ロッキングチェアに揺られて

再発乳がんとともに、心穏やかに潔く、精一杯生きる

2016.1.8 いつ、どの薬を、どの順番で使うか-私にとっての戦略

2016-01-08 22:02:42 | 日記
 読売新聞の医療面を見ていて、興味深い記事があった。長文だが、以下転載させて頂く。

※   ※   ※(転載開始)

最新医療 ~夕刊からだ面より
肺がんの最新戦略的治療…薬の種別・使用順 重要に

 進行した肺がんは手術が難しく、転移しやすいため、薬物療法が中心だ。従来型の抗がん剤や分子標的薬に加え、新たに免疫治療薬も使えるようになり、選択肢が広がっている。その中で、いつ、どの薬を、どの順番で使うのかを戦略的に決めることが、重要性を増している。

                    ◇

 肺がんは国内で最も死亡数の多いがんで、毎年約13万人が発病、約7万人が亡くなる。自覚症状が少なく、進行して見つかるケースも多い。肺がんは組織の違いで分類される。最も多いのが「非小細胞がん」(約85%で、「腺がん」が全体の約60%を占める。
 腺がんでは、がんの原因となる遺伝子の異常が次々と見つかり、それぞれの遺伝子変異に応じた薬剤を選ぶ「個別化医療」が進歩した。変異が特定できた場合、がんの増殖をピンポイントで抑える「分子標的薬」を最初に使うのが主流だ。薬を使い始める患者を対象とした臨床試験で、従来型の抗がん剤よりも生存期間を延長でき、副作用が少なかったからだ。
 最も頻度が高い変異が「EGFR」で、3種類の分子標的薬が承認されている。まず、「ゲフィチニブ」(商品名・イレッサ)で治療するのが一般的だ。「エルロチニブ」(同・タルセバ)、「アファチニブ」(同・ジオトリフ)での再治療も可能だ。「ALK」という変異では、2種類の分子標的薬がある。「クリゾチニブ」(同・ザーコリ)が第1選択肢となる。2014年、「アレクチニブ」(同・アレセンサ)が加わった。
 分子標的薬では、薬が効かなくなる「薬剤耐性」が問題となっているが、それを克服する次世代薬の開発も進められている。一つの分子標的薬が効かなくなった場合、他の分子標的薬に切り替えても劇的な効果が期待できないことがある。そのため、従来型の抗がん剤をはさみ、副作用管理をしながら薬を使いこなし、生存延長を目指す。
 こうした中、先月、非小細胞がんの薬として免疫治療薬「ニボルマブ」(商品名・オプジーボ)が承認された。既に皮膚がんの治療薬として14年に認められていたが、肺がんでの使用も認められた。がんを攻撃する免疫機能を引き出す新しいタイプの薬で、遺伝子変異の有無を問わず、すべての非小細胞がんが対象だ。変異がなく、分子標的薬が使えない患者は、従来型の抗がん剤の後、2次治療として使われることになりそうだ。
 がん研有明病院(東京)呼吸器内科部長の西尾誠人さんによると、同病院では、進行肺がん患者の5年生存率は、01年からの5年間は数%程度だったが、分子標的薬登場後の06年からの5年間は10~20%までに延びたという。ある薬の効き目が切れても、使っている間に、新薬が登場するなど、近年、新薬開発のスピードが上がっている。
 西尾さんは、効き目が切れることを常に念頭に置き、その後、どの薬をどういう順番でつないでいくかが、これまで以上に重要になると指摘。「免疫治療薬のほか、進歩した分子標的薬も加われば、生存期間の延長も望める。肺がんでも、がんと共存していく時代が来るだろう」と期待している。(佐々木栄)(2016年1月7日 読売新聞)

(転載終了)※   ※   ※
   
 直接乳がんに関わる話ではないけれど、肺がん治療もここ数年の分子標的薬の飛躍的な進歩により、患者さんの延命が目覚ましいという話はよく耳にする。
 実際、ステージ4で見つかり、手術は出来ないという診断を受けながらも、遺伝子検査の結果、分子標的薬が劇的に効いて元気に日常生活を送っている方という方も存じ上げている。けれど、長く続けていると薬剤耐性が付くのも哀しいかな、事実のようだ。

 分子標的治療薬といえば、私はハーセプチンにかれこれ7年以上お世話になっている。投与回数でいえば170数回。この薬は、耐性がつきながらも、一度間をおいて別の薬を挟んだ後に再開することで再び効き目を表すということも事実らしい。
 主治医の言葉を借りれば「劇的には効かなくなっても、間違いなくつっかえ棒にはなっている」ということである。

 と、ここで今回の自分の状況に引き寄せて考えてみると、ハーセプチン、タイケルブと使い、それぞれに耐性が付き始め、昨年から期待の新薬・カドサイラ(T-DM1)に望みを繋いできた。そして11月末のCT結果により、そろそろ耐性が付いてきている感は否めなかった。次は分子標的治療薬として唯一残っているパージェタだ、とばかり思っていた私。
 けれど、主治医は別の抗がん剤であるジェムザールかハラヴェンを提示された。

 上記の文章にもあるように、一つの分子標的薬が効かなくなった場合、他の分子標的薬に切り替えても劇的な効果が期待できないことがあるという。その際、従来型の抗がん剤をはさみ、副作用管理をしながら薬を使いこなし、生存延長を目指す、とある。今、私はこの段階なのだろうと理解する。

 そして粘っていれば、ある薬の効き目が切れて別の薬を使っている間にも、新薬の研究開発は進み、新薬が登場する。それも大きな希望だ(もちろんその開発費が多額でどれだけの負担になるか、ということは、今はとりあえず置いておく。)。
 そう、この病と出来るだけ長く共存するためには、ある薬の効き目が切れることを常に念頭に置くこと。と同時に、その後、どの薬をどういう順番で繋いでいくか、どう戦略を立てていくかが、ますます重要になっていくのだ、と改めて思う。

 ここで、ふと納得する。
 抗がん剤はもう勘弁・・・と思っていたけれど、うまく副作用管理をしながら、残る分子標的薬をここぞという段階で使う、それこそが今の私にとって主治医が考えてくれたベストの戦略なのだと。

 というわけで、ヘタレな私だが、逃げてばかりいないで、必要ならば来月からでも2つの薬のうちのどちらかを使って、命を繋いでいこう-そう静かに決意する夜である。
 まずは来週の通院日、しっかり治療が出来ることを祈って。


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