今日も駅前(AKIBAオジン)

ツクバEX開業日から始めた親父居酒屋の放浪記。下町の居酒屋、旅先の地酒・酒蔵・秘湯、森と水の話や、たまには政治談義など。

高知帯屋町で地酒「船中八策」

2015年11月22日 | 日本の森と酒

 山の仕事で高知入り。最近稼働した木質バイオマイス発電所製材所を視察のため、昼に集合場所の高知空港に到着。発電所で詳しい説明と質疑応答の後、四時過ぎにホテルへチェックイン。海側に面した高層階。曇天の夕方、高知の市街の通勤ラッシュが始まったようだ。

  ホテルの室で暫しの休息の後、視察メンバーと会食のため市内若松町の焼肉店「ジュージュ亭」へ。店主は高知で初めてオーストラリアの食肉公社から選ばれた「食肉コンサルタント」とのこと。こじんまりとした店内ではあるが賑やかな会食が始まる。一口大にカッティングされたカルビやハラミなどをレアでいただく。次から次へと上等な肉が運ばれ大満足。酒はビール、焼酎、ソフトドリンクなど真ん中のテーブルで自前で用意。日本酒は「一本〆」、博多の酒のようだ。飲み口がすっきりして焼肉に良く合う。9時近く、後ろ髪を引かれる思いで2次会に向う皆と別れる。前日での群馬の懸案を翌朝までに会社にメールしなければならない。翌日の高知の夜に思いを馳せ、ジュージュ亭のマスターの運転する車で送られ一人ホテルへ。

 翌日、製材所視察のため小雨の高速で向う。山間部に入るにつれ高速の車窓に流れる山肌のもう少しの紅葉であっても雨模様の中に鮮やかになってくる。小雨降りしきる中、木材の集積場やシステマチックに流れる工場を見学。発電所、製材所共に森林組合が経営に関与している。それでも軌道に乗るのは数年後とのこと。

  製材所を後にし、これからの木造建築の木材ダークホースといわれているCLTの工事現場を視察。なお、CLTとは日本語では直交集成材と言う。一枚の板でなく数枚の板を接着剤で直角に組み合わせて張り付けてある板のこと。強度があると言うが接着剤の問題が懸念される。

  空港で視察チームの解散後、二日目の宿泊先のはりやま橋近くのホテルまで送ってもらう。

  さて、一日の視察で帰るにはもったいないと事前に別なホテルに延泊予約。七年ぶりの高知入り。水道関係団体の仕事で寄った前回は、月曜朝の役所訪問でもあり日曜日に独り前のり。日曜夜は、ご多分にもれず帯屋町もひっそりとしていた。ブラブラと飲み匂いに誘われ大通りを渡り路地の飲み屋街で一軒の赤提灯「四万十」に入る。暫くして常連さんの一団と遅くまで大盛り上がり、焼酎をご馳走になった記憶がある。

 金曜の夜は、前回と比べても帯屋町は賑やかであり「ひろめ広場」も面白そうだが、先ずは「四万十に入る。七年前と変わらない。店主の釣った魚、ドライにしカウンターの上に吊るしてある。前と変わらない。店のお酒は土佐の地酒「桂月」。燗酒でいただく。辛口でもなく若干酸味があり、お薦めの魚によく合う。ビール大瓶と燗酒3合いただく。常連さん中心のお店の雰囲気に不思議に安心する。

   さて、「四万十」を後にし、まずは燗酒ランキング第二位の「船中八策」を飲ませる店を探す。なかなか見つからない中、帯屋町通りの「長宗我部」の看板に「船中八策」とある。早速、突入、賑わっている店内、カウンター奥に席を確保。メニューには嬉しいことに「うつぼのたたき」、「どろめ」もあり、早速注文。酒は勿論「純米 生酛 船中八策」を注文。だがしかし、お姐さん曰く燗酒はできないという。なんたること、純米生酛を燗酒で賞味できないとは。仕方なく常温でいただくが、これまた十分に旨い。

   翌朝、前回(約7年前)は忙しく訪問できなかった名城「高知城」。今回はユックリと見学させてもらう。雨でレンタカー会社までズブ濡れになりながら辿りつき、駐車場探しに苦労しつつなんとか高知城大手門に辿り着く。野面積みの石垣と重厚な門構えは圧倒的な迫力がある。我家のルーツは幕末近くに江戸城の門を修復した棟梁だと親父から伝えられている。いつものことながらお城の門を見ると血が騒ぐ。 門を潜ると聳える高知城に威圧感を覚える。長い登りの石階段を歩くに付け城の姿が代わる。不落の城はこうあるべきだろうと実感する。城の内部は他の城と然程違いがない。天守閣からの景色は、高知平野を睥睨し城主の圧倒的な権威を作り出す。どんよりと垂れ込めた低い雲が山の中腹にたなびき、重畳する山並みのシルエットを鮮やかに表し360度が一連一服の絵となっている。

