される(表1の分散分析表を参照)。
 

3.1.3 心理実験の限界とその克服

●心理実験の限界
 長谷川(1998)は、心理実験の特徴として、次の7つを指摘している。
 ・刺激の意味が文脈によって変わる
 ・多数の要因が同時に関与している
 ・構成概念の定義、したがって、それに対応する刺激や行動があ  いまい
 ・実験事態が極度に単純化され、人工化されている
 ・標本抽出の無作為化ができない
 ・ランダムな割付が不充分
 ・個体内比較に際して、個体自信が変化してしまう
 これらは、心理実験の特徴というよりむしろ、心理実験に内在する構造的な限界というにふさわしい。
 こうした限界を深刻なものと受け止めて、心理実験から離れて別途の方法論、たとえば、自然観察や質的方法や調査法などを採用しようとする動きがある。しかし、一方では、こうした限界を実験法のパラダイムの中であくまで解決しようとする試みある。その一つである準実験を取り上げおく。
 
●準実験パラダイムの導入
 人相手では、実験法のパラダイムに忠実に従った実験はできないことが多い。とりわけ、被験者のランダマイゼーションには現実には制約が多い。そんなときには、調査法を使ってデータ解析的に因果関係を推定することもあるが、実験法の枠内で工夫することもある。それらは、実験に準ずるということで、準実験と呼ばれている。
 準実験にはいくつかあるが、図2にその一つを示す。この実験では、時間に伴う自然の変化以上の変化がみられれば、それは、独立変数の効果と考えようというものである。この図式に従った研究例としては、行動変容手法の効果判定などでおこなわれる、N=1実験、すなわち、一人の被験者に対して、何回かの独立変数の操作を繰り返す実験がある。

***図2 縦断的研究における準実験のパラダイム(池田、1971)
       コピーすみ
 
コラム「痩身法の効果を実験的に検証する」********

 暖衣飽食状態の日本においては、老若男女、しかも年齢を問わず、やせたい(痩身)願望は強い。かくして、さまざまな痩身法が工夫さ、ビジネスとして喧伝されている。
 それらを大別すると、食物によるもの、サプリメント(栄養補助剤)によるもの、身体トレーニングによるものになる。
 それらの効果を実験的に検証するとすると、どうなるであろうか。
ごくオーソドックスな実験としては次のようになる。
1)被験者40名を確保して、20名ずつにランダムに分けて、一方を統制群、他方を実験群とする。この時点で、体重計測をしておく(事前テスト)。
2)実験群には、痩身用サプリメントであると告げて錠剤を飲んでもらう。統制群には、痩身用サプリメントと称して、実際には痩身には効果のない小麦粉の錠剤(偽薬)を飲んでもらう。錠剤の量、服用時間は一定。日常生活はいつも通り。
3)毎日、定時に体重を計測・記録してもらう。これを1か月間おこなう(事後テスト)。
4)両群の体重減少の変化を統計的に比較する。
 
 多分、サプリメント効果が強力なら、これで、その効果は実証できるかもしれない。ただ、次のような点が問題となる。
1)実験目的を被験者に伝えることの効果は
 実験の被験者に「選ばれた」との意識が、モラール(志気)を高めてしまい、実験者の検証しようとした独立変数の効果を凌いでしまうことを、ホーソン(Hawthorne)効果と呼ぶ。両群ともに体重減少がみられ、かつその間に差がないとすると、ホーソン効果が疑われる。だからといって、偽の実験目的を告げることが許されるかどうかは、なんとも言えない。
2)痩身に対する被験者の考え方と日常的な実践
 実験群と統制群とは、ランダムに割り付けられているので、交絡変数の影響は均等に混入していると想定してさしつかえないが、最初の40名がどのような母集団からのサンプルであるかによって、そこのところも問題になることがある。たとえば、痩身クリニックに来院した一定体重範囲内の40名ならあまり問題ないが、ランダムに選ばれた家庭の主婦40名なら、痩身についての考え方、日常的な食習慣などのバラエティが大きい。群間の等質性の保証が危うくなる。事前チェックによって、変動幅を狭めておく必要がある。

 **************************************

●引用文献
American Psychological Association 1982 Ethical
 principles in the conduct of research with human
 participants. Washington,D.C. American
  Psychological Association
長谷川芳典 1998 「心理学研究における実験的方法の意義と 限界(1)」 岡山大学紀要、29、61ー72
池田央 1971 「行動科学の方法」東京大学出版会
弓野憲一、1985「平均差を分散で吟味する」 海保博之編著「心理・教育データ解析法10講」(福村出版)所収
***270行

