天気予報通り朝から雨模様。昨日の蒸し暑さから打って変わって最高気温は15度も下回る、ということでしっかり着込んで出かけた。雨のおかげで、案の定最寄駅では電車が遅延、そして当然のごとく乗換駅で予定の電車に乗れず、しかも病院の最寄駅までずっと立ちづめ。到着までに体力を消耗してしまった。
連休明けで病院は混雑。いつもより10分遅れての到着で、採血は20人待ち程度だったが、受付から終了まで30分ほどかかった。今日は腫瘍マーカーも含むフル検査のため、3本採取。その後、内科に移動してから中待合に入るまでにたっぷり1時間。診察室に入った時には病院到着から2時間以上が経過していた。
まずはここ2週間のご報告。「いろいろ精力的に予定をこなしましたか?」とのっけから聞かれてしまう。投与後の副作用はいつもどおりで、規定通りロキソニンを飲み、おおむね元気だったが、月初めに胸痛と右腋の痛みがあったこと、頭痛で3度ほどロキソニンを飲んだこと、2度ほどお腹を壊したことなどをご報告した。
今日の白血球は2800、腫瘍マーカーは先月と全く同じで横ばい。上がっていなくてほっとした。次週も予定通り治療ができる。
「では、ご相談が・・・」と先生からお話があった。
“4月末にあった医療者会議で、海外での常識的な薬の使い方を日本でも治験を行わずにやろうということで、再発治療のハーセプチン3週に1度の投与が通り、厚生労働省からも通知が出た。これまでハーセプチンは毎週投与ということになっていたが、3倍量にして3週に1度でよい、ということになった。実際に術後の患者さんには点滴のスピードも同じで3倍量で行われている。副作用もそれほどではないようだ。これまではナベルビン2投1休にあわせてハーセプチンも3週目は休薬にしていたが、今後3週分を1度に投与出来れば、理論上休薬の週はなくなる。そして効果の面でも有利になるか変わらないかで、不利になることはない。これまで毎回体表面積に基づく不要量を廃棄していたが、この無駄も3週間に1度で済むことになる。3倍量にしても時間は3倍にならず、これまでどおり1時間で大丈夫。1週目に3倍ハーセプチンをすれば2週目はナベルビンとゾメタだけになり、点滴時間が短くなる。”とのこと。
なんといっても高価な薬を廃棄する、という無駄もなくなり、点滴時間も短縮し、さらに効果の面から不利になることもなく、副作用も心配ないということなら、それでお願いしたい、とお答えした。
今回の13クールが終わって、来月からは新しいサイクルで出来るように調整してくださるそうだ。
先月からハーセプチンが1時間になり、大分楽になっていたのだが、またここで3週に1度になるとは、本当に有難い。どんどん進化しているのだな、と思う。
実は有難いことに、昨日が通院日だったプチ虹のサロンのSさんから、再発治療におけるハーセプチン3週1度投与の認可情報はメールで頂いていた。感謝である。
化学療法室へ移動。点滴椅子が満杯ということで30分ほど待つ。ようやくお昼前に点滴椅子が空き、針刺をして頂いた段階ですでに12時半。今日は3時までのランチタイムに間に合うだろう、と甘い見積もりをしてお昼を調達しないでいたが、この段階であきらめる。
そして点滴開始。順調に4本終了して3時少し前。会計を済ませた段階で3時を大幅に回ってしまった。外は本降りの雨。それを見たら空腹のまま駅まで歩く元気がなくなり、今日は病院内のレストランで遅いお昼をとった。そんなわけで本日の病院滞在時間は7時間弱。
今日は3冊読んだ。
1冊目は吉村昭さんの「三陸海岸大津波」(文春文庫)。