 高知城を後にして、南国市の天然温泉「ながおか温泉」で昼食と航空便の時間調整をすることとした。「ながおか温泉」の泉質はPHは7.5前後、つるつるとして肌触りがよく、肌や神経痛、筋肉痛に効くという。なるほど、ほどよい心地よさがある。叩きつけるような打たせ湯やスーパージャグジーなど痛気持ちよい。なお、プールやフィットネスもあるが雨模様のせいか空いている。ゆっくりと温泉に浸かり、レンタカーを空港に乗り捨て30分前には空港に到着。出発便の遅れがあったが約二時間半後にはアキバに到着。人気土産の塩ケンピをツマミに角ハイで落ち着く。


2015燗酒ランキング第一位のお味は

2015年11月03日 | お酒

  先々週末に、恒例の日経新聞「燗酒ランキング」が発表された。今年の第一位は、姫路の「特別純米 龍力 生酛仕込」。第二位は高知の佐川の「船中八策 純米長辛口」。第三位は数年前の第一位で毎回上位の「大七 純米生酛」。第四位も常連の「神亀 純米酒」。第五位は福井市の「常山 純米超辛」と発表。

 以下、六位は「飛良泉 山廃純米 囲炉裏酒」、七位は「一ノ蔵 山廃特別純米 円熟」、同率七位に「澤乃井 純米本地酒」、九位はオジンのいつもの酒「真澄 純米 奥伝寒造り」、十位は「男山 生酛純米」。昔から何れ劣らぬ甲乙付けがたい銘酒揃いだ。オジンの拘りを言わせて貰えば、購入は「大七生酛」、行き付けでは「真澄 純米奥伝」が慣れ親しんでいるせいか旨いと感ずる。

 今回のランキングでは「龍力」、「船中八策」が一、二位となり西の酒が並んだ。あまり飲む機会がない。早速、秋葉原東口の銘酒をそろえる酒屋「地酒蔵」に飛び込み、くだんのランキング酒「特別純米 龍力 生酛仕込み」を購入。先週末に山の仕事帰りに群馬倉渕の「道の駅 小栗の里」で仕入れた自慢の「ジャンボ生椎茸」を肴に龍力の燗酒を楽しむ。山田錦の甘みと旨みを酸が包み込む濃厚で飲むにつれ優しい口当たりと、生酛造りの芳醇な口あたりが沸き立つ。確かに旨い酒である。数日はたっているが肉厚の焼き椎茸は、この酒に最高に合う。日本人に生まれて幸せと感じる瞬間である。

 オジンの自説、「日本酒の真髄は純米酒」と普段から述べている。純米酒は冷でよし常温でよし、燗酒でまた良し。オールマイティな飲み方が可能な酒だ。肴も何でも合う。なかんずくリーズナブルと普段から親しめる大衆酒である。吟醸はアル添のせいか香りが勝ちすぎ弄くりすぎている感がある。本来の日本酒の良さが損なわれている。醸造アルコールの多い本醸造未満の酒では沢山飲んだとき悪酔いの恐れがある。

 年末恒例の日本経済新聞の企画には頭が下がる。酒を評価する評論家もいるが新聞社の中にも「いい呑ん兵」がいて、酒をこよなく愛する上司がいるから、この記事が書けるのだろう。羨ましい。

 さて、オジンは来週の木・金は、山の仕事で高知市に出張予定だ。第二位「船中八策」の土地である。数年前のこのブログでも紹介した店もあるが、「船中八策 純米超辛口」が飲める店を探してみよう。仕事が終わり時間にゆとりがあれば司牡丹の酒蔵にも行きたいものだ。


魚沼 太古の塩水温泉 「松之山温泉」とサイクリング

2015年11月01日 | 温泉

 例によって50年来の仲間との秋の旅行、アキバ中央口ロータリーからスタート。今回はH君のアルファードリース満了となるため最後のお役目となる。越後は魚沼の「松之山温泉」までは結構な距離。恒例の初日での立寄り温泉は難しい。

  昼食は、3~4年前の「駒の湯温泉」で寄った五日町の八海山酒造経営の蕎麦屋「長森」に寄る。古民家を一部移築し太い柱、梁の再用で趣ある佇まい。 低いくぐり戸に頭をぶつけながら抜けると昔ながらの土間。 黒光りした太い梁が風格を放つ高い天井は、日本の旧家の重厚さと開放感を感じさせる。蕎麦は、めいめいに「もりそば」と「田舎そば」。汁は江戸前と田舎風の両方を頼む。蕎麦がくるまではビールで喉を潤し、ツマミは卵焼きとにしんの山椒漬け。これも中々の美味。いよいよ蕎麦を食す。我々やはり元神田っ子の爺さんグループ。江戸前の濃い口が合う。蕎麦はコシが強く、シャキとした歯ざわりは蕎麦の旨さを引き立てる。日本酒は八海山だが、皆さん運転担当に遠慮してビール。