集中力を高めるトレーニング

2006-10-28 | Weblog
04/8/24海保

海保博之著「集中力を高めるトレーニング」 あさ出版

はじめに

 アテネ・オリンピックを連日、TV観戦している。ここ一発の勝負どころで集中力を発揮して持てる力をフルに出し切っての勝利は、見る者を感動させてくれる。
 どうすればあれほどの集中ができるのか。同じ人間なのだから、自分にもできそうに思える。
 そんな思いを持たれた方々の幾人かが、本書を手にとってくれたのだと思う。しかし、読み終えて、どれほどの満足を与えることができたのか、自信がない。
 ただ、本書は、オリンピック選手のための集中術ではない。ごく普通に生活し仕事をしている方々が、今より少しはましなパフォーマンスができるようになるお手伝いができれば、との気持ちで書いてみたものである。
 したがって、一点集中力をつけるために、ろうそくの火をじっと見つめたり、集中の持続力を高めるために座禅を組んだり、といった集中術の紹介はしていない。
 生活や仕事の中で、ちょっとやってみる、あるいは心がけてみると効果がありそうなコツを、自分の経験と心理学の常識に基づいて述べてみた。
 集中すること自体が目的ではなく、生活がちょっと快適になり、仕事が少しでも楽しくなることを期待して書いてみた。
 本書は、1987年に「パワーアップ集中術」(日本実業出版)の改訂・増補本である。このような形での出版を許可していただいた日本実業出版に感謝する。なお、6章「うっかりミスを防ぐコツ」は、本書のために新らたに書き下ろしたものである。

2004年9月 海保博之 


認知的体験・再掲

2006-10-28 | 心の体験的日記
●認知的体験05/3/22海保
「バックアップが多くてどれが最新かわからなくなる」
多いほど良いと思って、フラッシュ、イージーディスク、コンパクト2つ、画面上、とあれこれバックアップに使っていた。どれが最新なのかわからなくなってしまった。消えてしまうよりいい。
HPにアップするフェッチが不調。うまくいく時と、だめな時とがある。困った! フェッチのバックはあったかなー
●認知的体験05/3/22海保
「そろそろ授業準備」
だいたい構想はかたまっている。講義のほうは、完璧に準備ができているが、演習のほうは、受講生の数にもよるのでまだ、ぼんやりとしかイメージがない。今年は、なんとか学生がしゃべり、自分たちでやれるような工夫をしてみたいのだが、あまりアイディアがない。
●認知的体験05/3/22海保
「引っ越し」
不要品の多いこと多いこと。このリサイクル時代にこんなにはなばなしく捨ててよいのだろうか。
ゴミ問題も次第に窮屈になってきている。 分別が細かくなり、料金もとられるようになってきた。また、ゴミ専門の小うるさい人が活躍する時代になってきた。ごみのために、かなりの時間を割かなくてはならないのがつらい。憂鬱である。
アメリカで30年前に生活していたときは、生ゴミは台所の水はけにそなえつけのディスポーザーで直接、あとは一括して袋に入れて出すだけ。今でもあんな雑なやり型なのだろうか。なつかしいなー。
●認知的体験05/3/23海保
「今日のドジ;反対方向のタクシーにのってしまった」
半年ぶりのところへ。すでの4回は行っているので、まず大丈夫との自信が裏目に出てしまった。
まず時間評価を誤りぎりぎりセーフの時間になってしまった。
地下鉄の駅を出た。あと5分しかない。あわてた。すぐにタクシーにのった。これがいけなかった。運転手さんは場所が分からない。自分でだいたいわかるから、と発車。どうも違う感じ。そこで、携帯で確認。道路の反対側にうつってもらう。今度はなじみのがあったので間違いない。ところが、その場所を通り過ぎてしまった。すぐに気がつき、徒歩で引き返す。

