事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「神の呪われた子 池袋ウエストゲートパーク19」石田衣良著 文藝春秋

2024-07-18 | 大河ドラマ

「ペットショップ無惨」はこちら

このシリーズも長くなった。

フルーツショップの店番をしながら池袋のトラブル解決していくマコトと、池袋に君臨する帝王タカシの物語。

基本的にマコトが頭を使い、タカシが動員力と格闘担当。すべてのエピソードがこのパターン。仁侠ものにイメージは近い。

しかし思い浮かぶのは高倉健と池部良のコンビではなく、長瀬智也と窪塚洋介なのだ。宮藤官九郎脚本のあのドラマが、いかに強烈だったか。

同い年の石田衣良が、どんなことに義憤を感じているのかもうかがえるシリーズでもある。

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生け垣2024

2024-07-17 | 日記・エッセイ・コラム

2023年版はこちら

「伍長、恒例の生け垣剪定シリーズです」

「クレ556を噴き付けたヘッジトリマーは絶好調」

「伍長の身体にも噴きつけたらどうすか」

「どうなるんだろう」

「どうなるんでしょうねえ」

……親父は激怒。クレ556はこういうことに使うなと。

意味わかんねー。

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「天久鷹央」シリーズ 知念実希人著 新潮文庫(版で読みました)

2024-07-16 | ミステリ

これで“あめくたかお”と読みます。わざと男性とも女性ともとれる名前に設定していますが、この医師にして名探偵は女性です。しかも、かなり問題のある

病院内で不可解な事件が起こる。はんぱではない奇矯な性格ではあるが、有能な医師である天久が、その医療知識とセンスで一刀両断に謎を解いてみせる。

たとえば、病室にアルコールを持ちこめないはずなのに、なぜか患者が酩酊してしまう。この謎は魅力的だ。患者が人気作家である設定が効いている。

しかし、他の作品では事件が解決してもどうもすっきりしないことも多い。それはおそらく、天久の(というか医師である知念実希人の)医学的知識が後出しじゃんけんのように思えるからだと思う。医療従事者以外には絶対に推理不可能じゃないかと。ということでこのシリーズは、ミステリとしてよりも、医学小説として読んだほうがストレスを感じないかも。

それから、わたしがこのシリーズを読むのは、月に一度の医者通いのとき。やたらに混みあう医者なので、待ち時間が長い長い。だから本を持ちこむのが必須なのに、たまに忘れちゃうのね。

そんなときは司書に頼んでこのシリーズを学校図書館から借りてるの。ところが問題は、このいかにもライトノベルな装丁。いやーいい年をした男が、待合室でこの本をバッグから取り出すのはすごく恥ずかしいのでした。

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光る君へ 第27回「宿縁の命」

2024-07-14 | 大河ドラマ

第26回「いけにえの姫」はこちら

先週の大河はお休み。東京都知事選の開票速報のため。

わたし、毎回言っているんだけど、一地方の首長選挙のために、どうして大河ドラマをお休みまでしなければならないのだろう。そして、当のその都知事選が、今回も壮大な茶番だったわけで。

おそらく日本の政治家のなかで、やっていていちばん面白いのは東京都知事だというのは理解できる。地方交付税云々を気にしなくていいので国の意向を忖度しなくてもいい。やりたい放題である。

陣笠議員のような苦労をしなくても、日本一浮動層が多い地方だから、知名度が高ければ当選の可能性は高い。そしてそれ以上に、都知事選に出馬することで知名度があがり、いやそれどころか……

首都東京には海外からの客も多い。いったい候補者があれほど乱立した掲示板を見て、彼らはどう思ったろう。そしてその掲示板のスペース自体が、売り物になっていることを知ったらと思うと恥ずかしい。日本というのはどれだけ民度が低い国なのか。

そして、第二位となった候補を、若者たちがああも簡単に支持してしまうあたりが危うい。本気で都政をあの人物にまかせようとしたのか。

マスコミもよくないですよね。面白おかしく報ずることが通例になっているので、こんなことになってしまう。よくわからないのは維新で、どうして候補者を出さなかったのだろう。おかげであの人物が165万票もとったことに今ごろあたふたしている。やれやれ。

あ、大河のお話でした。むかしつきあっていた男と久しぶりに出会ってしまい、そしてあろうことかすぐに寝てしまう。で、妊娠。夫がいない時期だったので誰の子かは……

すごい通俗(笑)。でもこれが紫式部と藤原道長の話だと格好がつく。吉高由里子と佐々木蔵之介の関係だから格好がつく。千年も前のお話だからありかもしんないでしょ、という大石静さんの開き直り。うん、ありかもしんない。

第28回「一帝二后」につづく

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「落語速記はいかに文学を変えたか」櫻庭由紀子著 淡交社

2024-07-13 | 本と雑誌

読売の読書欄でこの本の書評を尾崎世界観が書いていて驚いた。ちょうどこの本を面白そうだからと図書館から借りていたのだ。そして尾崎が言うように、そしてわたしが想像したように、とても面白い本なのでした。

