散日拾遺

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島の猫/730

2018-06-03 09:36:37 | 日記

2018年6月2日(土)

 初めて沖縄を旅した時、友人二人と西表まで足を伸ばした。ヒナイ館という民宿の御主人がたいへん親切で、ある晩お仲間の家で歓談の場を設けてくれた。畳に車座で寛いでいると猫がのっそり入って来る。その家の御主人がちらと見て、のんどり微笑みながら、

 「これは、イリオモテ・・・ネコ」

 一同やわらかく笑いくずれたものだ。それから早くも41年が経過し、友人の一人は少々早すぎる鬼籍入りを遂げた。今回は西表までは行けない、ここ石垣が目的地である。そしてネコ、この生き物は空前のモテ期に入ったようだが、そうでなくてもいつでもどこでも必ずいる。

        

 居酒屋前の白は愛想がないが、コンビニ入り口に陣取った黒は緑の目を正面から合わせる。にわか岩合さんを気取って撮った写真を見直していると、ズボンの裾に重柔らかい感触、当の黒がすり寄っていた。こんなの初めてだ。

 むろん僕にマタタビ力があるわけではなく、島の猫が厚かましいほど人に慣れているのである。いじめられもしないのだろう、ほら・・・

 次の相手にさっそくハシゴ、節操などはカケラもない。

 ***

 宿から200mほどのところに730(ななさんまる)交差点があり、傍に記念碑が置かれている。

       

 730とは何だったか、一度訪れているのに何で思い当たらないかと、内心で小パニックを起こした。由来を知って一安心、そのことならば「記憶」にないのは当然である。別の形で知っているべきことだったけれど。

 1972年に施政権が返還されたが、僕らが訪れた1977年8月には車はまだ右側を走っていた。歴史の「名残り」である。それが一夜にして、全県一斉に変更されたのが1978年7月30日だったのだ。小壮挙、これを記念する心を察せざるべからず。

 以来、沖縄も石垣も大きな発展を遂げた。とはいえ基地と米軍の問題には何の進展も展望もなく、それが悔しく申し訳ない。

Ω