新潟は魚沼のランプの宿として有名な「駒の湯温泉」へ。新潟での仕事で3泊した帰りがてらに同期の相方3人でレンタカーで向かう。途中、堀の内ICで関越高速を降り、柴桜が評判の「花と緑と雪の里公園」で満開の柴桜を見ながらの休憩。公園から大湯温泉方面の奥只見へと向かう。大湯温泉から駒ケ岳方面に入り、しばらくするとまだ雪が若干残る渓流と駒ケ岳を背景に赤い屋根の「駒の湯温泉」が現れる。実に素晴らしいロケーションである。これが彼の有名な毎分2000リットル以上の噴出量を誇る秘湯の宿だと思うと、また嬉しくなる。
部屋へ案内されるなりランプの使用方法と注意事項を聞かされる。ようするに火を消すに芯を引きすぎては油壷に落下し引火の危険ありとのこと。そんな話を聞いた覚えがある。
ここ「駒の湯温泉」は山岳会に所属していた40年以上前の20歳の時、利根川の源流を八木沢ダムサイトから6日間かけて遡行し、辿り着いた麓の山小屋であったような記憶がある。大湯温泉のバス停まではあと僅か、遡行の初日に沢壁から落下した時のひざ裂傷の傷口のひどい匂いに鬱々としていた時である。
さて、駒の湯温泉は宿泊者用の混浴の露天風呂と三箇所の内風呂。立ち寄り用の男女の内風呂2箇所がある。いずれも温度は低いが僅かな硫黄の香りの豊富な湯が注がれ湯船の外へと流れ出ている。宿の若旦那に言うところによると、あと毎分1000リットル分の湯が追加されたとのこと。信州大学と共同で省エネ研究機関のNEDOの資金を受け自家発電に利用していると言う。庭の池に水車もどきのタービンが置かれグルグルと回っている。しかし、全部で数十ワットだという。まだまだ実用には難がありそうだ。ジーゼルの自家発電で残りを賄っている。
毎分3000リットルのお湯が渓流に流れ出ることは河川環境に問題があるのではとの問いに、むしろ、温泉開発以前よりかじかや水生生物の生息数は増加しているという。湧き出る温泉の成分と低い温度、適度なPHが所以だろう。
宿舎から降りていく川原の露天風呂は、男女更衣室はあるが中では一つとなっている。ただし、宿では女性には湯浴み用の大きなタオルを用意しているので問題はないとは思うんですが? 雪融けの渓流の対岸の残雪を眺めながら、ぬるい湯と加温した湯双方に長く浸かるのがいいという。なるほど最初は冷たいと思った湯加減も慣れると心地良い。暖かい湯に入ると湯の滑らかさが一段と引き立つ。
内風呂の内の二つは半露天であり、先着がドアに使用中との表示をかけて貸切にできる仕組みだ。広々とした二つの浴槽があり、渓流を眼下に望んで家族で使用するのに最適だ。
食事の時間である。一品一品の説明付きだが、覚えきれない山菜の工夫を凝らした料理のほか、カジカなどの川魚、なれ寿司や鍋物で量はある。ビールと地元の燗酒で結構満腹となる。
宿泊の部屋は暗い。当然である。ランプとランプの形をした30ワットくらいの豆電球の二つだけだ。テレビも冷蔵庫もない。ただ寝るだけだと思ったが、ゆっくり話す機会が無い大阪からの相方と新潟を立つ時購入した「八海山」を飲みながら12時近くまで話込んでしまった。
翌朝の朝飯は小出の納豆がメインディッシュ。全国納豆品評会で2年連続日本一の「大力納豆」たそうだ。駒の湯から別れ、帰り道に小出に寄り大力納豆を購入する。レンタカーの納車地の越後湯沢への途中日本三大渓谷の「清津峡」による。2月前に寄った「清津峡」を案内し、昼時に湯沢のへき蕎麦の名店「中野屋」へ滑り込み、5日間の長野から新潟の旅をキリッとしたへぎ蕎麦で締めた。