保津川下りの船頭さん

うわさの船頭「はっちん」が保津川下りの最新情報や、京都・亀岡の観光案内など、とっておきの情報をお届けします。

保津川一帯を濃い黄沙が覆い尽くす!

2010-03-22 23:11:09 | 船頭
昨日は日本列島全域で大規模な黄沙が観測されました。

私達の住む京都・亀岡市も早朝から薄茶色の黄沙に覆いつくされました。

いつもは保津川下りの乗船場から見える「愛宕山」も殆ど見えなくなり、
川も1キロ先ほどしか見渡すことができず、近年にない視界の悪さです。



「霧にけむる保津峡」ならぬ「砂にけむる保津峡」とは、何とも風流さに欠けるというもの。

この黄沙、中国大陸からの偏西風に乗って飛来したものらしく、発達した低気圧により、
33~38mも吹き荒れた記録的な強風に運ばれ、日本列島を覆い尽くしたのです。

太陽も輪郭の影がうっすら見えるだけ。

春は、暖かい日の次の日に強風が吹くことが多く、我々も舟を運航する時は最善の注意を払っています。
しかし、その強風が黄沙まで運んで来ると、条件は更に悪くなります。

風向きが舟の操船の大きな妨げになる上に、視界まで閉ざされるとなるとキツイです。
しかも、口の中もジャリジャリになり、鼻もむずかゆく、心身ともに弱ります。

マスクにゴーグルという格好はお客様の手前、することはできないので、ただ自然に任せ、
飛び去ってくれるのを祈るしか成す術がないところに人間の無力さを痛感させられます。

この様な中、日本各地では強風のため、電線切れ停電したり、工事現場の足場が倒れるなどの
被害をもたらしたとのことですが、保津川下りは自然を読み取る目と鋭い勘、
そして確かな操船技術で黄沙舞い込ませた強風と荒瀬を乗り切ることができました。


昼をまわった頃から、急にあたりが明るくなり、黄沙は消えていきました。
強風が幸いしたのです。辺り一面を覆いかぶせていた黄沙を風が全て一掃したのです。

自然の力は偉大だある!

しかし、約4000キロ離れた遠い大陸からよく飛んで来るものですね。
いくら春の低気圧が発達した上昇気流に乗るとは言っても、2~3日かけて
飛来して来てこの濃度です。

自然には本当に国境は存在しないのですね。人間が線引きした国境なんて、
大自然の前にはなんの意味も持たない事を思い知らされる現象です。

今回の黄沙は私がこれまで経験した中でも最も濃度の高いものだと感じました。

いよいよ、自然の猛威は人間の経験知を超える時代がやってくるのでは・・・


幽玄にして妖艶 祇園の枝垂れ桜

2010-03-22 08:34:09 | シリーズ・京都を歩く
連日、大勢の人でにぎわう「京都・東山花灯路」

名所・古刹を結ぶ路地街道をライトアップと灯篭の灯りで、古都の夜を演出する
癒しの光イベントもいよいよ今日が最終日。

みなさんはもう行かれましたか?

この花灯路の中間地点に位置するのが円山公園の枝垂れ桜です。

幽玄にして妖艶ともいわれる円山の枝垂れ桜。

まだ、蕾をつけたくらいで、開花まではもう少しか・・・

花はつけていないのに、これほど心惹きつける桜もないでしょう。

この枝垂れ桜は、二代目。

正式名は「一重白彼岸枝垂桜」といい、別名「祇園の夜桜」として
江戸時代から京都の町衆に桜の代名詞して愛されています。


初代は、樹齢200年を超えていましたが、1947(昭和22)年に枯れました。

桜守の15代佐野藤右衛門さんが、初代の桜から採った種子で育てたのが、
今の二代目「祇園の夜桜」です。その樹齢は約70年。

高さは初代とほぼ同じの12メートル。

「清水へ祇園をよぎる桜月夜 こよひ逢(あ)ふ人みなうつくしき」
与謝野晶子の歌にも詠まれたことがある、存在感十分の桜です。

まだ、ご覧になられていない方は、今年あたり、京都の桜めぐりをされてはいかがでしょう。