昨夜は早々に入浴し、そのままバタンキュー。アラームをかけた時間までしっかり眠ればほぼ8時間睡眠になる計算だ。明け方、夫が起きた気配でこちらもつられそうになったが、しつこく眠る。昨日は便秘気味だったが、アラームが鳴る少し前に目が覚めて無事開通。
ベッドで少しぐずぐずしていたら、母から少し前にMeet通話の着信があったのに気づく。昨日何度かトライしたが、全く繋がらなかったので、LINEで写真を送っていた。日本時間は午後1時だ。何かあったのか、具合でも悪いのかと慌ててバンダナ帽子を被り、パジャマ姿、すっぴん状態で掛けなおす。
画像は繋がったが、音が聞こえない。こちらの声も聞こえていない様子で、何やら難しい顔をして虫眼鏡でこちらを見ている。うーん、一度切って掛けなおしたら無事繋がり、声が聞こえた。
こちらは朝起き抜けでカツラも被っていないから別人が出たと思ったのか。かくかくしかじか、これから出かけるため、忙しいので長通話はできないと伝え、お互い無事であることを確認する。
昨日はWさんサロンに出かけていたとのこと。今日は雨なので一日家にいるという。7時間の時差で観光時間等に縛られていると、なかなかうまい具合に連絡が出来ない。
今朝の予定は、モーニングコールが6時15分、朝食レストランは6時半オープン。7時55分集合で8時出発だ。思いもよらない母からの連絡で朝の貴重な時間を費やしてしまう羽目に。急いで身支度をして階下のレストランに降りる。
レストランでは同じグループの方たちがそこかしこで既に食事を始めている。暖かいお料理が充実していた。今日も2種類のミニクロワッサンを美味しく頂く。ジュースはパイナップルがポピュラーのようだ。カプチーノもカフェ・ラッテもなく、久しぶりに紅茶を頂く。
部屋に戻り、態勢を整えて、ロビーに降りる。今日は終日ミニバスで巡る市内観光、ヴァチカン市国観光とアッピア街道観光という充実のスケジュールだ。
ヴァチカン美術館入場の予約が8時半からだ。大きなバスでの移動では、一旦降りたら歩くばかりになってしまうため、小回りが利く6人乗りのミニバンでポイントポイントまで行って、なるべく歩かないですみますよ、という高齢者(及び病弱者)に優しいツアーである。
今日のガイドはTさん。ちょっと日本人離れした風貌の女性だ。2台に分乗し、私達は添乗員TさんとTさんご夫妻と2号車に乗る。Wさんご夫妻は美術館チケット予約時間の関係で先に出発されたとのこと。
今日のお天気は曇り。午後少し晴れ間が出るようだ。前半の雨に祟られた旅も終わりよければ全てよし、である。車窓から見るローマ市内は街中が遺跡の宝庫だ。サンタンジェロ城、コロッセオ、フォロ・ロマーノ等を間近に眺める。
来年2025年は巡礼の年で、それに合わせて地下鉄C線の工事中とのこと、あちこちに工事の幕が張られ、建物の外観を残念なものにしている。掘り返せばどこも遺跡なので、地下86m迄掘り進めるらしい。地元の人たちは来年出来上がるわけもなく、地元では完成は10年後になるだろうと話しているとか。
32年ぶりのローマ、その時は夫と全くのフリーで訪れ、イタリア語も全く話せないくせに大胆にバスに乗ったり、地下鉄に乗ったりとあれこれ冒険をした。若かったなあと思う。
最初に訪れたのは40年前の卒業旅行だから今回のローマは3度目の訪問。夫も仕事の視察で訪れたことがあるので、お互い3度目の正直?になる。
ヴァチカン美術館には、名前入りの入場券を持って、パスポートチェックを受け、その後セキュリティチェックをして初めて入館することが出来る。実に厳重である。礼拝堂内部ではガイドさんがお話し出来ないため、松ぼっくりのオブジェのある宮殿の庭園で、予めシスティーナ礼拝堂の絵画の説明を受ける。
システィーナ礼拝堂は初回訪問時に観ることが出来たが、美術館を鑑賞するのは初めて。歴代法皇による世界有数のコレクション、1時間で見るなんて無謀以外の何物でもない。ここまでミラノやフィレンツェで聴いたお話を思い出しながら、復習のように繋がる部分もあり、とても楽しめた。
宮殿の一番奥の礼拝堂では「最後の審判」を首が痛くなるほど眺めることが叶った。描くのがどれほど大変だったことか。ミケランジェロが60歳を過ぎてからの着手というから、本当に恐れ入る。ミラノのドゥオモで見た、自分自身の皮をかついだパルトロメオの像が、ここではその皮の顔がミケランジェロの自画像であると聞き、驚く。ここにはミケランジェロの建築、絵画、彫刻の最後の作品が全て揃っている。
今日は水曜日で法皇様の謁見があるため、サンピエトロ広場では人々が長い長い列を作っている。そのため、私たちは午前に美術館を鑑賞し、午後サン・ピエトロ大聖堂を見学するという。
Wさんご夫妻も合流し、2号車も6人が揃い、アッピア街道へ向かう。32年前、夫とバスの行先もよくわからずに乗って着いた先がここだった。ここは何処、私は誰、状態でウロウロし、カタコンベを見て、持っていた羊羹を食べながら戻ってきたという苦笑する思い出がある。
カラカラ浴場を車窓から眺め、石畳の細い道をガタンゴトン揺られながらバンは走る。気圧のせいか朝からなんとなく頭痛だ。ロキソニンは日に3度欠かさず飲んでいるので、旅行中殆ど痛みを感じずにすんでいたのだけれど、さすがに疲れてきたか。
