昨日に続いて朝日新聞社のネット記事からの転載で恐縮だが、今日もなるほど、と思ったものがあった。少し長いため若干割愛しながら、転載させて頂く。「女子マネの時代」の連載第3回である。
※ ※ ※ (転載開始)
「怖い女」上司にならないための会話術 (2011.05.27)
・・・・今回は、中でもコミュニケーションに絞って、女性が陥りやすい課題やその解決策を考えていきたいと思います。
真面目さ、熱心さが「怖いヒト」への落とし穴
女性がビジネス社会のルールの中で、そこに溶け込みながら仕事をしようとすると、時に「男性社会」であることを意識しすぎて、「怖い人」になってしまうことがあります。
私のかつての職場にもいました。彼女は人一倍仕事熱心でした。しかし、まじめさゆえに、「負けてはいけない」「女性だからと、なめられたくない」という気持ちが裏目に出てしまったのでしょう。表情が硬く、背中から話しかけにくいオーラがにじみ出ているのです。あなたの周りにも、そんな人がいませんか? いったん打ち解けると、親切に相談にも乗ってくれるし、困ったときは親身になって助けてくれる人なのに、です。
皆さんは「メラビアンの法則」をご存じでしょうか。人間はコミュニケーションにおいて相手が発する言葉そのものだけではなく、声の調子や態度などから多くの情報を得ているということを証明したものです。誰かに話しかけたときに、「どうしたんですか?」と優しい態度で言われるのと、無愛想な態度で言われるのとでは、同じ言葉でも受ける印象が全く異なります。つまり、「負けない」「なめられたくない」と思う気持ちは、言葉としてそれを発していなくても、態度となって相手に伝わっているおそれがあるということです。私たちは、「何を」伝えるかと同じくらい「どう」伝えるかということも意識した方が良いようです。
「気持ち8割」のコミュニケーションを
私自身も、後から入社した同僚に「最初はすごく話しかけづらかった」と言われたことがあります。当時はまだ管理職ではなかったものの、「あ、意外と見られてるんだ」「自分の態度って伝わっちゃうものなんだ」と知りました。甘くみられたくはありませんが、それでコミュニケーション不全に陥り、業務に支障が出たら意味がありません。この時の気づきが、マネジャーになった時の原体験となりました。
若い部下に遅刻の常習犯がいました。ある日、クライアントとの商談が長引いたからと、私との1対1のミーティングに事前連絡もなく遅れてきたのです。「上司との打ち合わせに連絡もなく遅刻するなんてあり得えない」。私は厳しく注意したい気持ちでした。しかし、ただ叱りつけては、萎縮させたり、お小言だと思われてしまう可能性もあります。
そこで私は、意識的に肩の力を抜き、自分の気持ちを8割程度に抑え、「怖く」ではなく「残念」そうに伝えたのです。「あなたが忙しいのはよく知っている。でも、お互い調整して、やっとこの時間を作りだしたんだよね。なのに、私たちはその貴重な1時間を10分もロスしてしまったね」。叱られるとばかり思っていたその部下は、私の態度に驚いたようでした。そしてその後は、遅れるときは連絡を入れてくれるようになり、自分から話しかけてきてくれるようにもなりました。
またある時期、私には自分より社歴も業界経験も長い、年上の男性部下がいたのですが、「女で年下だからとなめられてはいけない」と、どうしても肩に力が入りがちで、何かと細かな管理をしてしまいました。そのため、最初は業界動向など何かと私に教えてくれていたのに、いつのまにか話しかけないと口を利いてくれず、ミーティングで話す時も顔をそらされてしまうような状態に陥ってしまいました 。
彼に対しては特に、「気持ちの8割」を意識していたのですが、それでも気負ってしまうため、彼とのコミュニケーションには自分のなかでルールをつくることが必要でした。たとえば、仕事については「やり方はお任せし、結果のみに口を出す」、話す内容は「締め切りと数値目標という客観的なものに絞る」。数字という客観的事実に基づけば、叱る(怖くなる)必要はありません。数字が芳しくない場合は「データを見ると、今月の数値目標厳しそうですね。どうしましょうか?」と聞く。事実を淡々と伝えるだけで、明確かつ十分にポイントを指摘できるので、最初は硬い表情をしていた彼も、少しずつ話を聞いてくれるようになったのです。
