史上最もかっこいいタイトルバック。
主演の池松壮亮が逆立ちをし、そして涙を流すそれだけなのになんとも凄い。演出の真利子哲也(あの「ディストラクション・ベイビーズ」の人だ)のセンスが爆発している。テーマソングがエレファントカシマシなのも気合いが入っている(主人公の名前はエレカシの宮本浩次からとられているそうだ)。
なにごとにも不器用な対応しかできない宮本は、他の俳優が演じたら暑苦しいだけの人間に見えたかもしれない。でも、“異常なほど自然な”演技が本領の、池松壮亮によってこのキャラクターはなんとも魅力的なものになっている。
毎朝、駅で見かける美沙子(演じているのはグラビアアイドルの華村あすか。なんと米沢出身です)に声もかけられない宮本だが、彼女との関係が……てな具合に序盤は恋愛ドラマ的。
うーん、わたし的にはつらいドラマなのかな、と思ったら合コンのメンバーに「ドライブ・マイ・カー」の三浦透子がいて、ちょっといい話になっていく。
そして後半は松山ケンイチや星田英利(ほっしゃん。です)とともに営業の世界に喜びを見出し、同時に翻弄もされる。
劇場版は、普通のサラリーマンのお話なのに、激しく暴力的な映画になっている。くわえて蒼井優とのセックス描写も過激。先週だったかの「スナックラジオ」でBABIが
「日本映画のセックスは“遅い”」
と卓見を吐いていたが、この映画はその反証だ。
ピエール瀧が出演していたことで助成金が打ち切られて騒動になっている。しかしそんなこと以上に、まず池松壮亮を見ろ。このすごい俳優を見ろ。
キネマ旬報ベストテン第3位。池松壮亮は主演男優賞をゲットしている。
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