少し前から気になっていた上記タイトルの本を読んでみた。
副題は『「自然死」のすすめ』。新聞広告に「死ぬのはがんに限る」とあって、
ふつうは癌と宣告されたらショックに違いないのに、癌を肯定的にとらえている
理由を知りたいと思ったのと、機械で無理やり延命する医療のあり方に
以前から疑問を感じていたから。
著者が断定的に述べていることには、強引すぎるところもあるが、
半分くらいは同意できる気がした。自分の立場になったら、回復の見込みが薄いのに
人工呼吸器で延命措置などしてほしくないし、鼻チューブや胃瘻で強制的に
栄養補給もしてほしくない。ところが、なにかの病気で病院にかかり、
だんだんにその病気が悪化していったとき、医師はそういうことをやりたがり、
拒否するのがかなりむずかしいらしい。というのも、事前にそういうことを
断る文書を残しておいても、わが国では今のところ法的効力がないからだ。
最近問題になっている孤独死にしても、わたしはそれほど悲惨だと思わない。
たとえば脳卒中や心臓麻痺で倒れたとして、家族がそばにいれば、
すぐに気づいて救急車を呼ぶだろう。その結果どうなるかというと、
なかには完全に回復するラッキーな人もいるが、たいていは後遺症が残り、
辛いリハビリを続け、それでも障害が残って、QOLは確実に低下する。
もっと悪いと、機械につながれたまま植物状態で生き続け、
家族に莫大な医療費を負担させることになる。
わたしなら、そういうことがないよう、手遅れになってから発見されたい。
ただし、家族がそばにいるとき、本人に頼まれたからといって救急車を
呼ばないでいると、保護責任者遺棄致死に問われることがあるので、
これまたむずかしいことになる。
ともあれ、これだけは娘たちに強調しておきたい。
わたしがひとりで死んでいたとしても、そばにいなくてごめんねと思う
必要はまったくないということ。リハビリなんてごめんだし、
半身不随になるのもお断り。寝たきりなんて最悪。
それで著者もゆっくり死ぬ準備ができる癌が一番と言っているのだけど、
わたしはコレステロールが高めで、コレステロールが高いと癌になりにくいので、
希望どおりにはちょっといかないかも。