事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「おそろし 三島屋変調百物語事始」 宮部みゆき著 角川書店

2009-08-22 | 本と雑誌

51nfd6sjl7l 17歳のおちかは、実家で起きたある事件をきっかけに、ぴたりと他人に心を閉ざしてしまった。ふさぎ込む日々を、江戸で三島屋という店を構える叔父夫婦のもとに身を寄せ、慣れないながら黙々と働くことでやり過ごしている。そんなある日、叔父・伊兵衛はおちかを呼ぶと、これから訪ねてくるという客の対応を任せて出かけてしまう。おそるおそる客と会ったおちかは、次第にその話に引き込まれていく。いつしか次々に訪れる人々の話は、おちかの心を少しずつ溶かし始めて…

幸福な家庭、善なる人々……しかしその奥底にひそむ小さな邪悪さを、宮部みゆきは決して見過ごしてはくれない。だから読み続けるのが時にしんどくなるほどだ。ストーリーは圧倒的に面白く、描写も達者であるだけに、その潔癖さが読者を苦しめる……あなおそろし。

特に、近親相姦によって家族が腐っていく過程など、夢に出そうなくらい。連載は「家の光」で行われた。全国の農村の女性たちは、どんな思いでこの小説を読み進めたのだろう。

そして現在、続編が“世界最多の発行部数”を誇る読売新聞で連載されている。日本人の多くが、うなされなければいいのだけれど。

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「ジャッキー・ブラウン」(1997) Jackie Brown

2009-08-22 | 洋画

Jackiebrowndc 監督、脚本:クエンティン・タランティーノ 

原作:エルモア・レナード 

出演:パム・グリア サミュエル・L・ジャクソン ロバート・デ・ニーロ ブリジット・フォンダ

154分なんて上映時間がまったく気にならない傑作。タランティーノと原作のエルモア・レナードの相性がぴったしであることがよくわかる。

若いころにあこがれていた女優(パム・グリア)と高名な役者(ロバート・デ・ニーロ)を、キャリアを積みあげてキャスティングできたタランティーノの悦びがあふれている。特にパム・グリアの撮り方のいやらしさったら(笑)。藤田まことが「はぐれ刑事」で岡本麗を起用したのと同じ動機じゃないかな。違うか。

時制を自在にコントロールして観客を幻惑する手口は宮藤官九郎にもろに影響を与えたことがわかる。クドカンもこの作品や「レザボア・ドッグス」に熱中したんだろうな。

それにしても、例によってタランティーノの音楽の使い方は世界一。空港をスチュワーデス(断じてCAなどではない)のコスチュームで颯爽と歩くパム・グリアのバックにランディ・クロフォードの「ストリート・ライフ」。このシーンが撮りたくてこの作品を撮ったんだろ!とわたしは画面に突っこんでおりました。当たってるだろ。

Jackiebrown_2

コメント (2)
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