ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2012.3.29 「与える」と「届ける」

2012-03-29 22:10:04 | 日記
 先日のセンバツ高校野球の宣誓、石巻工業高校主将の言葉に感銘を受けた方は多いだろう。くじで宣誓役を引き当てた、と聞いた時に、やはり「神様はいるのだ」という思いを強くした。

 仕事中だったのでライブで聞くことは出来なかったが、ニュースで繰り返された画像に思わず息を止めて聞き入ってしまった。メンバーで出し合った言葉をホワイトボードに書きこみ、ピックアップしながら考え抜いて作り上げた宣誓だったと聞いた。
 あの大舞台で、一言もとちることなく、まさに淀みなく、落ち着き払って、かつ若者らしく爽やかに。心が揺さぶられる言葉たちに舌を巻いた。
 すぐに、この子は去年、息子より僅か1つ上の年齢で被災し、その後の1年を生きているのだ、と思った。どれだけ過酷な経験をしてきたのか、と胸が痛む。
 そのことについて、息子にふると「凄いね、というのはいいけど、だからといって同じ体験をしているわけでもないし、すぐに僕と比べるのはやめてくれない?」と言われてしまうのだが・・・。

 この言葉について、読売新聞のコラムで取り上げられていたのに目が止まった。1週間ほど経ってしまったが、以下、転載させて頂く。

※  ※  ※(転載開始)

3月22日 よみうり寸評

 〈日本中に届けます。感動、勇気、そして笑顔を。見せましょう。日本の底力、絆を〉と石巻工・阿部翔人主将が力強く宣誓した◆〈球春〉とはよく言ったものだ。この選手宣誓が一気に春を連れてきたように思えた。今年、関東では春一番も吹かぬまま春分を迎え、春が遠かったのに◆〈センバツ〉が甲子園で開幕した21日、全国に先駆けて高知でサクラが開花した。これからセンバツの日程が進むに従ってサクラ前線も北上してゆく。〈みちのくの山河慟哭初桜〉。長谷川櫂さんの震災句集の一句だ◆東日本大震災から2度目のセンバツに被災地のチームの主将が選手宣誓のくじを引き当てたのもよかった。感動、勇気、笑顔を「日本中に届けます」がいい◆「与える」と言いがちなところ。上から目線のその言葉が無意識にだろうが、よく使われる。これには抵抗がある。「与える」でなく「届けます」がうれしい◆被災者の思いを汲み、ナインの思いを集め、今、野球ができることへの感謝を込めた宣誓で、春が来た。(2012年3月22日13時47分 読売新聞)

(転載終了)※  ※  ※

 確かに、最近色々な方からの、元気を「与える」とか勇気を「与える」という言葉を耳にすることが多い。でも、「与える」は、やはり上から下へ、の感じがする。だからこそ「届ける」は、相応しく素晴らしい言葉だと思う。

 たった一言ではあるが、その言葉の持つ意味を思うと、言葉を正確に使うということに対して敬意を払うとともに、慎重にならざるを得ない。日々ブログを書きつつも、自戒の念で一杯になる。読んでくださる方が不愉快に思わないように、傷つけないように・・・と同時に、自分の書きたいことはきちんと書く。ほとほと難しいことなのだけれど。

 体調だが、昨夜も12時過ぎまで寝付けず、今朝は4時半前に早朝覚醒。そのままベッドで時計を見ながらぐずぐず。6時半に旅行中の夫にモーニングコール。朝食は最低限で済ませ、イメンド80㎎、デカドロン3錠、ロキソニン、ゾメタの計6錠。水分をとるのも鬱陶しい感じで、6錠を飲み下すのは結構大変だ。少し火照りもあるが、昼も食前はナウゼリンを飲み、食後ロキソニンとマグラックスを飲むため、ということでごく少量にとどめた。2人がいると気持ち悪くとも食欲がなくとも夕飯も作るし、食べないといろいろ言われるので、ついついそこそこの量お腹に詰め込むことになるが、一人ならマイペース。無理して食べない方がやはり調子が良い。これは便秘も助長しているのかもしれないが・・・。

 今日の2人の動静。朝、金沢を発ち、七尾へ。さらに「のと鉄道」で穴水へ。サイクリングを楽しんだ後に、駅弁をゲットしてから和倉温泉へ。共同浴場・総湯に入り、夕方「はくたか号」で金沢に戻る。金沢では夕方になるが、ここでもサイクリングで街中を走りまわる、というスケジュール。お天気が良く海が綺麗だそうだ。明日は金沢を発ち、宿泊地富山に向かうという。

 今日は勤務終了後、職場事務室の送別会開催。投与後翌日で体調不調により失礼承知で欠席させて頂いたが、今月末で退職される方たちには、お世話になった御礼に心ばかりのお菓子をお渡しした。一期一会、またいつかどこかでお世話になるかもしれない。

 さて、本当に急に暖かくなった。桜の蕾の色がまた変わり、先端はピンクに見える。
 朝の澄み切った青空の下、白木蓮の花がようやく白い花びらを見せてくれた。花開く前のすっくとしたこの形が、潔くてとても好きだ。姿勢を伸ばして歩きたくなる。
 春、植物の躍動を感じて、自分もまさしく生きている物なのだ、と感じる瞬間だ。
コメント (2)
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