聞き慣れない言葉とは思う。ここで言う「優良素材」とは林業で生産する、森林から切り出す木材のことである。主にスギとヒノキが主であるが、たまにはカラ松なども出荷する。アキバオジンの東京での仕事の一つが、林業経営の補佐ということもあり山との関係は結構強いのである。
さて、毎年恒例の優良素材展示会が12月の初めに開催された。出品には優良材の目利き、切り出す技量は勿論、大径木であるために作業道や搬出経費などの相応の苦労はいる。毎年出品している会社では、今年も地元の県などの要請もあり頑張ることとした。
会社の山林に従事する職員の平均年齢は約30才であり、業界平均約50~55才よりも大幅に若い社員により運営されている。都市の青年の林業体験をコメディタッチで映画化した「ウッジョ!!」の後押しもあり踏ん張ってくれたと思う。
その結果、昨年は最優秀賞は逃して第二位の「知事賞」、今年はスギは最優秀賞「林野庁長官賞」と第一位で一昨年以来の返り咲き。ヒノキは優秀賞で「関東森林局長賞」を受賞し最高の成果を得ることができた。山の若い連中の努力と研究に大いに敬意を払いたい。
表彰式の前日、東京の会社の幹部と作業場の視察の後、「はまゆう山荘」で本社と山の連中とで、ささやかな祝勝会を行ったことは言うまでもない。当然に地元の「純米 大盃」で乾杯、部屋でも個人の土産用にと別に買っていた「純米吟醸 大盃」の四合瓶を空けてしまった。旨い酒である。
話は変わって森林の深刻な現状について少々。今の日本の森林は世界に類のない森林大国になっている。しかしながら、林業に携わる職員の減少が続き、木材価格は一時の5分の1まで低迷している。一方、森林所有者が相続のたびに分散、小口化し林業経営の母体の脆弱化が進行し手いる。そのため、間伐時期を失した森が増え続け、森は暗く、日が射さず下草も生えない環境となり山肌は荒れ放題、集中豪雨のたびに土砂災害が頻発している。土砂災害のたびに地球温暖化を原因とする気象変動に責任を擦り付けてはいるが、実は土を繋ぎ止める力が森に無くなりつつあるのが現状である。
森の再生は急務である!!。国産木材の需要回帰のため、建築基準法改正や税制優遇の手は打たれつつあるが。構造的な問題もあり施策は不足している。また、資源の活用以外にも多くの効果がある。CO2吸収対策として、緑のダムとしての水源涵養機能、洪水対策としての森の保全、そして生物多様性の確保などが適正に評価されれば、経済的評価上も森林をマテリアルとしての価値よりも遥かに大きな価値があると見ることができる。
青年を林業に回帰させる環境作りは、とりもなおさず過疎化の防止と地域の活性化にもつながるはずと信じている。地域創生大臣の大きな役割である。また、木質バイオマス発電は、増え続けつつある木材を安定的なベース電源として活用可能であり、木材の利用の新たな活用方法として大手製紙会社が積極的に拡大している。中小林業経営者にとっては多くの課題はあるが、国や自治体がどう応援するか問われている。近々に森に目が向いてくれるものと信じている。
話は変わるが、映画「ウッジョ」は、残念ながら「アナと雪の女王」と封切りが重なり不発だった。勿論、オジンは前売り券を買って家族全員で「ウッジョ」を鑑賞した。この映画により林業は捨てたものではない思ってくれると期待し、林業を目指す青年が増えてくれることを願う。ところで「アナと雪の女王」は見ていない。また、DVDで見る気もないのは言うまでもない。しかし、家族は見たそうな~~~