前夜、仕事後の晩飯替わりの燕三条駅前「ぜんてい」でのお酒の影響も多少残っている中、凍てつく朝の駅前。新潟から金沢の顧客先へと向かう。上越新幹線で越後湯沢まで行き、ほくほく線特急「はくたか」に乗り換え金沢が午前中に着く最短ルートのようだ。
前夜、駅みどりの窓口で「はくたか」の指定券を求めるが満席。乗り換え時間は7分、自由席は無理と言われ「大人の休日倶楽部」のグリーン優待券で僅かに残っていた席を予約。個人旅行分に大事に確保していた券である。チトもったいない思いがしたが雪景色の中、新幹線の横4列よりも広々とした横3列のシートで快適である。隣の指定席車両は満席で何故か窮屈そうに見える。
金沢では、大阪から来た仕事仲間と待ち合わせ、客先での打ち合わせや挨拶回りを終えた後、夕刻に駅前のホテルにチェックイン。さて晩飯は何処でと考える。一昨年、元の職場の旅行仲間で飲んだ「ちょん兵衛」に行くことにする。石川の地酒とのど黒が旨かったと思い出す。昨年春、手術ができない辛い体で退職間際まで職場で奮闘し、退職直後の入院一週間後に壮絶に他界した一緒に飲んだ旅行仲間の顔が浮かんできた。
さて、凍り付いている路面に注意しながら店に着く。店の二階に上がり、貫禄のあるぶ厚い板テーブル席に落ち着くや否やのど黒を注文。残念、売り切れ直後とのこと。寒ブリとブリカマが店のお薦めを注文。その他、ご当地の肴を突っつきながら、地酒は当然に石川の地酒とする。「手取川」、「常きげん」、「萬歳楽」を冷酒や燗酒で順番に注文。自分の好みの味なので石川の酒は好きである。ただ「黒帯」を置いていないのは少し寂しい。お隣の富山の「立山」もついでに注文。
楽しくも懐かしくもある時が過ぎ、早10時半ば近く。店を見回すと賑やかだった店も客は我々とあと数人。勘定を終えた後、一際冷える金沢の夜風に、飲み足りない仲間を残して一人ホテルへと向かう。前夜と続き、ほろ酔い気分でコケタラいかんと凍り付いた帰り道を注意深く歩く。
翌朝、帰りの航空便の時間までと前回修復中で見られなかった金沢城門をいそぎ向かう。小雪の降り始めた金沢城は、雪の白さと静けさに際立っていた。