戶封八縣 家給千兵 ～ 千字文 063／対馬丸／転移的報復感情

2014年5月8日（木）

　今日がちょうど『千字文』の折り返し点、やっぱりすごいな。

◯ 戶封八縣　家給千兵

　前半の文の構造がよく分からない。
「戸（へ）には八県を封（と）じ、家には千兵を給う」と訓読するんだそうだが、「戸」や「家」は間接目的語なのかしら。それが文頭に出るの？
　まあいいや。
　李注の解説は明快で、漢の高祖（劉邦）は天下平定後、功臣に八県を「封戸」として与え、有徳の者の家に千兵を与えたという。
　秦・始皇帝の過激な中央集権が時代の先を行きすぎて躓き、後を襲った漢は折衷的な郡国制をとることで長期安定を実現した。その事情がこんなところにも反映されている。

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　対馬丸（つしままる）。
　日本郵船所有のT型貨物船（6,754トン）。太平洋戦争中の1944年（昭和19年）8月22日、政府命令による学童疎開輸送中にアメリカ海軍の潜水艦の攻撃を受けて沈没し、1,476名の犠牲者を出した。
　沈没後、生存者の一部は数日にわたって漂流し、児童59名を含む約250名が救助された。救助にあたった漁師の便箋３枚の手記が発見され、那覇の「対馬丸記念館」に寄贈されることになったと、今朝のラジオニュース。
　対馬丸を撃沈した潜水艦「ボーフィン」は、「真珠湾攻撃の復讐者」としてハワイに展示されているとのこと。もちろん英雄としてである。（インターネット情報）
　
　明晩から、沖縄に出張する。

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「ともかくあまり私を信用しては不可（いけ）ませんよ。今に後悔するから。そうして自分が欺かれた返報に、残酷な復讐をするようになるものだから。」
「そりゃどういう意味ですか」
「かつてはその人の膝の前に跪いたという記憶が、今度はその人の頭の上に足を載せさせようとするのです。私は未来の侮辱を受けないために、今の尊敬を斥けたいと思うのです。私は今より一層淋しい未来の私を我慢する代わりに、淋しい今の私を我慢したいのです。」『先生の遺書』（14）

　初読の記憶が、これも昨日のことのように鮮やかである。