事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「11人の賊軍」(2024 東映)

2024-11-25 | 邦画

原案が「仁義なき戦い」「県警対組織暴力」「総長賭博」などの脚本家、笠原和夫である。

監督が「凶悪」「孤狼の血」「死刑にいたる病」の白石和彌である。

出演が山田孝之、仲野太賀、岡山天音、木竜麻生、玉木宏、そして阿部サダヲである。

製作は東映。東映岩に波しぶきが広がり、三角マークが出る……

これほどの作品を見逃せるはずがない。フォーラム東根で鑑賞いたしました。もっとも、この作品については笠原和夫が脚本を完成していたのだが、当時の社長である岡田茂が「こんな暗い話は絶対に当たらない」と却下。激怒した笠原はその脚本を破り捨てたというエピソードが残っている。

舞台は戊辰戦争。北上する官軍に対抗する奥羽越列藩同盟。新発田藩に早く出兵しろと迫る。しかし家老(阿部サダヲ)は、官軍に寝返ることを画策していて……

いろんな経緯があって、罪人に官軍を砦で足止めさせる奇策を使うことになる。無罪にするからと。少数の罪人たちはどのようにして多勢の官軍を食い止めるのか。

荒井晴彦と絓秀実が笠原和夫にロングインタビューした「昭和の劇」によれば、彼は徹底的に取材し、詳細なノーをつくってから脚本にかかるのだという。

この作品でも、官軍に挑んで焦土と化す長岡と、寝返って生き残る新発田の比較がすばらしい。官軍、賊軍のいずれにも正義があるように、罪人たちには罪人たちのプライドがある。ラスト近く、新発田の領民が家老に長岡のように焼け野原にならなくてよいのですねとたずねると、慈愛に満ちた顔で家老はうなずく。

しかし、そんな彼も、何の犠牲も払わないわけにはいかなかった……

かなり複雑なプロットだけど、ストーリーの面白さは保証付きだし、白石演出も力強い。もう一本みたいのもあったけれど、もうお腹いっぱい。さあ、帰ろう。


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