震災直前の温泉旅行。買い換えたばかりの仲間のアルファードで、地元仲間といつもの旅行。東日本大震災は、この旅行の一週間後に発生。今思えば早くでよかったか?震災時は房総半島の突端での会議中。会議中止で東京へと一目散。津波注意報の東京湾岸沿いにコンビナートの火災を避けつつ夜中の三時近くに自宅へ。以降、管理しているプラントの面倒などブログ書き込みの暇なく今に至る。
さて、思い出しつつ徒然に本文。いつものように、アキバ中央口でクーラーボックスにビールと氷を仕込んでいざ出発。いつもと違うのは今年正月に亡くなった仲間が参加していないことだ。どこか世話がかかるが昔からのくったくのない個性的なキャラクター。そこにいないなりに寂しいものだ。今回の旅は車では珍しく相当に長距離である。東名高速に乗り、御殿場ICを過ぎ、相良牧野原ICで降りる。それでも所要時間は2時間半はかかったか。
SLで名高い大井川鉄道と併行する国道沿いに走ること小1時間、12時前に川根茶で有名な川根温泉に到着する。大井川鉄橋を渡るSLの勇姿が自慢の立ち寄り温泉である。露天風呂に入りながらのSL見物は醍醐味だが、露天風呂は当然に混んでいる。飲み食いがメインの我々は早速2階の食堂の窓際に陣取り、つまみと生ビールなど酒類、そして茶蕎麦を注文。二階でSLを見物した後にひとっ風呂といく算段だ。SLが鉄橋の向こうから白い煙を上げて近づいてくる。アキバ育ちの仲間たちにとっては懐かしい思いは持たないが、それなりに良い眺めである。列車が去った後、早速に露天風呂に直行。晴れた空の下、無色透明なツルツルとしたいい湯だ。美人の湯とも言われている。
川根から大井川を上流に向かう前に、売店の女性から教わった地元の酒屋で地酒を購入する。アプト式鉄道の始点「千頭」まで国道を遡り、寸又峡への分岐を入る。車一台がようやく通れる狭い崖道をひたすら奥地へ。今思うと走行中や到着後に見舞われたら空恐ろしい思いがする。
温泉街の一番奥の「求夢荘」に到着し浴衣に着替えた後、早速に町営の浴場に行く。坂の上の一番の高台にあり、受付もある。湯番兼受付のおじさんに100円を支払い、暫し、湯の由来と温度差についての講義を聴く。粗末ではあるが湯質は極めてよい。川根温泉もよいが数少ない利用者と掛け流しの故か、さらに清潔感に溢れ湯質も素晴らしい。秘湯の所以でもある。
求夢荘の木の露天風呂は狭いが素朴でいい。清潔なのだが湯質のためヌルヌルすぎて木枠につかまないと滑って溺れてしまう。落ち着いて入るには内風呂がよいだろう。
食事時に、川根の酒屋で購入した地酒「吟醸 のもり」、「純米大吟醸 志太泉」、「吟醸おんななかせ」の持ち込み。ご主人から快く受け入れてもらいカラオケセットのある大広間へ。燗酒とビールをそれぞれ各人一つづつ注文し、恒例の購入地酒の利き酒会。 山菜料理のほか、猪鍋、鹿刺、山女焼など沢山の料理が追加料理を断られたのも頷ける。宿お薦めの冷酒「吟醸寸又峡」を注文。飲み終わってから持ち込みの利き酒はいつものこと。
朝はメンバー4人と「夢の吊り橋」ハイキング。トンネルを抜け、ダムサイトから階段を下り吊橋へ。吊橋では寒風が吹きすさび水面は白浪である。一人分の通路しかない橋が風でユラユラと揺れる。少しスリルはあるが面白い。橋を渡った先は展望台への登りで一汗をかく。旅館からぐるりと約3km、小一時間のハイキングである。「求夢荘」の女将と旅館前で記念撮影してさようなら。
10時過ぎに寸又峡温泉に別れを告げ、東京への帰路へ。寄り道せずに大井川沿いに下り、静岡空港近くの吉田ICから高速に乗る。昼食のため焼津ICで降りて焼津魚市場へ。昼時、どこも混雑のピーク。ようやく見つけた魚料理専門の食堂に入り、海鮮丼に白魚の刺身と地酒を注文。ナビ役割で運転からは開放されているため気楽に一杯。魚市場で土産のシラスと干物を買い込み、いよいよアキバへの帰還の途。