事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「愛がなんだ」(2019 エレファントハウス)

2020-04-07 | 邦画

原作は角田光代の恋愛小説。ものすごく簡単に要約すると、さしていけてるとも思えない男に惚れてしまった女性が、職を失い、他の女性に彼を奪われてもひたすらに彼を求め続けるというお話。

なんか、年長者の上から目線なまとめになってしまった気がするけれど、わたしはこの映画に激しく心を揺さぶられた

さして大宣伝をうったわけでもないのに口コミで大ヒット。わかる。

タイトルの意味するところは、男=マモちゃんへのヒロイン=テルコの気持ちは愛でも恋でもないということなのだ。

ヒロインを演ずる岸井ゆきのの

「愛がなんだってんだ」

と吐き捨てるあたりがいなせである。

彼女は明確に宣言している。わたしはマモちゃんを愛しているのでも恋人でもなく

「マモちゃんになりたい」

のだと。これは強い。よく、小さな子どもが、電車の運転手ではなく

「電車になりたい」

というのに近い。それほどに強い思い。

主演は、次第に美しく見えてくる岸井ゆきのと、自分なんてとどこか見切っているあたりの諦観が渋い成田凌。このふたりの存在感は圧倒的。

凡百のキラキラ映画と違い、互いに大きな声で叫びあうこともなく、会話は常に小声。セックスも自然なふるまいに見える。

この二人に、大好きな片岡礼子江口のりこ筒井真理子がからみ、くわえて乃木坂出身の深川麻衣がいい味。キャスティングのセンスだけでもたいしたものだ。

監督は「アイネクライネナハトムジーク」の今泉力哉。傑作!


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