このように、自分の中にある「気負い」と向き合いながら、気持ち8割のコミュニケーションを心がけるうちに、部下にとっては「話しやすい」上司として映ったのか、少しずつ、部下とのコミュニケーション量が増えていきました。
毎日の仕事をまじめにがんばっている女性こそ、ぜひ一度、ご自分と向き合い、「8割くらいでちょうどいい(それが相手にとっては10割)」に挑戦してみていただければと思います。
(転載終了) ※ ※ ※
結局のところ、気持ちに余裕があるかどうか、なのだろう。
もちろん私も曲がりなりにも四半世紀以上働いてきて、しかも最近では治療・日常生活との両立のために、ある程度余力を残しつつ・・・という仕事との向き合い方だから、「気持ちに余裕が・・」などという悠長なことが言えるのだ、ということは重々承知の上だ。
もちろん若い時は一杯一杯だったし、貧乏性で真面目(?)だったから怖い顔をして人に厳しく(?)仕事をしていたのだろうなあ、と今更のように思う。女だからなめられるとか、負けてはいけないとか、男性以上にしっかりしなくてはとか、という、男性だから、女性だから、ということについては、これまでの職場環境に恵まれていたのか、こちらからは不思議なほど意識したことはなかった。そしてある程度歳を重ねてきてみれば、今は、男性であれ女性であれ、一歩引いて深呼吸してから・・・これこそ一番の仕事との接し方だと思う。それは仕事だけでなく、生きて行く上で、人とのコミュニケーションの上で、何事にも通じる処世術のような気がする。
ピンチの時こそ、肩の力を抜いて、にっこり笑って深呼吸。もちろんブレない気持ちはしっかりと持ちつつ、駄目なものは駄目、と優しく言えるしなやかさが欲しい、と切に思う。
いよいよ関東地方も梅雨入り。猛烈な台風も近づいているという。せっかくの休薬週の週末、アクティブに過ごしたいものだが、頭痛にも胸痛にも悩まされませんように・・・。
※ ※ ※ (転載開始)
「怖い女」上司にならないための会話術 (2011.05.27)
・・・・今回は、中でもコミュニケーションに絞って、女性が陥りやすい課題やその解決策を考えていきたいと思います。
真面目さ、熱心さが「怖いヒト」への落とし穴
女性がビジネス社会のルールの中で、そこに溶け込みながら仕事をしようとすると、時に「男性社会」であることを意識しすぎて、「怖い人」になってしまうことがあります。
私のかつての職場にもいました。彼女は人一倍仕事熱心でした。しかし、まじめさゆえに、「負けてはいけない」「女性だからと、なめられたくない」という気持ちが裏目に出てしまったのでしょう。表情が硬く、背中から話しかけにくいオーラがにじみ出ているのです。あなたの周りにも、そんな人がいませんか? いったん打ち解けると、親切に相談にも乗ってくれるし、困ったときは親身になって助けてくれる人なのに、です。
皆さんは「メラビアンの法則」をご存じでしょうか。人間はコミュニケーションにおいて相手が発する言葉そのものだけではなく、声の調子や態度などから多くの情報を得ているということを証明したものです。誰かに話しかけたときに、「どうしたんですか?」と優しい態度で言われるのと、無愛想な態度で言われるのとでは、同じ言葉でも受ける印象が全く異なります。つまり、「負けない」「なめられたくない」と思う気持ちは、言葉としてそれを発していなくても、態度となって相手に伝わっているおそれがあるということです。私たちは、「何を」伝えるかと同じくらい「どう」伝えるかということも意識した方が良いようです。
「気持ち8割」のコミュニケーションを
私自身も、後から入社した同僚に「最初はすごく話しかけづらかった」と言われたことがあります。当時はまだ管理職ではなかったものの、「あ、意外と見られてるんだ」「自分の態度って伝わっちゃうものなんだ」と知りました。甘くみられたくはありませんが、それでコミュニケーション不全に陥り、業務に支障が出たら意味がありません。この時の気づきが、マネジャーになった時の原体験となりました。
