月刊「祭御宅(祭オタク)」

一番後を行くマツオタ月刊誌

178. 讃予地域太鼓台水引幕 香川県立ミュージアム 「祭礼百態」2(月刊「祭」2019.9月5号)

2019-09-06 09:50:14 | 屋台・だんじり・神輿-台車、骨組み、かけ声、楽器、担ぎ方-
-水引幕の変化-
教えてくれるのは乗り子衣装!?
↑上の写真の衣装は箱浦屋台の乗り子衣装です。獅子を回す時の衣装でもあるそうです。この衣装が、水引幕の変化を考えるヒントになりそうです。
 
マツオタ垂涎😻
祭礼百態 
-香川・瀬戸内の「風流」-
香川県立ミュージアム
 

 2019.8.23から9.7にかけて香川県中の祭を集めた展示が香川県立ミュージアムで行われました。名だたるプロの研究者+太鼓台研究の金字塔ともいえる尾崎明男氏、全国の屋台や太鼓台、だんじりの写真を撮って歩く川瀧健司氏らによる圧巻の展示でした。

 いざ、足を運ぶと顔見知りや、一目で分かる祭関係者の姿がチラホラ。ほとんどは図録を見ればいいのかもしれませんが、それではカバーしきれないところ、見向きもされないところ、でも噛めば味が出る(と思い込んでいるところ)を書いていきます。
 今回は水引幕の変化を見ていきます。
 
●四国の太鼓台刺繍
 四国の太鼓台刺繍は、分厚く重厚なものが早い時期から発展してきました。その刺繍のファンは、播州や大阪にも広がっています。
 四国の大きくて華やかな太鼓台は、愛媛県の新居浜市、香川県豊浜市、観音寺市などにひろがっています。
 
 
国立民族学博物館(アクセス)の新居浜市・元船木の旧太鼓台と水引幕に該当する上幕。上幕も4分割になっています。
 
●寸足らず??上河内太鼓台
  下の写真は、三豊市河内(こうち)神社(アクセス)の旧・上河内(かみこうち)太鼓台(所蔵は香川県立ミュージアム)です。
 




↑上の2枚の画像は、上河内太鼓台の水引幕です。四本柱の高さの半分ほどの縦の長さしかありません。他の見学者の方に聞くと、昔はこのようなものが多かったらしいです。また、本ブログでも紹介した「新居浜太鼓台」を見ても、昔の新居浜の太鼓台もこのような丈の短い水引幕だったことがわかります。
 
切断された龍? 箱浦屋台
 下の香川県三豊市詫間町惣社(アクセス)の箱浦屋台(詳しくはこちら)の水引幕の龍を見てください。尾の部分と顔の部分が波で不自然とも言える状態で隠されています。
 なぜこのような状態になっているのでしょうか。
  
 

↑龍の頭へと続く画像右側の部分が途切れてしまっています。
 

↑頭の部分から見ても、龍の後ろ部分が見えない状態です。

水引幕の「ワレ」の場所
 下の水引幕の端と端の「ワレ」部分は、下の画像右側の四本柱のあたりに合うようになっています。これは、多くの場合太鼓台後ろ側の四本柱にこの上の上河内太鼓台も四本柱に「ワレ」がきています。
↑箱浦屋台の水引幕「ワレ」は画面右の四本柱にあたります。
 
ワレは四本柱でない場合も
 だんじりですが、宇多津町の宇夫階神社(アクセス)の伊勢崎町だんじり(所蔵は香川県立ミュージアム)は中央にワレが来ています。
 


もし箱浦屋台の水引幕ワレを中央に合わせたら
 もしも、箱浦屋台の水引幕のワレを中央に合わせると、龍の体の見えない部分が中央に来ます。他の面も、刺繍が途切れていたり、立体感のほとんどない部分が中央に来ることになります。
 そうすることで、姫路の神輿屋根型屋台に見られるような紐でくくって上に上げる水引幕の「たくし上げ」ができます。そして、たくし上げた間から見えるのが、乗り子の華やかな衣装ということになります。
 
 



 
 ●水引幕の発展過程
 シンプルなたくし上げ
 ↓
 刺繍つきのたくし上げ(箱浦屋台)
 ↓
 丈の短いたくし上げないもの刺繍の切れ目はない(上河内太鼓台)
華やかで丈の長いもの
四分割の上幕(元船木太鼓台)
 
このような推移が四国でもあったと考えることができます。


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