今回の3.11により今年4月に第8刷目が増刷されている。先日読んだ岩波新書(「津波災害」河田惠昭著)でも紹介されていたので手に取った。帯には「吉村記録文学の傑作 明治以後、繰り返し三陸を襲った大津波の貴重な証言・記録を発掘」とある。そして、まえがきに「私は、むろん津波の研究者ではなく、単なる一旅行者にすぎない。専門的な知識には乏しいが、門外漢なりに津波のすさまじさにふれることはできたと思っている。」とあるが、昭和45年、すでに40年経過しているとは思えないほどの圧倒的な文章にしばし呆けてしまった。解説の高山文彦さんが書いておられる通り「吉村氏は徹頭徹尾“記録する”ことに徹している。だから、付け焼刃的なフォークロアの甘いアプローチをしない。情緒的な解釈もしない。圧倒的な事実の積み重ねの背後から、それこそ津波のように立ち上がってくるのは、読む側にさまざまなことを考えさせ、想像させる喚起力である。」に尽きる。何より子供達が書いたという作文には胸が潰れそうな思いだった。
2冊目は篠田節子さんの「アクアリウム」(集英社文庫)。
1993年の単行本の文庫化だから篠田さんの初期の作品。自然の驚異と神秘に満ちたサイエンス・ファンタジーとある。市役所勤めをやめて作家に転身された著者だから、役所の中の雰囲気や上司とのやり取りなどもリアルで、にやりとさせられる部分が多い。そして何より出てくる地名がすべて土地勘のあるところばかりで何ともわかりやすく、導入部分からあっという間に惹きこまれ、ページを繰る手が止まらなかった。
3冊目は青山七恵さんの「やさしいため息」(河出文庫)。
芥川賞受賞第1作ということで、こんなふうに若い女性作家の文章を読むのは自分も若返る感じで楽しい。著者も会社勤めをしながら作家の道に入った人。普通の感覚がとても新鮮だ。表題作品のほかに同じように会社勤めをして作家活動をしている磯崎健一郎氏との特別対談も併録されており、すらすらと読めた。
帰宅するとお花が届いていた。今回はピンク系とクリーム系のアルストロメリアとかすみ草。それぞれ花言葉は凛々しさと清い心。暖かくなってきてはいるが、花瓶の水をこまめに換えて水切りをすれば本当に2週間十分楽しめる。
連休明けで病院は混雑。いつもより10分遅れての到着で、採血は20人待ち程度だったが、受付から終了まで30分ほどかかった。今日は腫瘍マーカーも含むフル検査のため、3本採取。その後、内科に移動してから中待合に入るまでにたっぷり1時間。診察室に入った時には病院到着から2時間以上が経過していた。
まずはここ2週間のご報告。「いろいろ精力的に予定をこなしましたか?」とのっけから聞かれてしまう。投与後の副作用はいつもどおりで、規定通りロキソニンを飲み、おおむね元気だったが、月初めに胸痛と右腋の痛みがあったこと、頭痛で3度ほどロキソニンを飲んだこと、2度ほどお腹を壊したことなどをご報告した。
今日の白血球は2800、腫瘍マーカーは先月と全く同じで横ばい。上がっていなくてほっとした。次週も予定通り治療ができる。
「では、ご相談が・・・」と先生からお話があった。
“4月末にあった医療者会議で、海外での常識的な薬の使い方を日本でも治験を行わずにやろうということで、再発治療のハーセプチン3週に1度の投与が通り、厚生労働省からも通知が出た。これまでハーセプチンは毎週投与ということになっていたが、3倍量にして3週に1度でよい、ということになった。実際に術後の患者さんには点滴のスピードも同じで3倍量で行われている。副作用もそれほどではないようだ。これまではナベルビン2投1休にあわせてハーセプチンも3週目は休薬にしていたが、今後3週分を1度に投与出来れば、理論上休薬の週はなくなる。そして効果の面でも有利になるか変わらないかで、不利になることはない。これまで毎回体表面積に基づく不要量を廃棄していたが、この無駄も3週間に1度で済むことになる。3倍量にしても時間は3倍にならず、これまでどおり1時間で大丈夫。1週目に3倍ハーセプチンをすれば2週目はナベルビンとゾメタだけになり、点滴時間が短くなる。”とのこと。
