秋葉原のヨドバシカメラの先の神田練塀町に小さな居酒屋がある。もとえ、あったと言おう。木造の10坪にも満たない小さな小さな居酒屋である。店名は「あさちゃん」と言う。秋葉原駅前が青果市場で賑わっていた頃からの老舗である。従って客層は農業関係者を中心とした常連さんのほか、付近の昔から秋葉原にある大手企業の中堅サラリーマンやそのOB諸氏が多く集っていた。カウンター中心の常連が多く、ママのEチャンを中心に会社関係なく親しく語り合っていた。
ところが、このエリアに数年前から再開発の話が持ち上がる。超大手S不動産(一説によると秋葉原界隈はS不動産が仕切り、アキバでは他の不動産は手を出さないのが業界の約束事)が主体で実施する再開発。いつの間にか千代田区道も二本廃止することになっている。完成までの二年以上かかる大型開発、そのため休業することとなった。再開発では資産価値は上がるとS不動産は言うが、こじんまりとした家賃のいらないリーズナブルな価格と一人でも会話が楽しめる常連客でいつも満席に近い店だけに二年半のブランクは取り返しがつくか否か?
秋葉原駅近での代替店舗の手配も出来なかったとS不動産は言うが本気で探したかどうか。夜の説明会や会合に出られないことを知ってのことか再開発の経緯や区道廃止の手続きも、区もグルになりEチャンママの知らないところで水面下ですすめていたと言われてもいたし方ないだろう。店一軒を残して立ち退いた周りの建物を工事用の塀で囲い、工事騒音と孤立感を際ただせるよくある手法だ。約二年半の建築期間中の代替え店舗もなく完成工期最優先で放り出された格好だ。築地の決着優先でオリンピック道路延期もやむなしの東京都知事の決断もあるなか、S不動産さん、2年半後も「あさちゃん」のフォローたのんまっせ!!
後記、カウンター越しに語り合える店を探して「あさちゃん難民」が秋葉原界隈を夜な夜な徘徊していると聞く。秋葉原界隈、今時の居酒屋スタイルあるわけ無いでしょ。二年半後の再開を期待しつつ待つしかないか・・・