大きな車は入れないので、乗用車かバン、マウンテンバイクの観光客だけである。延々と続くかに見える石畳でしっかり写真撮影を済ませる。“女王の道”と呼ばれるアッピア旧街道は道の両脇に多くの墓、祠、廃墟が続き、古代の面影を残している。
ネロの迫害を逃れ、街を逃げ出したペテロがこの地でキリストに出会い、「主よ、どこへ行きたもう(ドミネ・クオ・ヴァディス)」と問うたという名前の教会を見ながら再び街へ戻る。
コロッセオではグループの写真撮影。買っても買わなくても構わないので、皆さん映ってくださいね、と言われ全員集合。ここでは外観だけの観光で、写真撮影を終え、続いてローマ必見のスポット、トレビの泉へ向かう。ここも3度目だ。ちょうど日差しが差してきて、青空が広がり、キラキラと反射する水がとても美しい。
コインを投げておくと本当に戻ってこられるのね、という感じ。それにしてもとんでもない人の数だ。近くにとても寄れない。スリに気を付けてくださいね、と言われ、車中で投げ入れるコインを用意してバッグの前をしっかと抑えて向かう。
インド人の親子の次に泉脇のスペースを開けてもらって、いざ、肩越しにコインを投げる。夫が動画を撮ってくれていた。私も夫の写真をパチリ。また戻ってくることが出来るだろうか。
午前中の最後の立ち寄りポイントはスペイン広場。映画「ローマの休日」であまりにも有名なスポットだ。ここまで徒歩で向かう。今では階段に座るのは禁止とのことだが、結構我が物顔で陣取っている人たちの姿も。皆で写真撮影を終えて、ヴェネツィア広場を車窓から見ながらランチを摂るレストランへ向かう。
今日のランチは選べるピッツァ。夫はカプリチョーザ、私はマルゲリータをチョイス。ミックスサラダを頂いていると、運ばれてきたものはお皿からははみ出しそうな大きさ。どう見ても優に2人分である。頑張って4分の1ずつ頂き、2人で1枚分頂いたらギブアップ。チーズもトマトも美味しいけれど、やはり多ければよいというものでもない、と呟く。
食後はパイナップルかババ(サバラン)を選べたので、これも1つずつお願いして夫とシェア。どこのご夫婦もそんな取り方をされていた。お手洗いを済ませ、午後はサン・ピエトロ大聖堂へ向かう。
ガイドさんからサン・ピエトロ大聖堂ではどのくらい待つか、行ってみないと分からないと言われていたが、長蛇の列には違いない。ぱっと見、2時間半から3時間と聞き、ちょっと倒れそうになる。
全員が見なくて良いということなら、ここは止めて真実の口等に行くこともできます、と添乗員のTさんからお話がある。最高齢のWさん夫妻は何度も来たことがあるので、とタクシーでホテルに戻られ、お一人参加のKさんもご自身で別行動されるという。ということで残った9人の勇士は列に並んで入館することを決意。
列は全く止まっているわけでなく、ガイドさんの説明もあり、ゆっくり歩きながら待つこと1時間ほど。途中でセキュリティチェックが1つ開いたことで列はどんどん流れる。気づけば、私達の後には広場1周ほどの列が続いている。こんなに早く進むとは、と有難く思う。ガイドさん曰く、これはミラクルだ、と。やった。
以前訪れた時はセキュリティチェック等なく、すいっと入った記憶がある。訊けばあの9.11の後、テロ対策でセキュリティチェックが始まったという。最大4時間待ちということもあったようで、ここもいずれ入場がオンライン予約になるのでは、と思う。
やはり入れて良かった~と思う。1506年の着工から120年の時をかけて完成された荘厳なるカソリックの総本山である聖堂だ。入ってすぐ右側廊のミケランジェロのピエタ像。以前はガラス越しではなかった(夫は触れられたという。)が、心無い人に破壊された事件後、こういうことになったそうな。
バラバラになったマリア様の指と鼻を修復する作業は、それは大変だったという。その姿は本当に美しく、心が洗われるようだ。
中央にある、鍵を持つ聖ピエトロ(ペテロ)のブロンズ像の手は、訪れる信者に触れられ金色に輝いている。聖堂内で絵に見えるものは全てモザイクなので、フラッシュ撮影もOKなのだそう。屋上のクーポラに上るエレベーターの列は凄いことになっていたが、30分ほどの見学で十分満喫した。
これで本日の観光は全て終了。乗ってきたバンはその後予約が入っているとのことで、タクシー3台に分乗してホテルまで戻る。私と夫は最後の1台になってしまったが、最初から、支払いはカードは使えないとか、ガイドさんが払うと言うとその人が来るまで待ってはいられない、お前が払えとか言われながらの20分の乗車は、ずっとドキドキ。無事に添乗員のTさんが先着してくれていたので事なきを得た。2台目のタクシーの運転手さんは随分親切だったとか。
次の夕食集合時間まで3時間弱。綺麗になった部屋でお茶を淹れて一服し、休息。夫は眠っていたが、私は少し横になって眠れず、出発まで記事を書いて時間調整。
夕食は徒歩ですぐのレストラン。最後の晩餐ということで、ワインやジュースがツアーからプレゼントされた。今夜のメニューは、パスタがリガトーニのアマトリチャーナ、メインはサルティンボッカア・ラ・ロマーナ、デザートはパンナコッタ。紅茶を頂いて(なぜかポットの蓋がフィニッシュと言われた。)お腹一杯。
ホテルに戻り、夫は県人会のNさんとLINEの交換をして部屋に戻ってきた。
長いと思った9泊11日の旅、とりあえず体調を大きく崩すこともなく、無事に帰国出来そうでほっとしている。
明日はローマの空港へ直行し、パリ経由で羽田を目指す。