なんといっても高価な薬を廃棄する、という無駄もなくなり、点滴時間も短縮し、さらに効果の面から不利になることもなく、副作用も心配ないということなら、それでお願いしたい、とお答えした。
今回の13クールが終わって、来月からは新しいサイクルで出来るように調整してくださるそうだ。
先月からハーセプチンが1時間になり、大分楽になっていたのだが、またここで3週に1度になるとは、本当に有難い。どんどん進化しているのだな、と思う。
実は有難いことに、昨日が通院日だったプチ虹のサロンのSさんから、再発治療におけるハーセプチン3週1度投与の認可情報はメールで頂いていた。感謝である。
化学療法室へ移動。点滴椅子が満杯ということで30分ほど待つ。ようやくお昼前に点滴椅子が空き、針刺をして頂いた段階ですでに12時半。今日は3時までのランチタイムに間に合うだろう、と甘い見積もりをしてお昼を調達しないでいたが、この段階であきらめる。
そして点滴開始。順調に4本終了して3時少し前。会計を済ませた段階で3時を大幅に回ってしまった。外は本降りの雨。それを見たら空腹のまま駅まで歩く元気がなくなり、今日は病院内のレストランで遅いお昼をとった。そんなわけで本日の病院滞在時間は7時間弱。
今日は3冊読んだ。
1冊目は吉村昭さんの「三陸海岸大津波」(文春文庫)。
今回の3.11により今年4月に第8刷目が増刷されている。先日読んだ岩波新書(「津波災害」河田惠昭著)でも紹介されていたので手に取った。帯には「吉村記録文学の傑作 明治以後、繰り返し三陸を襲った大津波の貴重な証言・記録を発掘」とある。そして、まえがきに「私は、むろん津波の研究者ではなく、単なる一旅行者にすぎない。専門的な知識には乏しいが、門外漢なりに津波のすさまじさにふれることはできたと思っている。」とあるが、昭和45年、すでに40年経過しているとは思えないほどの圧倒的な文章にしばし呆けてしまった。解説の高山文彦さんが書いておられる通り「吉村氏は徹頭徹尾“記録する”ことに徹している。だから、付け焼刃的なフォークロアの甘いアプローチをしない。情緒的な解釈もしない。圧倒的な事実の積み重ねの背後から、それこそ津波のように立ち上がってくるのは、読む側にさまざまなことを考えさせ、想像させる喚起力である。」に尽きる。何より子供達が書いたという作文には胸が潰れそうな思いだった。
2冊目は篠田節子さんの「アクアリウム」(集英社文庫)。
1993年の単行本の文庫化だから篠田さんの初期の作品。自然の驚異と神秘に満ちたサイエンス・ファンタジーとある。市役所勤めをやめて作家に転身された著者だから、役所の中の雰囲気や上司とのやり取りなどもリアルで、にやりとさせられる部分が多い。そして何より出てくる地名がすべて土地勘のあるところばかりで何ともわかりやすく、導入部分からあっという間に惹きこまれ、ページを繰る手が止まらなかった。
3冊目は青山七恵さんの「やさしいため息」(河出文庫)。
芥川賞受賞第1作ということで、こんなふうに若い女性作家の文章を読むのは自分も若返る感じで楽しい。著者も会社勤めをしながら作家の道に入った人。普通の感覚がとても新鮮だ。表題作品のほかに同じように会社勤めをして作家活動をしている磯崎健一郎氏との特別対談も併録されており、すらすらと読めた。
帰宅するとお花が届いていた。今回はピンク系とクリーム系のアルストロメリアとかすみ草。それぞれ花言葉は凛々しさと清い心。暖かくなってきてはいるが、花瓶の水をこまめに換えて水切りをすれば本当に2週間十分楽しめる。