7日目の午後。じんぎすかん白樺で食事をおえて中札内美術村にもどってきた。やってきたのは相原求一朗美術館だ。重厚な建物は帯広にあった銭湯を移築したものなのだそうだ。
展示は六花亭が依頼した北海道の山々をえがいたコーナーからはじまる。
山もよいが北海道の風景画が魅力的だ。
絵には作者のひたむきさと寂寥感がある。
人気のある襟裳岬をモチーフにした作品。岬に家が一軒だけたっている。
展示室。興味のある方は『相原求一朗展 川越市立美術館』と『相原求一朗美術館』もどうぞ。
中札内美術村にはもうひとつ個人美術館があった。真野正美作品館だ。小泉淳作と相原求一朗が目的だが、六花亭の事業に敬意をあらわすために、見てゆくことにする。
こちらにはまったく毛色のちがう作風の絵がならんでいた。
なつかしい、昭和の北海道を漫画のようなタッチでえがいたものだ。
線がゆがんでいるのが味がある。
小泉淳作と相原求一朗は堅い作風なので、ほのぼのとした印象の真野の作品館をつくったのだろうか。
気楽に見られそうな作風だが、細部はものすごく細緻にかきこんである。1枚の絵を仕上げるのには膨大な時間と労力が必要だろう。それは小泉や相原とおなじだった。
相原求一朗美術館になっている帯広湯の絵。
美術村の庭園。日陰は長袖シャツがほしいほどの気温だ。14時半に中札内美術村の見学をおえた。つぎは糠平湖の北にある幌加温泉にゆきたい。かなり距離があるがナビは2時間でつくと言う。そこで幌加温泉に何時までやっているのか問い合わせると、19時までとのことなので、ゆくことにする。無料の高速道の帯広広尾自動車道にのり、有料区間も利用して音更帯広ICでおりた。料金は260円だ。ここから国道を北上し、上士幌と糠平湖をぬけていった。
ナビの案内どおり16時半に幌加温泉・鹿の谷に到着した。国道から折れて2キロ山に入ったところにある秘湯である。
上の画像は温泉の前の急坂である。写真では急に見えないがかなりの傾斜だ。冬季は四駆でも上るのに苦労するのではなかろうか。じつは幌加温泉には2017年にもきている。そのときは予備知識がなくて、温泉の建物があまりに老朽化していたので利用しなかった。その後泉質がよいと知っていつかたずねたいと思っていたのだ。
500円の料金をはらって脱衣所にゆくと、露天風呂に入っていた人が鹿がきているとおしえてくれた。温泉はまず内風呂がある。ここに三種の湯があるのだ。カルシューム泉、ナトリウム泉、鉄湯である。
露天風呂にゆくと鹿がいた。
名前のとおりここは鹿の谷だ。蝦夷鹿は慣れているのか人がいても草をたべつづけている。鹿をみて風呂につかるが湯があつい。長くは入っていられないし、かといって温泉からでると蚊がよってくる。
露天風呂の上の斜面にはいくつもの源泉がある。湯を風呂桶にためて、そこからパイプで各風呂にながしているのだ。まことに原始的なつくりで、からまつの湯といっしょだった。
内湯の三種の湯につかる。露天風呂の泉質もちがうのでここには四種の源泉があるのだ。そして混浴である。脱衣所は男女別々だが中はいっしょになっている。
建物の内部。帰りに地元の方に聞くと、ここは冬でも営業をしているとのこと。宿のすぐ下の急坂は上れるのかときくと、冬季はありあまっている湯を道路にながして、凍結をふせいでいるのだそうだ。こうなるともうすごいとしか言いようがない。古くてボロくて混浴だが、泉質はよくて、まさに秘湯である。ただし好みはわかれるだろう。
狭くて急な坂で車を切り返す。
深い森林帯を上士幌にむけて下ってゆく。
上士幌のコープで5割引きのサーモンの刺身とイカの酢味噌和えを、セブンイレブンで豚ロース串と鳥もも串を買って道の駅ピア21しほろにやってきた。今夜はここで車中泊だ。
バイクのハンドルにランタンをぶらさげた。となりにとまっている関西ナンバーのキャンピングカーでは熟年の男女4人が大はしゃぎで酒をのんでいた。しばらくするとものすごい鼾がきこえてきたが、無呼吸じゃないかな。呼吸がとまっている。
車の走行距離307、8キロ バイク0キロ ダート0キロ