2014年10月1日(水)
卒論ゼミ、提出まで5週間となって、学生たちの目の色が変わっている。今年も皆よく勉強してくれた。
赤ちゃん連れのTさんの報告で、小此木先生が「悲哀排除症候群」ということを書いておられるのを知った。
「思い出した」というべきなんだろうが、『対象喪失』の一節にあるというその言葉を、僕は完全に失念していた。戦後日本人の「否認/躁的防衛態勢」を考えるとき、絶好の引用材料になる。Tさんはじめ、こちらが教えられることの多い毎回のゼミだった。来年は人数が減りそうで、少々残念である。
京都のFさんが、「ワードの行の左端は、本当はツライチにするんでしょうけど、私はうまくできなくて・・・」と。
「ツライチ」は、関東の学生たちには分からないだろうね。お国訛りが聞けるのも、放送大学のゼミの嬉しいところである。2年前、浜松の学生が「似ったか寄ったか」という言葉を連発し、「似たり寄ったり」のこととすぐに分かったものの、少し遅れて何だか無性に楽しくなり、大笑いしたことがあった。
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来年度履修希望者の見学を許可したところ、はるばる兵庫からRさんがやってきた。看護師で、夜勤が明けたその足で来たのである。タフだなあと感心し、趣味はと訊くと「登山」と答える。
「それじゃあ、御嶽山のことは・・・」
「ショックです、非常に。噴火の前日、私は富士山に登ってました。」
現地で見守る家族親族のことを書いたが、実は共感の輪が全国の登山愛好家のレベルにまで広がっている。上記のTさんが『死生学入門』の山崎先生の章から学んだという「共感都市理論」、これはたぶん「共感によるコミュニティ創出」という形で汎化できるものだ。放送大学の卒研ゼミも、ささやかながらその一翼を担っている。だから元気がもらえるのだ。
それにしても今年は自然災害が続く。こういうときは、日本の自然の豊かさ温かさを思い出させてくれる情報があらまほしい。そこでスクラップブックから取り出してみた。2010年8月4日の朝日新聞、「日本の海 世界一の豊かさ」と題されている。母なる海の豊かさが嬉しい。
・・・千島列島を取り上げられる前は、なおさら豊かだったわけだ。