体験的データ解析小史

2006-10-27 | 教育
体験的データ解析小史
   海保博之

 懐古談をする年ではまだない。しかし、データ解析、コンピュータに関しては、すでに懐古談をしてもよい状況にはある。こ領域での新しい進歩に追いついて行けないという主観的感じを持つからである。
 このことを痛切に実感したのは、61年3月に発売される「心理・教育データの解析法10講(応用偏)」(福村出版)の編集作業を通じてであった。そのなかの何講かは自分が一度は使ってみたいと常に思っていた手法であったので、原稿をいただくのを心待ちにしていた。しかし原稿を読んでみると、どうしてもわからない。著者との何度かのやりとりのうちに、結局は自分の方が″頭が悪い″ことに気づいた次第である。
 「データ解析の手法についての知識は大学院時代のままでストップする」と言われている。専門家は別として、おもしろい手法があったら使ってみよう程度の研究者の場合には、確かに、この通りだと思う。
 閑話休題。データ解析に触れたのは、今も昔も心理学専攻の学生の誰でもがそうであるように、心理統計の授業であった。昭和38年、東教大で故岩原先生のしごきにきたえられた。その時に使った教科書「心理と教育のための推計学」(日本文化科学社)がボロボロになってまだ本棚にある。いまの多くの学生諸君と同じように、統計が科学的推論の唯一の道具であるかの如く錯覚し、ともかくよく勉強した。
 大学院修士課程に入ってすぐ、因子分析の勉強をしたのを覚えている。手回し計算機を脇に置いてサーストンの重因子法を解いた。同時に応用数学科が管理していたHIPAC(HITACか?忘れた)というコンピュータのところにかよい、なんとか因子分析のプログラムを作ろうと大変な苦労をした。
 なぜ苦労したか。いい教科書がない、相談できる人がいない、数学的知識がない、の「ない、ない」づくしだったからである。こうした状況を救ってくれたのが、42年度に開講された故水野先生(統数研)の「多変量解析」の講義であった。まさに、頭にしみ込む講義であった。そのまま本として出版されても通用する内容であった。先生にもそのお気持ちがおありであったようだが、確かその年の秋頃かと思うが、芝先生の「相関分析法」(東大出版)が出版されてしまい、「遅かりし」ということになった。
 43年4月から徳島大学に赴任した。紙テープ入力のTOSBACを使いまくった。その残骸をつい最近思い切ってすてた。もっぱら、水野先生のノートと芝先生の本に頼って、多変量解析の手法をパターン認識の実験データの解析に使った。
 49年頃かと思うが、水野先生を通して、SPSSの移植のための科研のグループに入れていただいた。時々京大での講習会、研究会などに参加したが、まだそのすごさは実感できなかった。
 50年に筑波に移った。TSSに驚かされ、パッケージプログラムに衝撃を受けた。SPSSにのめり込むまで時間はかからなかった。知ったかぶりで、全学の先生方対象の講習会の講師までするほどの熱の入れようだった。それに比例して、フォートランを使ってプログラムを書くことをほとんどしなくなってしまった。ここから力の衰えが始まった気がする。結果の解釈、そしてそれのみをわかり易く説明することがまわりから期待されるようになてきた。それに合わせているうちに確実に力が落ちてきた。
 いまやSPSS、SASのいずれにも、ほとんどふれることのない日々を送っている。こんな人間が、データ解析の本を編み、そして61年度はなんと、8年ぶりのデータ解析の授業をする。さていかなることになるか。不安ながらも楽しみにしている。
                           昭和61年1月29日


手数料

2006-10-27 | 心の体験的日記
ある銀行のe-バンクを開設した
手引き書をみると、最初の3か月は無料
その後、年2千円の手数料をとるとある
この前、ガソリン専用のカードを作ったら、
それもよくよくみると、1年後から会費2千円とある
いずれも、入会勧誘のパンフにはその旨、書かれていない
いるのかも知れないがまず目立つようには書かれていない

こうした手数料がつもると馬鹿にならない額になる

目下、カードは一枚、e-bankは一つの銀行のみに
と整理中


学力低下問題

2006-10-27 | 教育
04/4/5海保
11111222223333344444
20文字40行 800文字
「指導と評価」臨時増刊号 図書文化社

筑波大学心理学系教授・海保博之
「学力低下論争の背景にあるもの」

 昨今の学力低下論争は、「ゆとり教育」を標榜する新しい学習指導要領に対して、
「大学生の理数能力の低下」
「大学受験での学力低下」
「社会階層による学力2極分化」
という3つの視点から挙げられた反対から始まった(市川伸一)。
 いずれも、三者三様のデータに基づいた主張なだけに、それになりに説得力はあるが、不幸なことに、それが「論争」になってしまうのは、いくつかの理由がある。

