ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2011.5.4 人生の棚卸し

2011-05-04 21:58:04 | 読書

 今日は2冊読んだ。
 どちらも“人生の棚卸し”という言葉が共通して目に留まった。

 1冊目は、聖路加国際病院精神腫瘍科医長である保坂隆さんの「人生の整理術 老いをスッキリ愉しむ秘訣」(朝日新書)。
 帯には「衣食住、人間関係、遊び方、お金の使い方・・・・・モノ・コト・ヒトをサイズダウンする!本当に大切なことだけにエネルギーと時間を注ごう」とある。
 50歳前というのは、人生を整理するにはまだ早い年齢かもしれないけれど、とにかく生身であり、しかも闘病中という身を思えば、そうそう先延ばしにすることも出来ないというのが正直なところ。

 幸せな老後・・・ではないかもしれないけれど、幸せな晩年を送るために今の生活を続けていて本当に良いのだろうか、という一抹の不安があったので手に取った。
 衣食住のサイズダウン、人間関係のスッキリ整理術、愉しみも「中くらい」がちょうど良い加減、お金や資産の上手な使い方、人生の終章はスッキリと機嫌よく という5章立て。
 身辺整理=いらなくなったものをきちんと処分できるか、家の中はスッキリ片付いているか=は、心の状態を映し出すもの、というのは実に的を得た言葉だと思う。
 「生活の乱れは心の乱れ」、気持ちの整理の下手な人はモノの整理も下手、さもありなん・・・で返す言葉がない。仕事の書類は大胆に処分できるのに、こと自宅のもの、となるとなかなか思い切って捨てられない。「ものを手放すこと、捨てることは、それまでの自分の生き方を見直し、本当に必要なもの、大事なものだけを見極める、生き方の“棚卸し”といえる。これから後は、本当に必要なものを中心に、スッキリ無駄のない暮らしに切り替えようと決意することは想像以上に大きな意味をもっている。『これからは本当に自分らしい生き方を、好きなようにやっていこう』という決意を自分に刷り込むことだといってもよいくらいだ。」に共感した。もちろん頭ではわかってはいてもなかなか実行できないのが何とも情けないところだが・・・。 

 2冊目は本田健さんの書き下ろし「40代にしておきたい17のこと」(だいわ文庫)。
 ご存じのとおり「10代、20代、30代にしておきたい17のこと」の“17シリーズ”4作目、先月末に出版された最新作である。50歳目前にして40代にしておきたい・・・というのはちょっとずうずうしく無理があるかもしれないけれど、するすると抵抗なく読めてなんだかほっとする1冊だった。

 帯には「40代は、後半の人生のフレッシュ・スタート! 明日は、きっと、よくなる!10年後の人生を決めるのは,いまの自分」とあった。
1 できること、できないことを見分ける 2 自分史を書いてみる 3 60代、70代のメンターに教えを請う 4 先立つ後悔をいましておく 5健康と時間を資産だと考える 6お金とどうつき合うかを決める 7 ノーと言う勇気をもつ 8 世界に自分が何を残せるかを考える 9 自分のサンクチュアリをもつ 10 家族とつながる最後の10年を大切にする 11 パートナーシップと向き合う 12 新しいことに挑戦する 13 現在の人生の中にある祝福を数える 14 手が届く夢をかなえる 15 絶対にあきらめない 16 正しいことよりも楽しいことを選択する 17 人生の意味を見出す の17のこと。そして“おわりに”では、人生の目的は、ただ楽しむこと、とあった。

 私の40代は期せずして7割が病とともにあった。そして、期せずしていつの間にか結果的に自分なりに人生の棚卸しをしてきているように思う。
 こうしてブログを書いていることも、患者会の先輩たちとの出会いも、旧友たちとの再会も、日々家族との時間を大切にすることも、あきらめずに治療を続けることも、結果的に病を得てからの方がより密度濃く人生を楽しむことが出来ているかもしれない。自己満足かもしれないけれど、悪くない人生だな、と素直に思えることを何より幸せに思う。

 今日は文字通り風薫る5月の少し汗ばむような陽気だった。
 本当にお天気に左右されているな・・・と思うが、昨日の頭痛は無事収まり、今日は朝ヨガにも出かけられた。しっかり汗を流し、買い出しをして、洗濯をして、本を読み、散歩もして充実した1日を送ることが出来て、満足だ。

 人生の棚卸し、断捨離にはいまだ程遠い生活ではあるけれど、人生を楽しむことはずっとあきらめずにネバーギブアップで毎日を送りたい、と思わせてくれた2冊だった。
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