 「長森」を後にして五日町から松代を抜け松之山まで山を抜ける。以前、群発地震で記憶に残る松代はホクホク線発祥の地と記念碑にある。松代のスーパーで部屋呑みの酒と肴の買出しで大きなレジ袋で二つ分を買い込む。

 いよいよ松之山に到着。街中を抜け松之山温泉に向け走ると、松之山の見どころの一つ「美人林」の案内が目に付く。美人とくれば目の無い相棒達、誘われるように美人林に到着。落ち葉に敷き詰められた中、林齢の若い楚々としたぶな林が静謐さを醸し出す。

 いよいよ「雛の宿 ちとせ」に到着。アキバを8時半に出発し外環前後で若干の渋滞にあったが、五日町に寄り道し4時近くに旅館に到着。250キロは走ったか?「松之山温泉」の泉質は、太古の海が日本列島の隆起に伴い内陸に海水が封印されたため塩分濃度が極めて高い泉質である。「草津温泉」、「有馬温泉」と並んで日本三大薬湯の一つといわれ、美肌にいいといわれる「メタ珪酸」、眼病や傷にいい「ホウ酸」、PHが人体に近い「7.5」と浸透圧が高い「高張性」の温泉で効用が高いのが分かっている。「ちとせ」は地元でも代表的な老舗旅館の一つである。部屋に落ち着き評判の風呂に入る。塩分濃度が高いためか体が浮く感じである。

     食事は別室での部屋食、予めテーブル席を予約していたため足が楽である。床柱や欄間など和室の贅を感じさせる。地元の食材をふんだんに使ったコース料理と相性のよい地酒「鄙の雪蔵」、「純米吟醸 越の初梅」、「大吟醸 伊乎乃」とのセットコース。別途にメニューから「特別純米 松の井」四合瓶を注文し料理と共に楽しむ。いずれも料理との相性はよい。

   翌朝は大厳寺高原で登りの「ハイキング」と下りの「サイクリング」に向う。7人の内日和見の3人を高原に残し、参加者に高原の案内所でガイドさんと一緒にハイキングに出発。やや紅葉が終わりかけた頃、ブナの色づいた枯葉を踏みしめながら緩やかな山道は気持ちがいい。途中、初めて小さなブナの実を食べ、越冬前の熊の気持ちに浸る。山頂に到着するとガイドさんの入れたくけた紅茶をすすり景色を堪能する。 

 山頂から少し下ると車の入れる道路に出る。そこでヘルメットを支給されブレーキなどのサイクリング車の取り扱い注意などの後、いよいよサイクリング開始。紅葉の下りの坂道、ペダルを踏むこともなくスピードを抑えながら一挙に案内所まで走る。残留組は、前日の夜更かしで車の中で夢の中であったとのこと。

  大厳寺高原を後にして、一路、昨年も世話になった越後湯沢のH君のマンションに直行。夜は、昨年も世話になった湯沢の街の「どんどん」で「鶴齢」を飲みながらの食事。二晩目も翌目の苗場の紅葉を期待して楽しい飲み会を持った。マンションでも地酒、「純米大吟醸 湊屋藤助」、「純米 越乃影虎」を楽しんだことはいうまでもない。

   翌日、朝九時過ぎに湯沢を出発。田代ロープウェイに着くが、ほんらい苗場のドラゴンドラの駐車場にいるはずの観光バスが10台近く止っている。なにかオカシイと思いきやドラゴンドラは強風のため運転中止とのこと。観光バスは田代ロープウェイに回ってきたためである。約1時間半近く寒風の中に並ぶ。ただ、頂上駅に着いたら、ドラゴンドラが運転再開していることを祈る。祈りは通じ頂上に着いたとたん、運転再開を伝えられる。レストハウスの薪の暖かさとお汁粉に救われる。ドラゴンドラでは紅葉は頂上付近では終わり中腹まで降りてはいるが、昨年よりやや旬を過ぎた感がある。それでも、ダイナミックな変化と素晴らしい唐松のは黄葉と杉や桧の緑とのコントラストはそれだけでも見ものである。

  ドラゴンドラを降りた時刻は丁度昼時、冷えた体を温めるのと、昼食を取りがてらに苗場の立ち寄り温泉「雪笹の湯」に。黄色のかかったやや塩分の高い湯は体によさいとのこと。ユックリと浸かり食事後、三国街道を一路アキバへの帰路へと向う。