若い部下に遅刻の常習犯がいました。ある日、クライアントとの商談が長引いたからと、私との1対1のミーティングに事前連絡もなく遅れてきたのです。「上司との打ち合わせに連絡もなく遅刻するなんてあり得えない」。私は厳しく注意したい気持ちでした。しかし、ただ叱りつけては、萎縮させたり、お小言だと思われてしまう可能性もあります。
そこで私は、意識的に肩の力を抜き、自分の気持ちを8割程度に抑え、「怖く」ではなく「残念」そうに伝えたのです。「あなたが忙しいのはよく知っている。でも、お互い調整して、やっとこの時間を作りだしたんだよね。なのに、私たちはその貴重な1時間を10分もロスしてしまったね」。叱られるとばかり思っていたその部下は、私の態度に驚いたようでした。そしてその後は、遅れるときは連絡を入れてくれるようになり、自分から話しかけてきてくれるようにもなりました。
またある時期、私には自分より社歴も業界経験も長い、年上の男性部下がいたのですが、「女で年下だからとなめられてはいけない」と、どうしても肩に力が入りがちで、何かと細かな管理をしてしまいました。そのため、最初は業界動向など何かと私に教えてくれていたのに、いつのまにか話しかけないと口を利いてくれず、ミーティングで話す時も顔をそらされてしまうような状態に陥ってしまいました 。
彼に対しては特に、「気持ちの8割」を意識していたのですが、それでも気負ってしまうため、彼とのコミュニケーションには自分のなかでルールをつくることが必要でした。たとえば、仕事については「やり方はお任せし、結果のみに口を出す」、話す内容は「締め切りと数値目標という客観的なものに絞る」。数字という客観的事実に基づけば、叱る(怖くなる)必要はありません。数字が芳しくない場合は「データを見ると、今月の数値目標厳しそうですね。どうしましょうか?」と聞く。事実を淡々と伝えるだけで、明確かつ十分にポイントを指摘できるので、最初は硬い表情をしていた彼も、少しずつ話を聞いてくれるようになったのです。
このように、自分の中にある「気負い」と向き合いながら、気持ち8割のコミュニケーションを心がけるうちに、部下にとっては「話しやすい」上司として映ったのか、少しずつ、部下とのコミュニケーション量が増えていきました。
毎日の仕事をまじめにがんばっている女性こそ、ぜひ一度、ご自分と向き合い、「8割くらいでちょうどいい(それが相手にとっては10割)」に挑戦してみていただければと思います。
(転載終了) ※ ※ ※
結局のところ、気持ちに余裕があるかどうか、なのだろう。
もちろん私も曲がりなりにも四半世紀以上働いてきて、しかも最近では治療・日常生活との両立のために、ある程度余力を残しつつ・・・という仕事との向き合い方だから、「気持ちに余裕が・・」などという悠長なことが言えるのだ、ということは重々承知の上だ。
もちろん若い時は一杯一杯だったし、貧乏性で真面目(?)だったから怖い顔をして人に厳しく(?)仕事をしていたのだろうなあ、と今更のように思う。女だからなめられるとか、負けてはいけないとか、男性以上にしっかりしなくてはとか、という、男性だから、女性だから、ということについては、これまでの職場環境に恵まれていたのか、こちらからは不思議なほど意識したことはなかった。そしてある程度歳を重ねてきてみれば、今は、男性であれ女性であれ、一歩引いて深呼吸してから・・・これこそ一番の仕事との接し方だと思う。それは仕事だけでなく、生きて行く上で、人とのコミュニケーションの上で、何事にも通じる処世術のような気がする。
ピンチの時こそ、肩の力を抜いて、にっこり笑って深呼吸。もちろんブレない気持ちはしっかりと持ちつつ、駄目なものは駄目、と優しく言えるしなやかさが欲しい、と切に思う。
いよいよ関東地方も梅雨入り。猛烈な台風も近づいているという。せっかくの休薬週の週末、アクティブに過ごしたいものだが、頭痛にも胸痛にも悩まされませんように・・・。