うちの向かいの家の雨どいにカラスが食べ物を蓄えていることには
以前から気づいていた。ときどきそうして蓄えてある食べ物を取り出して
食べたりもしている。そのカラスはよくペアで行動していて、
食べているカラスにもう1羽がねだっているのを見たこともある。
いやがっているようでもあったが、最後には分けてもらっていた。
今日、ふと外を見たら、斜め向かいの家の屋根にカラスがいた。
斜め向かいの家の屋根にいるのはめずらしいのでしばらく見ていたら、
探し物をするようすで雨どいの中をのぞきこみながら、
少しずつ屋根を移動していくのだ。
向かい側の並びの家は同時期に同じ施工業者によって建てられた建て売り住宅らしく
少しずつちがってはいるが基本的には屋根の形がよく似ている。
カラスは賢い鳥だと思っていたが、この個体はあまり利口ではなくて
食べ物を蓄えた場所を忘れてしまって探しているのだろうと思った。
カラスはだんだんと移動していき、斜め向かいの家から向かいの家に移り、
とうとういつも食べ物を隠している場所に到達した。
見つけた物をくわえたとき、ふいに別のカラスがやってきた。
さらにもう1羽、もっと戦闘的な個体もあらわれて、襲うように飛びかかると
最初のカラスがくわえていた白っぽい、けっこう大きな物体を取り返して
さっと飛び去っていった。
どうやら最初のカラスはいつもここを食べ物の隠し場所にしている個体ではなくて、
どろぼうカラスだったらしい。