ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2012.7.7 「言語力」で頭を絞る

2012-07-07 20:56:19 | 日記
 先日、研修課題の中で気になったものがあったので、参加してきた。
 実践力向上研修「言語力」というもの。「情報化や国際化の進展を踏まえ、情報を読み解き、異なる文化・価値観を持つ相手とも対話による問題解決を行うため、組織の中核を担い、部下の育成も行う職層を対象にコミュニケーション力に主眼を置いた「言語力」の向上を目指す。」ことが目的。参加してみると、400名以上が参加する大規模なものであった。

 冒頭、ここでの「言語力」とは、ことばそのものを鍛えるためのものではなく、現代社会において社会関係資本(=social capital,人間関係)を維持する言語と思考の技術、と定義された。
 講師は日本教育大学院大学客員教授、OECD・PISA読解力専門委員北川達夫さん。大学卒業後、外務省に入省しフィンランドの日本大使館に勤務。帰国後退官して、現在は国際的な教材作家として日本とフィンランドを始め、旧中・東欧圏の教科書・教材制作に携わっておられる。

 21世紀のキーワードは「多様性」を活用して「共生」すること。よってその日の研修のめあては①多様性マネジメント、②「メンタル・ソフトウェア」としての言語力(思考技術+言語技術)、③多様性を統合する問題解決手法だ。
 文化には、いわゆる日本文化のような洗練された伝統文化と、メンタル・ソフトウェアとしての文化がある、とはオランダの文化人類学者Hofstedeの弁。
 今回、この「メンタル・ソフトウェア」が講義を通して興味深いキーワードになった。分かり易く言えば、どんなに装ってみても言葉の端々に表れてしまう考え方の癖等、その人を支配している傾向を指す。具体的にはある事例に対してどんな意見を言うかでわかる。例えば「週3回遅刻すること」を「だらしない」と言うか、「大物だ」と言うか、「疲れているのではないか」と言うか。大事なことは「なぜそう思うか」ということ。その人がそう思う根拠(なぜそう思うか)を聞くことだけで、「なるほど」と思うことが出来るならば、その人とのメンタル・ソフトウエアは近いと考えられる。

 前半は抽象的な話題も多く、大人数相手に講演としてではなく事例研究方式にするのは、とてもやりにくいだろうな、と感じた。そんな中で日本人の文化的特性(不確実性の回避傾向がきわめて強く、やや集団主義的で、権威主義傾向がきわめて強い)を欧米、アジア諸国と比較しながら、米国の大会社のトリレンマの事例を考えた。
 休憩後、後半は「飼い猫を日本に連れて帰る」と言った講師と「動物虐待だ、安楽死させよ」と言ったフィンランド人の友人との話が例に出された。結論が決まっている時の相容れない主張-両立も妥協も不可能な時―の発想の再構築にあたり、望ましいマネジメントとして「許せない違い」は保留にすることが挙げられた。いずれにせよ、「なぜ?」を問うことを辞めてはいけないのだ、と思う。

 まとめとしては、明日からでも出来ることとして①よく聴く、②よく訊く、③衝突しても戦わない、の3つが挙げられた。今、望ましい上司は「話を聴いてくれる人」であり、望ましいチームメンバーは「自己主張する人」だという。主張が衝突することなしに新しい発想は生まれないし、多様な主張を再構築できなければ統合出来ないから、聴くことなしにはまとめられないという関係だ。
 コミュニケーションのポイントは「どう話すか、説得するか」ではなく「どう聴くか」である。どんな相手も絶対に聴いてくれるという保証付きの話し方などはない。だからこそ、まず自分がよく聴く-その発想を受け入れられなくとも、なぜそうなのかと理解できるよう納得できるまで「訊く」-ことが必要であり、よく「聴いた」上で話せば結果的に「聴いてもらえる」可能性が上がる、と。つまり話を「聴く」ということは、ただ「耳を傾ける」だけではなく、「よく質問する」ということも含まれるのだ、と理解した。

 これまで、話し上手より聞き上手になりたいと思っていたが、ただ傾聴するだけではダメなのだな、と反省。
 何の気なしに日々やっている筈の様々な発想や主張の、再構築等のプロセスをこんな形でシステマティックに話してもらうと、なるほど頭が整理されるなと思いつつも、3時間半、大人数の会場で近くに知人もいない緊張状態の中で頭をフル回転させたことで、かなり消耗しながら家路についた。やはりたまにはOff-JTの脳トレが必要だ。

 今日は七夕。あいにくの雨で、今年も残念ながら年に一度の逢瀬は叶わなかった模様。
 朝一番の美脚ヨガに参加して気持ちの良い汗を流した。午後からは3人で美容院へ。夏らしくさっぱりカットして帰ってきた。先月末、「8月からまた脱毛する治療が始まるので、今回で当分お休みになるかもしれない。」と美容院の担当さんに話したところ、「ようやく良い髪質になって来たのに・・・」と残念がられた話はこのブログでも書いた。
 フェアストンを服用し始めて1か月ちょっと経過して、8月からアンスラサイクリン系を開始するかどうか微妙なところだ。とりあえず来月も3人一緒に予約をしてきた。
 こんなふうに、週末も調子が良くてあれもこれもと動き回れると、ついつい患者であることを忘れ、本当にまた治療を始めるのかしら、と思ってしまう脳天気な私である。
コメント (2)
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