2017年9月5日(火)
集まったのは、青森・秋田・岩手三県の在住者30人余りである。といっても、元々は他地域の出身者が過半を占めるようだが、皆ゆえあってこの地に導かれ根を下ろして活躍している。僕は山形で小中学校の一年間を過ごし、精神科医としての基礎教育を福島で受け、東北には大いに愛着があるというものの、南東北止まりで陸奥(みちのく)の広さ深さを未だ知らない。
中に仙台出身の人があったので、杜の都は素晴らしい、ケヤキの並木が大好きですというようなことを言ったら、あれは戦災の産物で、と教えてくれた。もとは城下町の武家屋敷が樹々にすっかり埋もれてしまうような、街全体を杜が覆い包む風情だったそうである。空襲ですっかり焼け、せめてもの復興にケヤキの大通りが整備されたそうな。有名な七夕祭りにも同様の背景があるらしい。あの戦争がどれほどのものを奪ったか、認識も自覚もまだまだ足りない。
それにしても空気の美味しく水の清澄なこと。写真は露天風呂からの眺めである。前夜はこの空に十三夜ぐらいの月が朧にかかり、「月が出てますよ」と口伝えで皆、入れ替わり立ち替わり風雅を堪能した。紅葉になればなお絶景であろうが、夜は冷え込むに違いない。気温は今が最適。
多言は野暮なこと、湯瀬温泉は掛け値なしに素晴らしいとだけ書いておく。
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