ちょうど今、映画公開中のラングドン・シリーズの第4作。
なんとかネタバレしないように、紹介してみる。
『天使と悪魔』『ダ・ヴィンチ・コード』に続いて『インフェルノ』を
読んでしまってから、実は第3作の『ロスト・シンボル』があると知った。
で、今、『ロスト・シンボル』を読み始めたところだけど、まあ、
映画化の順番も原作通りじゃないから、かまわないだろう。
『ダ・ヴィンチ・コード』より、わたしは『天使と悪魔』の方が好きだった。
『インフェルノ』はその中間あたりかな。ちょっと変わった始まり方で
最初は教授同様、読んでいるこっちも何が何だかわからずに引きずり回される。
下巻になって、だんだん全貌が見えてくるのだけど、
敵だと思っていたら味方だったり、味方だと思っていたら敵だったり、
拘束されていると思ったら勘違いだったり、途中で真逆に立ち位置を変える連中がいたり……
と、読者を混乱させる手練手管。そうしたミスリードへ持って行く伏線の張り方が巧みで、
下巻を読みながら、上巻を読み直したこともたびたびだった。
ラングドン・シリーズの楽しみ方のひとつに、〝観光案内〟として楽しむというのがある。
シリーズのどれもがそんな楽しみ方ができるが、本作はとりわけそっちに向いている。
舞台となるベニスとイスタンブールについて、グーグルマップで教授らの足取りを追い、
画像検索で建物外観や壁画、展示品を調べる。くわしく描写されているとはいえ、
文字から想像するものと実物はやはり違い、百聞は一見にしかず、だ。
前3作は歴史にまつわるミステリーを解く色合いが濃かったが、
(『ロスト・シンボル』はまだ読み終えていないから断言できないけど)
『インフェルノ』は、むしろ近未来SFじゃないだろうか。
そして、人口問題へのこの荒療治は、全地球的には悪くないように思えた。
日本のような高齢化社会では、もちろん困った側面もあるだろうが、
わたし的にはこの結末は気に入った。
ダン・ブラウンはまだこのシリーズを書き続けるようだが、
そうなると、今回の結果を受けて変容していく社会(この世界とは別の
パラレルワールド)についても考察しなければならないだろう。
最後にひとつ疑問。今回、世界を救うために走り回った教授は、
けっきょく何をしたの?
今もってわからないんだけど……
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