 最大の理由は、学力の定義が異なるからである。読み書きそろばん能力を最右翼とすれば、最左翼には問題解決能力がある。どのあたりを学力の定義に採用するかで、低下か否かが分かれる。
 学力の定義が異なれば、学力を計測する検査問題も異なってくる。みずからの主張を支える学力データを提出しても、たちどころに定義問題で反論される。仮に定義問題を克服できたとしても、検査問題の妥当性や信頼性といった技術的な論争にさらされることもある。
 さらに、論争に拍車をかける理由として、学力のアカデミックな定義問題と微妙に関係はしているが、産業界や学界などから期待される学力像が異なることを挙げることができる。
 たとえば、産業界では「コミュニケーション能力」をトップに挙げるのに対して、理工系の学界では、基礎基本となる知識や技能を要求する。どんな学力像をイメージするかで、現状認識も改革の方向も異なってくる。
 そしてとどめは、「政治不信と政治的閉塞状況が、常に、学力低下論争に火をつけてきた」(加藤幸次)ということもある。確かに、学力低下論争は、今回だけではない。十年ごとの学習指導要領の改訂をねらっての政治的な動きがあったことも周知の通りである。

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02/10/23海保
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21字 71行 1500字
市川伸一「学力低下論争」ちくま新書

 本書の特徴を、本のカバー裏の惹句用に書くとすると、次のようになる。 
「硬いドグマが対立する論争の世界に、やわらかいドグマを持って乗り込み、丁々発止とやりあい、もみくちゃにされながらも、「みのりある教育」のための「構造化された折衷論」を提案できた、健全な知性を持った教育心理学者・市川氏の奮闘ぶりと主張を描き切った好著」
 これを解きほぐす形で、以下、本書の書評をしてみる。
●硬いドグマが対立する論争
 学力低下論争は、「ゆとり教育」を標榜する新しい学習指導要領に対して、「大学生の理数能力の低下」「大学受験での学力低下」「社会階層による学力2極分化」という3つの側面から挙げられた反対から始まった。市川氏は、これらの論争「者」を、「学力低下に楽観・悲観」「文科省の教育改革に賛成・反対」の2軸で整理してみせる。なお、「硬いドグマ」とは、悲観・反対を意味する。
●やわらかいドグマをもって丁々発止とやりあい、もみくちゃにされながらも
 市川氏は、「学力低下には憂慮・教育改革には賛成」の立場である。対立軸によっては、あちらについたりこちらについたりにみえてしまう。両派から、この「やわらかさ」をつつかれながらも、書き物による論争はもとより、インターネット討論、雑誌対談、TV討論、さらには、文科省の各種会議などでの場で、リアルな論争を繰り返しながら自説を主張している。これがめっぽうおもしろい。
●「みのりある教育」のための「構造化された折衷論」
 市川氏の自説は、「知識の有用性が子どもにも感じられるような、リアリティのある学習環境つくり」(p79)である。総合的な学習などを通しての実践こそ、「みのりある教育」になるとの市川氏の主張は説得的である。この説は、「知識軽視・ゆとり大切」と「知識重視・ゆとり批判」とを足して2で割ったものではない。認知教育心理学の主潮をべースにした「構造化した折衷論」なのだ。これが、本書を、論争の表面的な解説書ではなく、学力論の本に仕立て上げさせている。
●健全な知性を持った教育心理学者・市川氏
 論争は、極端なドグマを抱えた論者が対立するほどおもしろい。しかし、心理学者は人間への観察眼が鋭いためか?、自分がドグマを持つよりことより、ドグマを持った人を観察するほうに興味を抱いてしまう。なぜ、そんなドグマを持つのか、利害、信念、体験、いずれに因があるのかに興味を抱いてしまう。市川氏も「学力低下論者の心理を探る論考」(p186)を用意し、遠慮がちにではあるが、おもしろ話しを披露している。もっとも、これを、健全というかどうかは実は評者にも自信がない。なお、市川氏の知性の健全さは、ぶれそうでぶれない主張、データの読みの深さ、文献と資料の引用の豊富さと巧みさのほうにこそ充分に発揮されているだが。

 本書は、論争の内容を通して、学力とは何か、子どもに学力をつけさせるとはどういうことかを自然に考えさせてくれる好著である。
 さらに、実は、学力低下論争は、今にはじまったものではない。「政治不信と政治的閉塞状況が、常に、学力低下論争に火をつけてきた」(加藤幸次ら、本書より)ような面がある。政治・官僚主導による猛烈かつ性急な教育改革?が進行している今、これをより「みのりある改革」につなげるにはどうしたらよいかについても、本書を読みながら、自然に思いがいく。
***本文71行 
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マックでもみることができる!!

2006-10-26 | Weblog
画像をマックでもまったくなんの問題もなく
みことができる 
すばらしい
お楽しみください
これからは、携帯カメラを常時持参して
おもしろい、楽しい光景をとり
アップしていくつもあり

ご期待ください