創作日記&作品集

作品集は左のブックマークから入って下さい。日記には小説、俳句、映画、舞台、読書、など…。そして、枕草子。

「青春の殺人者」〈1976年〉 1

2014-03-11 13:42:44 | 映画・舞台
朝日新聞のbe on Saturday(2014年3月8日)に(映画の旅人)「青春の殺人者」〈1976年〉が取り上げられた。
もう、15年以上も前になるだろうか、長谷川和彦さんに会ったことがある。
私は、NHKのラジオドラマに入選したりしていた。多分この頃が、私の儚い華の時代だったのだろう。ある日、大阪シナリオ学校の講演に監督がやってきた。補助席を用意したが必要がなかった。彼も冬の時代だった。
講演は抜群に面白かった。映画にかける情熱がびしびしと伝わってきた。講演後、居酒屋で親睦会がもたれた。「お客さん、もっと詰めて」。文字通り膝を交えた飲み会になった。
「同い年だ。何月生まれ? 7月か。俺の方が、学年は一つ上だ。先輩だ」。監督は上機嫌だった。私は途中で帰った。後で、監督が、私が帰ったことで不機嫌になり、荒れたと聞いた。
それからも、ネットを通じて交流があった。シナリオも書いた。ポスターも配った。地下にある小さな映画館だけが置いてくれた。「映画ができたらいいね」と。しかし、色々とあって途絶えた。結局、監督は一作も撮らなかった。
回顧はこのくらいにしよう。次は未来について語ろう。勝手に、次作についても。

国宝 十一面観音立像

2014-03-07 06:52:42 | お出かけ
聖林寺 国宝 十一面観音立像が先日、テレビで紹介されてました。曰く、「日本のミロのビーナス]。猛烈に見たくなりました。近くなのですが、交通不便。嫁に頼んでgo! 私は助手席に乗ってgo! 十身頭の仏に対面しました。抜群のプロポーション。フェノロサや白洲正子が、絶賛したのも納得です。
春風や十一面観音聖林寺
私の俳句修行はここ。




小川洋子の陶酔短篇箱・小川洋子[編著]4

2014-03-06 07:02:36 | 読書
いりみだれた散歩・武田泰淳
昔はいりみだれていた。道や家も。人の生活も。匂いも。新聞紙は、便所の紙にも食べ物を包むのにも使った。市場や商店街にも、一軒一軒人がいて、その人達の生活があった。買い物とは、人と会うことだった。今のスーパーは、区切りがあるだけだ。野菜、肉、魚、総菜、缶詰、調味料等々。全てが直線で区切られている。誰とも喋ることなくコンパートメントを巡り買い物を済ます。そこに他人が入り込む余地はない。やがて、「いりみだれた散歩」も消えるのだろうか?

鑑定士と顔のない依頼人

2014-03-05 09:45:54 | 映画・舞台
鑑定士と顔のない依頼人絵とミステリーが大好きな私。随分暖かくなりました。自転車をコギ、コギお出かけです。また、「シニア一枚」です。観客は三人ほど。みんな一人です。こういう映画は一人で観るのに限ります。久し振りにミステリーを堪能。二重、三重にはりめぐらされた伏線。女性の肖像画の数々。(分かったのはルノアールだけ)。そして、驚愕の結末。絵画もミステリーも、贅沢な一本。一粒で二度美味しい映画です。お勧めです。このページには表と裏のページがあります。鑑賞後に見てくださいね。特に裏は鑑賞前に見るのは厳禁です。


小川洋子の陶酔短篇箱・小川洋子[編著]3

2014-03-04 06:30:17 | 読書
愛撫・梶井基次郎
解説エッセイ「文鳥のピアス」では、本文の「医科の小使」が「医科の小間使」になっていた。青空文庫で原文を確認する。「医科の小使」だった。「誤植読本」を読んでいる最中からだろうか? なぜか気になる。今、妻が、台所から「紅茶に何か入れる?」ときいた。「レモン」と叫んだ。
偶然だろうか?

小川洋子の陶酔短篇箱・小川洋子[編著]2

2014-03-03 14:50:46 | 読書
外科室・泉鏡花
百年以上前の小説。映画は観たが、吉永小百合が主演だったこと以外何も覚えていない。
だが、こんなに短い作品であったとは。
文章は難解。頭が痛くなったら現代語訳もあります。
外科室での手術と九年前の一瞬のすれ違い。この間の出来事は何も書かれていない。多分、何もない。幻想文学と簡単に納得出来ないところに不思議な魅力がある。すなわち、読後の? が魅力だと思う。
ここは、解説エッセイ「鳴らないポケットベル」が、幻想から現実に引き戻されるようで面白い。確かに外科室は生と死のはざまにある。ポケットベルか。懐かしいなあ。

小川洋子の陶酔短篇箱・小川洋子[編著]

2014-03-02 16:26:41 | 読書
小川洋子の陶酔短篇箱・小川洋子[編著]16人の著名な作家の16の短篇。図書館で借りました。新刊です。丸まった栞紐が嬉しい。
新刊の栞紐伸ばす春うらら 私の俳句修行はここ
それぞれに編者の解説エッセイがつきます。最初は「河童玉」・川上弘美。彼女らしい幻想の世界を楽しみました。次は、「遊動円木」・葛西善蔵。若い頃(40年ぐらい前)、「子を連れて」を読んだことがあります。陶酔短篇箱に興味を引かれたのは、葛西善蔵の作品があったからです。デカダンスとやるせなさ。私小説という人生の切り売り。その頃の自分。様々な思いが去来します。さて、小説ですが、最初に躓いた。「遊動円木」が見当はつくが正確に分からない。最後の「禅骨! 禅骨!」が意味不明。ネットで調べても分かりませんでした。解説エッセイに書いてあるかと期待しましたが、なし。誰か教えて! 小説ですか? 「遊動円木」という語感。それを操る女の印象が鮮明です。



増補版「誤植読本」・高橋輝次編集

2014-03-01 14:58:30 | 読書
増補版「誤植読本」・高橋輝次編集
アマゾンから届いて、早速読み始めました。まだ、最初の最初ですが、みなさん文章が上手い。勉強になります。その中で、
「どの本も思いもかけない読み方をされる。未完成のところこそ、読者は自由に、想像をふくらませて読んでくれる。それこそ本はいったん溶けて、また読者のなかで再結晶する。」
誤植読本の森まゆみさん「誤植さがしの昼下がり」の一節です。実に上手い文章ですね。「再結晶」の言葉が美しく、そして、真実を突いています。