「かくしごと」
北國浩二氏著「嘘」を実写映画化(映画化にあたりタイトルを変更した模様)、原作小説未読です。
主人公の絵本作家・千紗子を杏さん、認知症の父を奥田瑛二さん、そして事故により記憶喪失になった虐待児を中須翔真君が演じています。今回試写会で鑑賞しました~😊
あらすじ
絵本作家の千紗子(杏)は、認知症を患う父・孝蔵(奥田瑛二)を介護するために帰郷する。長年絶縁状態にあった父親との同居にへきえきしていた千紗子は、あるとき事故で記憶を失ってしまった少年(中須翔真)を助け、彼の体に虐待を受けた痕を見つける。千紗子は少年を守ろうと考え、自分が母親だとうそをつき、少年と暮らし始める。千紗子と少年、認知症が進行する孝蔵は次第に心を通わせるようになるが、その幸せな生活に終わりが訪れる。(Yahoo!検索情報から丸パク)
認知症+児童虐待という激重案件ダブルネタな話。
あらすじでは「事故で記憶を失ってしまった少年を助け」とありますが、劇中では友達と飲みに行った帰りに飲酒運転していた友人が突然飛び出して来たらしい?少年を轢いてしまい、飲酒運転がバレるとクビになってしまう(友人は公務員)から~という事で意識のない子供をとりあえず千紗子の家に連れ帰った、というのが正解。
いきなり犯罪ですやん!なんですが、その後少年の身体中に明らかに虐待されたとおぼしき痣やタバコを押し付けたような火傷痕があるのを見付けると千紗子は何故か変な方向に正義感が発動して「こんな可哀想な子供を虐待親に返すなんて出来ない!→どうやら事故原因で記憶喪失になっているみたいだし…そうだ私が母親だと嘘付いてこの子を育てよう✨」というかなり斜め右上な突拍子もない行動に出る訳です。
正直…この流れは超~違和感があったんですが(苦笑)、後にコレに関しても彼女の過去がつまびらかにされて力業で納得させられますw
人目に付かない山の中の田舎暮らし、当面の同居人は認知症の父親(介護認定を受けたものの施設の空き待ち待機中)だけ、という事もあって割とすんなり少年を引き取る事に成功し、しばらくは割と穏やかな生活…とは言うモノの父親の認知症の進度は待った無しでジリジリと悪化の一途を辿っていて、認知症の親の介護(主にシモ方向)のシーンが何度か描かれています。コレはねー親が介護世代の人にはかなり身につまされる苦しいシーンでしたね。
認知症の父親を演じられた奥田瑛二さんが本当に迫真の演技でしたよ。だらしなく顔筋を弛緩させてボロボロと食べ物をこぼし、時に突如癇癪を起こし暴れ、そしてほんの時々正気に戻ったように訥々と語る。父親の竹馬の友であり主治医でもある診療所の医師を酒向芳さんが演じられているんですが、彼のキャラも良かったですねーと言うか、本作キャスティングが全員本当に良かったと思います。よくぞこの人選をされたと拍手喝采ですわ。
全てのシーンが本当に良くてね、あのシーンもこのシーンも…書き出したいんだけど書き出していったらガチまるっと映画一本分ネタバレになりかねないので(苦笑)、その中でも特に自分がお気に入りだったのは、疑似ファミリー3人で粘土細工を作ってそれに着色をして遊ぶというシーンがあったんですが、日々認知症の父親と向き合って疲弊している千紗子が束の間の団らんを心から楽しんでいるように見えてホッコリしましたね…そしてその裏で夜中に父親の粗相の後始末をしながら暗い目をしている姿の対比がまた何とも切ない…
子役の中須翔真君も良かったなーって言うか、この子エゲツない美少年だな!上手く育つと相当なイケメン俳優の道を辿りそうな…先が楽しみですなぁ~
という訳で、最後の大オチはよっぽど察しの悪い人でも途中で気付くと思うので(つーか最初っから皆んな分かってるよねw)特にミステリ要素とは思わなかったんですが、とにかく役者さん全員の顔が良かったですよ。ラストシーンの少年の決然とした表情と口調、そして最後の最後の杏さんのあの顔にはやられましたわー
答えのない問題(認知症に関しては…児童虐待は答えがあるよ虐待するような親は漏れなく滅びろマジで)を取り扱っているのでとても重たいんですが、とにかく役者の名演技で観客の心を鷲掴みにして離さない、物凄い吸引力のある作品でした…今年の日本アカデミー賞ノミネートされるんちゃう?コレは😊
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