わたしたちは映像で志ん生や文楽の芸を楽しむことができる。しかし、牡丹灯籠などの名作を明治期に連発した三遊亭圓朝の至芸を観ることはできない。

同じことが同時代の人たちにも言えて、寄席に行くことのできない地方の人たちに、当時売れまくったのが落語を速記して出版したシリーズだったという。

落語家の口調そのままに書いてあるのだから、もちろん口語体で記述されている。そして、それが言文一致運動につながるわけだ。

国語の授業では二葉亭四迷がその嚆矢だと教わったが、二葉亭もかなり悩んだのだとか。自分の知らないことがてんこ盛りになっていて、しかも櫻庭さんの文章も洒脱でけっこうでした。

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日本の警察 その146 警視庁いきもの係 大倉崇裕著 講談社

2024-07-12 | 日本の警察

その145「新・教場」はこちら

いきもの係というシリーズ名だけれども、当初は警視庁総務部動植物管理係というサブタイトルだった。もちろんこんな部署は現実には存在しない。

このシリーズは現在

「小鳥を愛した容疑者」(小鳥、ヘビ、カメ、フクロウ)

「蜂に魅かれた容疑者」

「ペンギンを愛した容疑者」(ペンギン、ヤギ、サル、ヨウム)

「クジャクを愛した容疑者」(ピラニア、クジャク、ハリネズミ)

「アロワナを愛した容疑者」(タカ、アロワナ、ラン)

「ゾウに魅かれた容疑者」

……の6作品が刊行されています。

かつて捜査一課で「鬼」と呼ばれた敏腕刑事の須藤は、頭部を撃たれてしまい、動植物管理係という閑職に追いやられる。そこには、薄(うすき)佳子という人間的に壊れているけれども、動植物についてだけは天才的という部下が待っていた……

いくら社会常識からずれていると須藤が指導しても、すっとんきょうな反応しか示せない薄に、次第に須藤も影響を受けていくあたりが笑える。須藤が薄の能力を認めるのとシンクロしているのね。

動物についてのうんちくが満載で、しかもミステリとしてしっかりしている。さすが、劇場版名探偵コナンの脚本を何作も書いている大倉崇裕だ。

え、このシリーズはドラマ化されているの?須藤と薄は誰がやったのかな……ええええ、渡部篤郎と橋本環奈ぁ!?それに寺島進と浅野温子がからむのか。

見なきゃ。

その147「こちら空港警察」につづく

 

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今月の訃報2024年6月号PART3 佐々木昭一郎 88歳没

2024-07-10 | テレビ番組

梁石日篇はこちら

元NHKのディレクター。テレビにしてはめずらしくアート系の人だった。

わたしが高校生のころに小学館が漫画文庫を刊行しはじめ、ラインナップのなかでひときわ異彩を放っていたのがつげ義春の「紅い花」だった。

わたしは熱狂した。

漫画ってこんなこともできるのかと。ガロなど知りもしなかった田舎の高校生にとって、こんなショックはなかった。

「のう、キクチサヨコぉ、眠れや」

というラストにはうなった。で、この作品や「ねじ式」「ゲンセンカン主人」などの短篇をアレンジしてオンエアされたのが佐々木昭一郎の「紅い花」だったわけ。これまた傑作。

おかげで佐々木の「四季・ユートピアノ」や「川の流れはバイオリンの音」も観ることになった。どちらも主役は中尾幸世。魅力的だったなあ。

2024年7月号PART1 ロバート・タウン篇につづく

 

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今月の訃報2024年6月号PART2 梁石日(ヤン・ソギル) 87歳没

2024-07-09 | ニュース

ドナルド・サザーランド篇はこちら

きわめて複雑な人生を歩んだ人だが、作家として幸福なのは、原作の映画化がみごとに成功していることだろう。少なくとも

「月はどっちに出ている」

「血と骨」

「闇の子供たち」

の三本で彼の名は歴史に確実に残る。

佐々木昭一郎篇につづく

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今月の訃報2024年6月号PART1 ドナルド・サザーランド 88歳没

2024-07-08 | 芸能ネタ

唐十郎篇はこちら

この役者の作品を観たことがない人はいない。断言。

長いキャリアで、数多くの映画に出演。しかも一度見たら忘れられないそのルックス。大好きでした。

彼の代表作はもちろんロバート・アルトマン監督の「M★A★S★H」(マッシュ)だろう。サザーランドとエリオット・グールドの共演というのも笑わせるが、そこにロバート・デュバルやサリー・ケラーマンがからむのだからたまらない。

他にも「SF/ボディ・スナッチャー」(眼をクルクルまわすブルック・アダムスがかわいかった)、ケン・フォレットの傑作小説を映画化した「針の眼」なども忘れられない。ただこの人の真骨頂は、くせ者的な脇役のポジションだろうか。だからケネディ暗殺を描いた「JFK」におけるX役などはぴったりだった。

お若い方々にはキーファー・サザーランド(「24」のジャック・バウアーね)の父親としての方がなじみ深いだろう。いやそれにしたってこの二人は似ている親子ですよね。

梁石日篇につづく

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「ミステリ作家の自分でガイド」本格ミステリ作家クラブ編 原書房

2024-07-06 | ミステリ

読者の意表をつくのが本格ミステリなのだから、自作をみんなひねくれた紹介の仕方をしていておかしい。その芸にのって、この人の作品を読んでみようかと何度も思わせられました。

有栖川有栖山口雅也、千街晶之の座談会は無類の面白さ。

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