デンモク、ってご存じですか。
あれだろーカラオケの選曲するあのタッチパネルだろ、とすぐにわかるあなたは確実に楽しめる小説。わたしはわからなくてもものすごく喜んでしまいました。大好きな長島有の作品のなかでも最高レベルに楽しい。夜の2時に猫に起こされ、就寝儀式として読み始めたらやめられず一気にラストまで。
四十代のシングルマザー星子。重版がかかることはないけれども仕事がとぎれない作家だが、娘の大学進学をひかえて少しあせってもいる。同世代の友人とのカラオケ三昧。二十近く年下の学生との“関係”(セックスも含めてね)にとまどいながらも、星子の日常はつづく。
星子たちのカラオケが「Ahが入る曲」「有名じゃないほうのテーマソング」などの縛りがあるあたりがうれしい。だってわたしも仲間内で歌うときは「1978年の曲」とか「〇〇が他の人に書いた曲」などで縛ることもあるからだ。
長島の小説の特徴は、現在進行形でキャラの頭のなかにあることを速射砲のようにそのまんま描写すること。まるで時間がスローモーションで流れるような錯覚すら。
四十代とはつくづく微妙な年代だと思う。母親からは「スマホの“赤い丸”が消えない」なんて気が遠くなるようなリクエストは来るし、学生の若さはまぶしいけれども残酷な部分に気づかされたりもする。娘や別れた夫とのやり取りも、必要ではあるけれどもしんどい。
それらすべてを2019年から2020年までリアルタイムに描いている。だから後半にはコロナも出てきます。連載小説の強みがここに。
装丁がすばらしい。婦人公論そのまんま。婦人公論連載小説であることをこれほど強烈に訴えてくれる表紙があるでしょうか(笑)。
“昔も今も変わらない”ように“今も未来も変わらない”と主張するようなタイトル。世代の、だけでなく時代の隔たりを、歌をアイテムに描き切っている。まぎれもなく、令和の物語。
いやはや堪能。今年、これ以上の小説に出会えるだろうか。まいったなあ。
文庫は結構あるんですけどねえ.
発売を知らなかった頃に,行きつけの書店の新刊コーナーで表紙を見かけたんですが,
長嶋作品と気付かなかったんですよ,この表紙だから. もー.
新刊コーナーからのけられたら出会えるチャンスが激減・・・ 早く読みたい.
でも先週久しぶりに寄った書店で「観なかった映画」を見つけたので,これを読んでます.
書評集やマンガホニャララ同様,この人の評論は興味深くていいですね.
まず、最初に笑わせる手口がうまい。
背景にはすんげー重いものがあるのにね。
「おっかさんが・・・」のあたりがもう.
縛りカラオケが羨ましい.
(「Ah」は読書中は「愛のメモリー」だけ思いつきました.)
いつか家族で行った時やりたいです.
このご時世で1年カラオケ行ってない(T_T)
うかつにカラオケに行くと、卒業生に
会うことが多くてしんどいと。
ちなみに、わたしのカラオケの定番は
「今夜はブギーバック」です(笑)