そろそろエンディングも近いようなので「ハリー・ポッター」シリーズをふり返ってみよう。
ストーリーの核となるのは“選ばれし者”である、文字どおり貴種であるハリーが、ヴォルデモートなる闇の帝王との対決に(回り道をしながら)次第次第に近づいていく過程。
そのなかで、登場人物たちの複雑な関係性が明らかになっていく……はずなんだけど、今回の「謎のプリンス」は、そんなメインプロットはどこへやら。ハリー、ハーマイオニー、ロンの恋愛事情に多くの時間が割かれている。夕暮れ以降のホグワーツ魔法学校では、暗がりで生徒たちが平気でディープなキスをかましていたりする。生徒指導のマクゴナガル先生(マギー・スミス)もヤキがまわったか?
原作を読んでいないからか、よくわからない点もあるし文句もある。
・“謎のプリンス”である「あの人」の凄みがいまいち伝わらない。当然次回はどんでん返しがあるだろうと読めるが、それにしたってなあ……
・ロンとハーマイオニーの恋愛はいいとして、ハリーよ、お前が選ぶ女はあの娘でいいのか。本気か。
・ヴォルデモートの少年時代を描くのがこの作品の眼目のはずだが、だからといってレイフ・ファインズを一度も登場させないのはいかがなものか。
・やっと分霊箱争奪戦になって面白くなってきた、と思ったらエンディング。そりゃ、ないだろや。
……まあ今回の話はなかったことにしてやろう(無理だけど)。すっかりオトナになったハリーたち(特にドラコ・マルフォイのあいつは完全に大人だ)の成長を、まるで親の視点で楽しむことができるわけだし、最終章二部作もつきあうことにしよう。ようやくあいつらも“学校”を飛び出してくれるようだし。
今回、なにが哀しかったと言って、それはこのシリーズを初めて独りで見たこと。自分の子どもたちも、すっかり成長してしまっているのでした。ちぇ。